黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳創世記第49章

◆ヤコブの祝福

49章1節 ヤコブは息子たちを呼び寄せて言った。「集まりなさい。わたしは後の日にお前たちに起こることを語っておきたい。

49章2節 ヤコブの息子たちよ、集まって耳を傾けよ。お前たちの父イスラエルに耳を傾けよ。

49章3節 ルベンよ、お前はわたしの長子/わたしの勢い、命の力の初穂。気位が高く、力も強い。

49章4節 お前は水のように奔放で/長子の誉れを失う。お前は父の寝台に上った。あのとき、わたしの寝台に上り/それを汚した。

49章5節 シメオンとレビは似た兄弟。彼らの剣は暴力の道具。

49章6節 わたしの魂よ、彼らの謀議に加わるな。わたしの心よ、彼らの仲間に連なるな。彼らは怒りのままに人を殺し/思うがままに雄牛の足の筋を切った。

49章7節 呪われよ、彼らの怒りは激しく/憤りは甚だしいゆえに。わたしは彼らをヤコブの間に分け/イスラエルの間に散らす。

49章8節 ユダよ、あなたは兄弟たちにたたえられる。あなたの手は敵の首を押さえ/父の子たちはあなたを伏し拝む。

49章9節 ユダは獅子の子。わたしの子よ、あなたは獲物を取って上って来る。彼は雄獅子のようにうずくまり/雌獅子のように身を伏せる。誰がこれを起こすことができようか。

49章10節 王笏はユダから離れず/統治の杖は足の間から離れない。ついにシロが来て、諸国の民は彼に従う。

49章11節 彼はろばをぶどうの木に/雌ろばの子を良いぶどうの木につなぐ。彼は自分の衣をぶどう酒で/着物をぶどうの汁で洗う。

49章12節 彼の目はぶどう酒によって輝き/歯は乳によって白くなる。

49章13節 ゼブルンは海辺に住む。そこは舟の出入りする港となり/その境はシドンに及ぶ。

49章14節 イサカルは骨太のろば/二つの革袋の間に身を伏せる。

49章15節 彼にはその土地が快く/好ましい休息の場となった。彼はそこで背をかがめて荷を担い/苦役の奴隷に身を落とす。

49章16節 ダンは自分の民を裁く/イスラエルのほかの部族のように。

49章17節 ダンは、道端の蛇/小道のほとりに潜む蝮。馬のかかとをかむと/乗り手はあおむけに落ちる。

49章18節 主よ、わたしはあなたの救いを待ち望む。

49章19節 ガドは略奪者に襲われる。しかし彼は、彼らのかかとを襲う。

49章20節 アシェルには豊かな食物があり/王の食卓に美味を供える。

49章21節 ナフタリは解き放たれた雌鹿/美しい子鹿を産む。

49章22節 ヨセフは実を結ぶ若木/泉のほとりの実を結ぶ若木。その枝は石垣を越えて伸びる。

49章23節 弓を射る者たちは彼に敵意を抱き/矢を放ち、追いかけてくる。

49章24節 しかし、彼の弓はたるむことなく/彼の腕と手は素早く動く。ヤコブの勇者の御手により/それによって、イスラエルの石となり牧者となった。

49章25節 どうか、あなたの父の神があなたを助け/全能者によってあなたは祝福を受けるように。上は天の祝福/下は横たわる淵の祝福/乳房と母の胎の祝福をもって。

49章26節 あなたの父の祝福は/永遠の山の祝福にまさり/永久の丘の賜物にまさる。これらの祝福がヨセフの頭の上にあり/兄弟たちから選ばれた者の頭にあるように。

49章27節 ベニヤミンはかみ裂く狼/朝には獲物に食らいつき/夕には奪ったものを分け合う。」

49章28節 これらはすべて、イスラエルの部族で、その数は十二である。これは彼らの父が語り、祝福した言葉である。父は彼らを、おのおのにふさわしい祝福をもって祝福したのである。

◆ヤコブの死

49章29節 ヤコブは息子たちに命じた。「間もなくわたしは、先祖の列に加えられる。わたしをヘト人エフロンの畑にある洞穴に、先祖たちと共に葬ってほしい。

49章30節 それはカナン地方のマムレの前のマクペラの畑にある洞穴で、アブラハムがヘト人エフロンから買い取り、墓地として所有するようになった。

49章31節 そこに、アブラハムと妻サラが葬られている。そこに、イサクと妻リベカも葬られている。そこに、わたしもレアを葬った。

49章32節 あの畑とあそこにある洞穴は、ヘトの人たちから買い取ったものだ。」

49章33節 ヤコブは、息子たちに命じ終えると、寝床の上に足をそろえ、息を引き取り、先祖の列に加えられた。


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