黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第3章

◆悔い改めの呼びかけ

3章1節 もし人がその妻を出し/彼女が彼のもとを去って/他の男のものとなれば/前の夫は彼女のもとに戻るだろうか。その地は汚れてしまうではないか。お前は多くの男と淫行にふけったのに/わたしに戻ろうと言うのかと/主は言われる。

3章2節 目を上げて裸の山々を見よ/お前が男に抱かれなかった所があろうか。荒れ野でアラビア人が座っているように/お前は道端に座って彼らを待つ。淫行の悪によってお前はこの地を汚した。

3章3節 雨がとどめられ/春の雨も降らなかったのはそのためだ。お前には遊女の額があり/少しも恥じようとしない。

3章4節 「あなたは、わが父、わたしの若い日の夫」と/お前がわたしに呼びかけるのは/今が初めてだろうか。

3章5節 「主はいつまでも憤り/限りなく怒り続けるだろうか」と/お前は言いながら悪を重ねる。それでもお前は平気だ。

3章6節 ヨシヤ王の時代に、主はわたしに言われた。あなたは背信の女イスラエルのしたことを見たか。彼女は高い山の上、茂る木の下のどこにでも行って淫行にふけった。

3章7節 彼女がこのようなことをしたあとにもなお、わたしは言った。「わたしに立ち帰れ」と。しかし、彼女は立ち帰らなかった。その姉妹である裏切りの女ユダはそれを見た。

3章8節 背信の女イスラエルが姦淫したのを見て、わたしは彼女を離別し、離縁状を渡した。しかし、裏切りの女であるその姉妹ユダは恐れるどころか、その淫行を続けた。

3章9節 彼女は軽薄にも淫行を繰り返して地を汚し、また石や木と姦淫している。

3章10節 そればかりでなく、その姉妹である裏切りの女ユダは真心からわたしに立ち帰ろうとせず、偽っているだけだ、と主は言われる。

3章11節 主はわたしに言われる。裏切りの女ユダに比べれば、背信の女イスラエルは正しかった。

3章12節 行け、これらの言葉をもって北に呼びかけよ。背信の女イスラエルよ、立ち帰れと/主は言われる。わたしはお前に怒りの顔を向けない。わたしは慈しみ深く/とこしえに怒り続ける者ではないと/主は言われる。

3章13節 ただ、お前の犯した罪を認めよ。お前は、お前の主なる神に背き/どこにでも茂る木があれば、その下で/他国の男たちと乱れた行いをし/わたしの声に聞き従わなかったと/主は言われる。

◆シオンへの帰還

3章14節 背信の子らよ、立ち帰れ、と主は言われる。わたしこそあなたたちの主である。一つの町から一人、一つの氏族から二人ではあるが、わたしはあなたたちを連れてシオンに行こう。

3章15節 わたしはあなたたちに、心にかなう牧者たちを与える。彼らは賢く、巧みに導く。

3章16節 あなたたちがこの地で大いに増えるとき、その日には、と主は言われる。人々はもはや、主の契約の箱について語らず、心に浮かべることも、思い起こすこともない。求めることも、作ることももはやない。

3章17節 その時、エルサレムは主の王座と呼ばれ、諸国の民は皆、そこに向かい、主の御名のもとにエルサレムに集まる。彼らは再び、かたくなで悪い心に従って歩むことをしない。

3章18節 その日、ユダの家はイスラエルの家と合流し、わたしがあなたたちの先祖の所有とした国へ、北の国から共に帰って来る。

◆悔い改めへの招き

3章19節 わたしは思っていた。「子らの中でも、お前には何をしようか。お前に望ましい土地/あらゆる国の中で/最も麗しい地を継がせよう」と。そして、思った。「わが父と、お前はわたしを呼んでいる。わたしから離れることはあるまい」と。

3章20節 だが、妻が夫を欺くように/イスラエルの家よ、お前はわたしを欺いたと/主は言われる。

3章21節 裸の山々に声が聞こえる/イスラエルの子らの嘆き訴える声が。彼らはその道を曲げ/主なる神を忘れたからだ。

3章22節 「背信の子らよ、立ち帰れ。わたしは背いたお前たちをいやす。」「我々はあなたのもとに参ります。あなたこそ我々の主なる神です。

3章23節 まことに、どの丘の祭りも/山々での騒ぎも偽りにすぎません。まことに、我々の主なる神に/イスラエルの救いがあるのです。

3章24節 我々の若いときから/恥ずべきバアルが食い尽くしてきました/先祖たちが労して得たものを/その羊、牛、息子、娘らを。

3章25節 我々は恥の中に横たわり/辱めに覆われています。我々は主なる神に罪を犯しました。我々も、先祖も/若いときから今日に至るまで/主なる神の御声に聞き従いませんでした。」


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