黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳ダニエル書第10章

◆終わりの時についての幻

10章1節 ペルシアの王キュロスの治世第三年のことである。ベルテシャツァルと呼ばれるダニエルに一つの言葉が啓示された。この言葉は真実であり、理解するのは非常に困難であったが、幻のうちに、ダニエルに説明が与えられた。

10章2節 そのころわたしダニエルは、三週間にわたる嘆きの祈りをしていた。

10章3節 その三週間は、一切の美食を遠ざけ、肉も酒も口にせず、体には香油も塗らなかった。

10章4節 一月二十四日のこと、チグリスという大河の岸にわたしはいた。

10章5節 目を上げて眺めると、見よ、一人の人が麻の衣を着、純金の帯を腰に締めて立っていた。

10章6節 体は宝石のようで、顔は稲妻のよう、目は松明の炎のようで、腕と足は磨かれた青銅のよう、話す声は大群衆の声のようであった。

10章7節 この幻を見たのはわたしダニエルひとりであって、共にいた人々は何も見なかったのだが、強い恐怖に襲われて逃げ出し、隠れてしまった。

10章8節 わたしはひとり残ってその壮大な幻を眺めていたが、力が抜けていき、姿は変わり果てて打ちのめされ、気力を失ってしまった。

10章9節 その人の話す声が聞こえてきたが、わたしは聞きながら意識を失い、地に倒れた。

10章10節 突然、一つの手がわたしに触れて引き起こしたので、わたしは手と膝をついた。

10章11節 彼はこう言った。「愛されている者ダニエルよ、わたしがお前に語ろうとする言葉をよく理解せよ、そして、立ち上がれ。わたしはこうしてお前のところに遣わされて来たのだ。」こう話しかけられて、わたしは震えながら立ち上がった。

10章12節 彼は言葉を継いだ。「ダニエルよ、恐れることはない。神の前に心を尽くして苦行し、神意を知ろうとし始めたその最初の日から、お前の言葉は聞き入れられており、お前の言葉のためにわたしは来た。

10章13節 ペルシア王国の天使長が二十一日間わたしに抵抗したが、大天使長のひとりミカエルが助けに来てくれたので、わたしはペルシアの王たちのところにいる必要がなくなった。

10章14節 それで、お前の民に将来起こるであろうことを知らせるために来たのだ。この幻はその時に関するものだ。」

10章15節 こう言われてわたしは顔を地に伏せ、言葉を失った。

10章16節 すると見よ、人の子のような姿の者がわたしの唇に触れたので、わたしは口を開き、前に立つその姿に話しかけた。「主よ、この幻のためにわたしは大層苦しみ、力を失いました。

10章17節 どうして主の僕であるわたしのような者が、主のようなお方と話すことなどできましょうか。力はうせ、息も止まらんばかりです。」

10章18節 人のようなその姿は、再びわたしに触れて力づけてくれた。

10章19節 彼は言った。「恐れることはない。愛されている者よ。平和を取り戻し、しっかりしなさい。」こう言われて、わたしは力を取り戻し、こう答えた。「主よ、お話しください。わたしは力が出てきました。」

10章20節 彼は言った。「なぜお前のところに来たか、分かったであろう。今、わたしはペルシアの天使長と闘うために帰る。わたしが去るとすぐギリシアの天使長が現れるであろう。

10章21節 しかし、真理の書に記されていることをお前に教えよう。お前たちの天使長ミカエルのほかに、これらに対してわたしを助ける者はないのだ。


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