黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳ヨブ記第32章

◆エリフの言葉

32章1節 ここで、この三人はヨブに答えるのをやめた。ヨブが自分は正しいと確信していたからである。

32章2節 さて、エリフは怒った。この人はブズ出身でラム族のバラクエルの子である。ヨブが神よりも自分の方が正しいと主張するので、彼は怒った。

32章3節 また、ヨブの三人の友人が、ヨブに罪のあることを示す適切な反論を見いだせなかったので、彼らに対しても怒った。

32章4節 彼らが皆、年長だったので、エリフはヨブに話しかけるのを控えていたが、

32章5節 この三人の口から何の反論も出ないのを見たので怒ったのである。

32章6節 ブズ人バラクエルの子、エリフは言った。わたしは若く/あなたたちは年をとっておられる。だからわたしは遠慮し/わたしの意見をあえて言わなかった。

32章7節 日数がものを言い/年数が知恵を授けると思っていた。

32章8節 しかし、人の中には霊があり/悟りを与えるのは全能者の息吹なのだ。

32章9節 日を重ねれば賢くなるというのではなく/老人になればふさわしい分別ができるのでもない。

32章10節 それゆえ、わたしの言うことも聞いてほしい。わたしの意見を述べてみたいと思う。

32章11節 わたしはあなたたちの言葉を待ち/その考えに耳を傾け/言葉を尽くして論じるのを聞き

32章12節 その論拠を理解しようとした。だが、あなたたちの中にはヨブを言い伏せ/彼の言葉に反論しうる者がない。

32章13節 「いい知恵がある。彼を負かすのは神であって人ではないと言おう」などと考えるべきではない。

32章14節 ヨブはわたしに対して議論したのではないが/わたしはあなたたちのような論法で/答えようとは思わない。

32章15節 彼らは気を挫かれて、答えようとせず/言うべき言葉を失っている。

32章16節 わたしは待ったが、彼らは語らず/行き詰まり、もう答えようとしない。

32章17節 それならわたしが/自分の言い分を述べさせてもらおう。わたしの意見を言わせてもらおう。

32章18節 言いたいことはたくさんある。腹の内で霊がわたしを駆り立てている。

32章19節 見よ、わたしの腹は封じられたぶどう酒の袋/新しい酒で張り裂けんばかりの革袋のようだ。

32章20節 わたしも話して、気持を静めたい。唇を開いて、答えたい。

32章21節 いや、わたしはだれの顔を立てようともしない。人間にへつらうことはしたくない。

32章22節 気づかずにへつらうようなことを言ったら/どうか造り主が/直ちにわたしを退けてくださるように。


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