黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳創世記第40章

◆夢を解くヨセフ

40章1節 これらのことの後で、エジプト王の給仕役と料理役が主君であるエジプト王に過ちを犯した。

40章2節 ファラオは怒って、この二人の宮廷の役人、給仕役の長と料理役の長を、

40章3節 侍従長の家にある牢獄、つまりヨセフがつながれている監獄に引き渡した。

40章4節 侍従長は彼らをヨセフに預け、身辺の世話をさせた。牢獄の中で幾日かが過ぎたが、

40章5節 監獄につながれていたエジプト王の給仕役と料理役は、二人とも同じ夜にそれぞれ夢を見た。その夢には、それぞれ意味が隠されていた。

40章6節 朝になって、ヨセフが二人のところへ行ってみると、二人ともふさぎ込んでいた。

40章7節 ヨセフは主人の家の牢獄に自分と一緒に入れられているファラオの宮廷の役人に尋ねた。「今日は、どうしてそんなに憂うつな顔をしているのですか。」

40章8節 「我々は夢を見たのだが、それを解き明かしてくれる人がいない」と二人は答えた。ヨセフは、「解き明かしは神がなさることではありませんか。どうかわたしに話してみてください」と言った。

40章9節 給仕役の長はヨセフに自分の見た夢を話した。「わたしが夢を見ていると、一本のぶどうの木が目の前に現れたのです。

40章10節 そのぶどうの木には三本のつるがありました。それがみるみるうちに芽を出したかと思うと、すぐに花が咲き、ふさふさとしたぶどうが熟しました。

40章11節 ファラオの杯を手にしていたわたしは、そのぶどうを取って、ファラオの杯に搾り、その杯をファラオにささげました。」

40章12節 ヨセフは言った。「その解き明かしはこうです。三本のつるは三日です。

40章13節 三日たてば、ファラオがあなたの頭を上げて、元の職務に復帰させてくださいます。あなたは以前、給仕役であったときのように、ファラオに杯をささげる役目をするようになります。

40章14節 ついては、あなたがそのように幸せになられたときには、どうかわたしのことを思い出してください。わたしのためにファラオにわたしの身の上を話し、この家から出られるように取り計らってください。

40章15節 わたしはヘブライ人の国から無理やり連れて来られたのです。また、ここでも、牢屋に入れられるようなことは何もしていないのです。」

40章16節 料理役の長は、ヨセフが巧みに解き明かすのを見て言った。「わたしも夢を見ていると、編んだ籠が三個わたしの頭の上にありました。

40章17節 いちばん上の籠には、料理役がファラオのために調えたいろいろな料理が入っていましたが、鳥がわたしの頭の上の籠からそれを食べているのです。」

40章18節 ヨセフは答えた。「その解き明かしはこうです。三個の籠は三日です。

40章19節 三日たてば、ファラオがあなたの頭を上げて切り離し、あなたを木にかけます。そして、鳥があなたの肉をついばみます。」

40章20節 三日目はファラオの誕生日であったので、ファラオは家来たちを皆、招いて、祝宴を催した。そして、家来たちの居並ぶところで例の給仕役の長の頭と料理役の長の頭を上げて調べた。

40章21節 ファラオは給仕役の長を給仕の職に復帰させたので、彼はファラオに杯をささげる役目をするようになったが、

40章22節 料理役の長は、ヨセフが解き明かしたとおり木にかけられた。

40章23節 ところが、給仕役の長はヨセフのことを思い出さず、忘れてしまった。


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