黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エゼキエル書第32章

◆ファラオに対する嘆きの歌

32章1節 第十二年の十二月一日に、主の言葉がわたしに臨んだ。

32章2節 「人の子よ、エジプトの王ファラオに向かって嘆きの歌をうたい、彼に言いなさい。国々の中で若獅子である者よ/お前は滅びに定められた。お前は水中のわにのようだ。川の中であばれ回り/足で水をかき混ぜ、流れを濁らせた。

32章3節 主なる神はこう言われる。わたしは多くの民を集め/お前の上に網として広げる。彼らはこの地引き網でお前を引き上げる。

32章4節 わたしは、お前を大地に投げ出し/野に投げ捨てる。空のすべての鳥をお前の上にやどらせ/地上のすべての獣にお前を/食べさせて、飽かせる。

32章5節 わたしはお前の肉を山の上に捨て/お前の腐った肉で谷を満たす。

32章6節 わたしはお前の流れ出た血を/大地にのませ、山に注ぐ。お前の血で谷間も満たされる。

32章7節 お前が消えうせるとき/わたしは空を覆い、星を暗くする。また、太陽を雲で覆い、月も光を放たない。

32章8節 空に輝くすべての光を/わたしはお前の上で暗くする。また、お前の地を闇で覆うと/主なる神は言われる。

32章9節 わたしはお前の破滅を、お前の知らない国々の民に知らせ、多くの民の心をいらだたせる。

32章10節 わたしはお前のゆえに多くの民をぼう然とさせる。わたしが彼らの前で剣を振りかざすと、王たちもお前のゆえに毛が逆立つ。お前の倒れる日、彼らはそれぞれ命に不安を感じて絶え間なく震える。

32章11節 まことに、主なる神はこう言われる。バビロンの王の剣がお前に臨む。

32章12節 わたしは勇士たちの剣で、お前の軍勢を倒す。彼らは皆、諸国の中で最も凶暴な者だ。彼らはエジプトの誇りを踏みにじる。その軍勢も皆滅ぼされる。

32章13節 わたしはすべての家畜を/豊かな水のほとりから追いやる。人の足はもはやその水を濁さず/家畜のひづめもこれを濁さない。

32章14節 そのとき、わたしはその水を澄ませ/流れを油のように静かに流れさせると/主なる神は言われる。

32章15節 わたしはエジプトの地を荒廃させ/その地を満たしているものを荒れるにまかせる。わたしがそこに住むすべての者を撃つとき/彼らは、わたしが主であることを知るようになる。

32章16節 これは嘆きの歌。彼らは悲しんでこれを歌う。国々の娘たちも、悲しんでこれを歌う。彼らはエジプトとそのすべての軍勢のために/悲しんでこの歌をうたう」と/主なる神は言われる。

32章17節 第十二年のその月の十五日に、主の言葉がわたしに臨んだ。

32章18節 「人の子よ、あなたと諸国の娘たちは/エジプトとその貴族たちのために泣き悲しめ。わたしは彼らを地の低い所に下らせる/穴に下って行く者と共に。

32章19節 お前はだれよりも美しいと思っていたのか。下って行き、割礼のない者と共に横たわれ。

32章20節 彼らは剣で殺された者の間に倒れる。エジプトは剣に渡された。エジプトとその軍勢はすべて運び去られた。

32章21節 陰府の中から、最も強い勇士たちが/エジプトとその同盟者たちに語る/割礼のない者、剣で殺された者たちは/下ってきてそこに横たわる、と。

32章22節 そこには、アシュルとその仲間がすべており/彼らの墓はその周りにある。彼らは皆、剣で殺され、倒れた者である。

32章23節 アッシリアの墓は穴の最も深い所にあり/その周りには仲間たちの墓がある。彼らは皆、剣で殺され、倒れた者/かつて、生ける者の地で恐れられていた。

32章24節 そこには、エラムとそのすべての軍勢がいる。彼らの墓はその周りにある。彼らは皆、剣で殺され、倒れた者/割礼のない者で、地の最も低い所に下って行く。生ける者の地で恐れられていたが/穴に下る者と共に恥を負う。

32章25節 殺された者たちの間に、床が設けられた/エラムとそのすべての軍勢のために。彼らの墓はその周りにある。彼らは皆、割礼のない者、剣で殺された者。生ける者の地で恐れられていたが/穴に下る者と共に恥を負い/殺された者の間に置かれる。

32章26節 そこには、メシェクとトバルと/そのすべての軍勢がいる。彼らの墓はその周囲にある。皆、割礼のない者、剣で殺された者。生ける者の地で恐れられていた。

32章27節 彼らは、遠い昔に倒れた勇士たちと共に/横たわることはない。この人々は、武器をもって陰府に下り/剣を頭の下に、盾を骨の上に置いていた。これらの勇士は/生ける者の地で恐れられていた。

32章28節 お前は割礼のない者の間に/剣で殺された者と共に/打ち砕かれて横たわる。

32章29節 そこには、エドムがその王たちと/すべての君侯たちと共にいる。彼らは力をもっていたが/剣で殺された者と共に置かれ/割礼のない者、穴に下る者と共に横たわる。

32章30節 そこには、北のすべての君主たち/シドンのすべての人々がいる。彼らは殺された者と共に下る。彼らはその力のゆえに恐れられていたが/辱められ、割礼のない者、剣で殺された者と/共に横たわる。彼らは、穴に下る者と共に恥を負う。

32章31節 ファラオは彼らを見て/失ったすべての軍勢について慰められる。ファラオも、そのすべての軍隊も剣で殺されたと/主なる神は言われる。

32章32節 まことに、わたしは生ける者の地に/恐れを置いた。ファラオとそのすべての軍勢は/割礼のない者の間に/剣で殺された者と共に横たわる」と/主なる神は言われる。


[前 章][次 章]