黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳ゼカリヤ書第11章

11章1節 レバノンよ、お前の門を開け。火にお前の杉を焼き尽くさせよう。

11章2節 糸杉よ、泣き叫べ。杉は倒れ、見事な大木も荒れ果てた。バシャンの樫の木よ、泣き叫べ。人を寄せつけなかった森も倒された。

11章3節 羊飼いたちの泣き叫ぶ声がする。彼らの見事な牧場は荒れ果てた。若い獅子のほえる声がする。ヨルダンの密林も荒れ果てた。

◆悪い羊飼い

11章4節 わが神なる主はこう言われた。屠るための羊を飼え。

11章5節 それを買い取る者は、罪を帰せられずにそれを屠り、売るときは、「主はほめたたえられよ。わたしは金持ちになった」と言うが、羊飼いたちはそれを憐れまない。

11章6節 わたしはこの地の住民を再び憐れみはしない、と主は言われる。見よ、わたしはどの人もその隣人の手とその王の手に任せる。彼らがこの地を打とうとしても、わたしは彼らの手から救いはしない。

11章7節 わたしは屠るための羊を、羊の商人のために飼った。わたしは二本の杖を手にして、ひとつを「好意」と名付け、もうひとつを「一致」と名付けて羊を飼った。

11章8節 わたしは一月のうちに三人の羊飼いを退けた。わたしは彼らに我慢できなくなり、彼らもわたしを嫌った。

11章9節 そして、わたしは言った。「わたしはお前たちを飼わない。死ぬべき者は死ね。消え去るべき者は消え去れ。残った者は互いに肉を食い合うがよい。」

11章10節 わたしは「好意」というわたしの杖を取って折り、諸国の民すべてと結んだわが契約を無効にした。

11章11節 その日に、それは無効にされた。わたしを見守ってきた羊の商人たちは、それが主の言葉であることを知った。

11章12節 わたしは彼らに言った。「もし、お前たちの目に良しとするなら、わたしに賃金を支払え。そうでなければ、支払わなくてもよい。」彼らは銀三十シェケルを量り、わたしに賃金としてくれた。

11章13節 主はわたしに言われた。「それを鋳物師に投げ与えよ。わたしが彼らによって値をつけられた見事な金額を。」わたしはその銀三十シェケルを取って、主の神殿で鋳物師に投げ与えた。

11章14節 わたしは「一致」というわたしのもうひとつの杖を折り、ユダとイスラエルの兄弟の契りを無効にした。

11章15節 主は更にわたしに言われた。「愚かな羊飼いの道具を取れ。

11章16節 見よ、わたしはこの地に羊飼いを起こす。彼は見失われたものを尋ねず、若いものを追い求めず、傷ついたものをいやさず、立っているものを支えもせず、肥えたものの肉を食べ、そのひづめを砕く。

11章17節 災いだ、羊を見捨てる無用の羊飼いたちは。剣が、その腕と右の目に差し向けられる。その腕は力を失い、右の目はかすむ。」


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