黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第46章

◆諸国民に対する預言

46章1節 預言者エレミヤに臨んだ諸国民に対する主の言葉。

46章2節 エジプトに向かって。すなわち、ユーフラテス河畔のカルケミシュに近い地点に出陣していたエジプトの王ファラオ・ネコの軍隊に対する言葉。バビロンの王ネブカドレツァルは、ユダの王、ヨシヤの子ヨヤキムの第四年に彼らを撃ち破った。

46章3節 盾と大盾を取って、戦いに出よ。

46章4節 騎兵よ、鞍を置き、馬に乗れ。兜をかぶり、隊を整えよ。槍を構え、鎧を着けよ。

46章5節 何故、彼らは隊を乱して退くのか。勇士らはちりぢりに逃げ去るのか。彼らは振り向くこともしない。恐怖が四方から迫る、と主は言われる。

46章6節 素早い者も逃げきれず/勇士も免れることはない。北で、ユーフラテス川の岸辺で/彼らはよろめき倒れた。

46章7節 ナイルのように湧き上がり/大河のように逆巻く者は誰か。

46章8節 エジプトはナイルのように湧き上がり/大河のように逆巻く。彼は言う。「わたしは湧き上がって大地を覆い/都とその住民を滅ぼし尽くす。

46章9節 勇士たちよ、馬に乗り/戦車を駆って突進せよ。盾を取るクシュとプトの兵よ。弓を引くルドの兵よ。」

46章10節 その日は、主なる万軍の神の日/主が敵に報いられる報復の日。剣は肉を食らって飽き、血を滴らす。それは、主なる万軍の神のいけにえとなる/北の地、ユーフラテスの岸辺で。

46章11節 おとめである娘エジプトよ/ギレアドに上り、乳香を手に入れよ。いくら手当てをしても無駄だ/傷がいやされることはない。

46章12節 諸国民はお前が辱められるのを聞いた。お前の悲鳴は地を満たす。勇士は勇士と共によろめき、もろともに倒れる。

46章13節 主が預言者エレミヤに語られた言葉。バビロンの王ネブカドレツァルがエジプトの国を撃つために出陣することについて。

46章14節 エジプトで告げ、ミグドルで知らせよ。メンフィスとタフパンヘスで知らせて言え。「隊を整え、準備せよ。剣はお前の周囲を食い尽くす。」

46章15節 何故、アピスは逃げたのか/お前の雄牛は耐ええなかったのか。主が彼を追い払われたのだ。

46章16節 よろめき、倒れる者は多く/彼らは互いに言った。「さあ、我らの民のもとへ帰ろう。脅かす剣を逃れて、生まれた国へ帰ろう。」

46章17節 彼らはエジプトの王ファラオの名を/「騒ぎ立てるが、時期を逸する者」と呼ぶ。

46章18節 「わたしは生きている」と/その御名を万軍の主と呼ばれる王は言われる。タボルが山々の間にあるように/カルメル山が海辺にそびえているように/彼は確かに来る。

46章19節 安らかに住んでいる娘エジプトよ。捕囚として行く支度をせよ。メンフィスは荒廃し/焼き払われて、住む人はいなくなる。

46章20節 エジプトは美しい雌の子牛だ。あぶが北から襲いかかる。

46章21節 彼女の中にいる傭兵も/肥えた子牛のようだ。その彼らも向きを変え/一斉に逃げ、耐えうるものはない。災いの日が彼らを襲い/彼らの罰せられるときが来るからだ。

46章22節 力をもって敵が迫るとき/エジプトの声は蛇が逃げるように消える。敵はきこりのように/斧をかざして襲いかかる。

46章23節 彼らはその森を切り倒す、と主は言われる。森が彼らを遮るからだ。敵の数はいなごよりも多くて、数えきれない。

46章24節 娘エジプトは恥を受け/彼らは北からの民の手に渡された。

46章25節 万軍の主、イスラエルの神は言われた。「見よ、わたしはテーベの神アモンを罰する。またファラオとエジプト、その神々と王たち、ファラオと彼に頼る者を罰する。

46章26節 わたしは、命を求める者の手に彼らを渡す。すなわち、バビロンの王ネブカドレツァルとその家来たちの手に。その後、エジプトは昔のように人の住む所となる」と主は言われる。

46章27節 わたしの僕ヤコブよ、恐れるな。イスラエルよ、おののくな。見よ、わたしはお前を遠い地から/お前の子孫を捕囚の地から救い出す。ヤコブは帰って来て、安らかに住む。彼らを脅かす者はいない。

46章28節 わたしの僕ヤコブよ、恐れるなと/主は言われる。わたしがお前と共にいる。お前を追いやった国々をわたしは滅ぼし尽くす。お前を滅ぼし尽くすことはない。わたしはお前を正しく懲らしめる。罰せずにおくことは決してない。


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