黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第7章

◆神殿での預言

7章1節 主からエレミヤに臨んだ言葉。

7章2節 主の神殿の門に立ち、この言葉をもって呼びかけよ。そして、言え。「主を礼拝するために、神殿の門を入って行くユダの人々よ、皆、主の言葉を聞け。

7章3節 イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。お前たちの道と行いを正せ。そうすれば、わたしはお前たちをこの所に住まわせる。

7章4節 主の神殿、主の神殿、主の神殿という、むなしい言葉に依り頼んではならない。

7章5節 -6節この所で、お前たちの道と行いを正し、お互いの間に正義を行い、寄留の外国人、孤児、寡婦を虐げず、無実の人の血を流さず、異教の神々に従うことなく、自ら災いを招いてはならない。

7章7節 そうすれば、わたしはお前たちを先祖に与えたこの地、この所に、とこしえからとこしえまで住まわせる。

7章8節 しかし見よ、お前たちはこのむなしい言葉に依り頼んでいるが、それは救う力を持たない。

7章9節 盗み、殺し、姦淫し、偽って誓い、バアルに香をたき、知ることのなかった異教の神々に従いながら、

7章10節 わたしの名によって呼ばれるこの神殿に来てわたしの前に立ち、『救われた』と言うのか。お前たちはあらゆる忌むべきことをしているではないか。

7章11節 わたしの名によって呼ばれるこの神殿は、お前たちの目に強盗の巣窟と見えるのか。そのとおり。わたしにもそう見える、と主は言われる。

7章12節 シロのわたしの聖所に行ってみよ。かつてわたしはそこにわたしの名を置いたが、わが民イスラエルの悪のゆえに、わたしがそれをどのようにしたかを見るがよい。

7章13節 今や、お前たちがこれらのことをしたから――と主は言われる――そしてわたしが先に繰り返し語ったのに、その言葉に従わず、呼びかけたのに答えなかったから、

7章14節 わたしの名によって呼ばれ、お前たちが依り頼んでいるこの神殿に、そしてお前たちと先祖に与えたこの所に対して、わたしはシロにしたようにする。

7章15節 わたしは、お前たちの兄弟である、エフライムの子孫をすべて投げ捨てたように、お前たちをわたしの前から投げ捨てる。」

7章16節 あなたはこの民のために祈ってはならない。彼らのために嘆きと祈りの声をあげてわたしを煩わすな。わたしはあなたに耳を傾けない。

7章17節 ユダの町々、エルサレムの巷で彼らがどのようなことをしているか、あなたには見えないのか。

7章18節 子らは薪を集め、父は火を燃やし、女たちは粉を練り、天の女王のために献げ物の菓子を作り、異教の神々に献げ物のぶどう酒を注いで、わたしを怒らせている。

7章19節 彼らはわたしを怒らせているのか――と主は言われる――むしろ、自らの恥によって自らを怒らせているのではないか。

7章20節 それゆえ、主なる神はこう言われる。見よ、わたしの怒りと/憤りが、この所で、人間、家畜、野の木、地の実りに注がれる。それは燃え上がり、消えることはない。

7章21節 イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。お前たちの焼き尽くす献げ物の肉を、いけにえの肉に加えて食べるがよい。

7章22節 わたしはお前たちの先祖をエジプトの地から導き出したとき、わたしは焼き尽くす献げ物やいけにえについて、語ったことも命じたこともない。

7章23節 むしろ、わたしは次のことを彼らに命じた。「わたしの声に聞き従え。そうすれば、わたしはあなたたちの神となり、あなたたちはわたしの民となる。わたしが命じる道にのみ歩むならば、あなたたちは幸いを得る。」

7章24節 しかし、彼らは聞き従わず、耳を傾けず、彼らのかたくなで悪い心のたくらみに従って歩み、わたしに背を向け、顔を向けなかった。

7章25節 お前たちの先祖がエジプトの地から出たその日から、今日に至るまで、わたしの僕である預言者らを、常に繰り返しお前たちに遣わした。

7章26節 それでも、わたしに聞き従わず、耳を傾けず、かえって、うなじを固くし、先祖よりも悪い者となった。

7章27節 あなたが彼らにこれらすべての言葉を語っても、彼らはあなたに聞き従わず、呼びかけても答えないであろう。

7章28節 それゆえあなたは彼らに言うがよい。「これは、その神、主の声に聞き従わず、懲らしめを受け入れず、その口から真実が失われ、断たれている民だ。」

7章29節 「お前の長い髪を切り、それを捨てよ。裸の山々で哀歌をうたえ。主を怒らせたこの世代を/主は退け、見捨てられた。」

7章30節 まことに、ユダの人々はわたしの目の前で悪を行った、と主は言われる。わたしの名によって呼ばれるこの神殿に、彼らは憎むべき物を置いてこれを汚した。

7章31節 彼らはベン・ヒノムの谷にトフェトの聖なる高台を築いて息子、娘を火で焼いた。このようなことをわたしは命じたこともなく、心に思い浮かべたこともない。

7章32節 それゆえ、見よ、もはやトフェトとかベン・ヒノムの谷とか呼ばれることなく、殺戮の谷と呼ばれる日が来る、と主は言われる。そのとき、人々はもはや余地を残さぬまで、トフェトに人を葬る。

7章33節 この民の死体は空の鳥、野の獣の餌食となる。それを追い払う者もない。

7章34節 わたしはユダの町々とエルサレムの巷から、喜びの声と祝いの声、花婿の声と花嫁の声を絶つ。この地は廃虚となる。


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