ヨハネの第三の書

 

本書の著者、著作の年代、場所、及び本書の特徴等につきてはヨハネ第二書緒言を見よ。

 

本書簡の受信者はガイオであり、このガイオはパウロによりてバプテスマせられしコリントのガイオ(Tコリ1:14。ロマ16:23)と同一人らしく(第1節註参照)、従って本書はコリントに宛てられしものなるか、またはガイオはその後ペルガモの監督たりしとの説あり、あるいはテアテラまたはテサロニケに住居せり等の伝説が真なりとすれば、その他の地に宛てられしものならんも何れも明瞭ではない。

 

本書簡の目的及び内容は当時次第にその数を増しつつありし巡回伝道者をいかに遇すべきかの問題、及びデオテレペスのごとき野心家に対するヨハネの態度を示して、これを見倣わしめ、ガイオを始め他の人々をして各種の場合に処して真理を保ち善を行わしめんとするにある。