黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第40章

◆エレミヤの釈放

40章1節 主から言葉がエレミヤに臨んだ。それは、親衛隊の長ネブザルアダンが、バビロンへ捕囚として移送されるエルサレムとユダのすべての人々と共に、エレミヤを捕虜として鎖につないで連行したが、ラマで釈放することにした後のことである。

40章2節 親衛隊の長はエレミヤを連れて来させて言った。「主なるあなたの神は、この場所にこの災いをくだすと告げておられたが、

40章3節 そのとおりに災いをくだし、実行された。それはあなたたちが主に対して罪を犯し、その声に聞き従わなかったからである。だから、このことがあなたたちに起こったのだ。

40章4節 さあ、今日わたしはあなたの手の鎖を解く。もし、あなたがわたしと共にバビロンに来るのが良いと思うならば、来るがよい。あなたの面倒を見よう。一緒に来るのが良くなければ、やめるがよい。目の前に広がっているこのすべての土地を見て、あなたが良しと思い、正しいとするところへ行くがよい。

40章5節 ――エレミヤはまだ民のもとに戻っていなかった――シャファンの孫でアヒカムの子であるゲダルヤのもとに戻り、彼と共に民の間に住むがよい。彼は、バビロンの王がユダの町々の監督をゆだねた者である。さもなければ、あなたが正しいとするところへ行くがよい。」親衛隊の長はエレミヤに食料の割り当てを与えて釈放した。

40章6節 こうしてエレミヤは、ミツパにいるアヒカムの子ゲダルヤのもとに身を寄せ、国に残った人々と共にとどまることになった。

◆ゲダルヤの働き

40章7節 野にいたすべての軍の長たちはその部下と共に、バビロンの王がアヒカムの子ゲダルヤをその地に立てて総督とし、バビロンに移送されなかったその土地の貧しい人々に属する男、女、子供たちを彼のもとにゆだねたことを聞き、

40章8節 ミツパにいるゲダルヤのもとに集って来た。それはネタンヤの子イシュマエル、カレアの二人の子ヨハナンとヨナタン、およびタンフメトの子セラヤ、ネトファ人エファイの一族、マアカ人の子であるエザンヤとその部下たちであった。

40章9節 シャファンの孫でアヒカムの子であるゲダルヤは、彼らとその部下たちに誓って言った。「カルデア人に仕えることを恐れてはならない。この地にとどまり、バビロンの王に仕えなさい。あなたたちは幸せになる。

40章10節 このわたしがミツパにいて、やがて到着するカルデア人と応対しよう。あなたたちはぶどう酒、夏の果物、油などを集めて貯蔵し、自分たちの確保している町々にとどまりなさい。」

40章11節 モアブ、アンモン、エドム、その他の国々にいたユダヤ人たちも皆、バビロンの王が、ユダに残留者を認め、シャファンの孫でアヒカムの子であるゲダルヤに、彼らの監督をゆだねたことを聞いた。

40章12節 そこで、ユダの人々は皆、それぞれの避難先から引き揚げて、ユダの地に戻り、ミツパのゲダルヤのもとに来た。彼らは、ぶどう酒と夏の果物を多く集めた。

◆ゲダルヤの暗殺

40章13節 ときに、カレアの子ヨハナンと、野にいた軍の長たちがそろってミツパにいるゲダルヤのもとに来て、

40章14節 言った。「アンモンの王バアリスが、あなたを暗殺しようとして、ネタンヤの子イシュマエルを送り込んでいるのをご存じでしょうか。」しかし、アヒカムの子ゲダルヤは彼らの言うことを信じなかった。

40章15節 カレアの子ヨハナンはミツパで極秘にゲダルヤに進言した。「あなたが暗殺され、ここに集まって来たユダの人々が、またちりぢりになり、ユダの残留者が滅びてしまってもよいのですか。わたしが行って、だれにも知られないようにネタンヤの子イシュマエルを殺して来ます。」

40章16節 だが、アヒカムの子ゲダルヤはカレアの子ヨハナンに言った。「そのようなことをしてはならない。イシュマエルについてあなたの言うことは誤りだ。」


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