黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳民数記第17章

◆香炉

17章1節 主はモーセに仰せになった。

17章2節 「祭司アロンの子エルアザルに告げ、焼け跡から香炉を取り出し、炭火は遠くにまき散らすように言いなさい。香炉は既に聖なるものとなっている。

17章3節 命を落とした罪人たちの香炉を打ち延ばして板金にし、祭壇の覆いを作りなさい。それらは、主の御前にささげられ、聖なるものとされているからである。これは、イスラエルの人々に対する警告のしるしとなるであろう。」

17章4節 祭司エルアザルは、焼き殺された人々がささげた青銅の香炉を集め、打ち延ばして板金にし祭壇の覆いを作った。

17章5節 これは、アロンの子孫以外の者が主の御前に近づき、香をささげてはならないことをイスラエルの人々に思い起こさせるためであり、コラとその仲間のようにならないためであった。それは、モーセを通してエルアザルに語られた主の言葉どおり作られた。

◆アロン、民を救う

17章6節 その翌日、イスラエルの人々の共同体全体は、モーセとアロンに逆らって、「あなたたちは主の民を殺してしまったではないか」と不平を言った。

17章7節 彼らがモーセとアロンに逆らって集結し、臨在の幕屋の方を向くと、見よ、雲がそれを覆い、主の栄光が現れていた。

17章8節 モーセとアロンが臨在の幕屋の前に進み出ると、

17章9節 主はモーセに仰せになった。

17章10節 「この共同体から離れなさい。わたしは直ちに彼らを滅ぼす。」二人はひれ伏した。

17章11節 モーセはアロンに言った。「香炉を取り、それに祭壇の火を入れ、香を載せ、急いで共同体のもとに行って、彼らのために罪を贖う儀式を行いなさい。主の御前から怒りが出て、もう疫病が始まっている。」

17章12節 アロンは、モーセの命令どおりに行い、集結している人々の中へ走って行った。疫病は既に民の間に広がり始めていた。アロンが香をたき、民のために罪を贖う儀式を行い、

17章13節 死んだ者と生きている者との間に立つと、災害は治まった。

17章14節 この災害による死者の数は一万四千七百人であった。コラの事件による死者はこの数に含まれていない。

17章15節 アロンは臨在の幕屋の入り口にいるモーセのもとに帰った。災害はこうして治まった。

◆アロンの杖

17章16節 主はモーセに仰せになった。

17章17節 イスラエルの人々にこう告げなさい。彼らのうちから、父祖の家ごとに杖を一本ずつ取りなさい。すなわち、彼らの父祖の家の指導者すべてから十二本の杖を取り、その杖におのおのの名前を書き記し、

17章18節 レビの杖にはアロンの名を記しなさい。父祖の家の長は杖を一本ずつ持つべきだからである。

17章19節 それを、わたしがあなたたちと出会う臨在の幕屋の中の掟の箱の前に置きなさい。

17章20節 わたしの選ぶ者の杖は芽を吹くであろう。わたしはこうして、あなたたちに対して続いたイスラエルの人々の不平を取り除こう。

17章21節 モーセがイスラエルの人々に告げると、指導者は皆、部族ごとに、父祖の家ごとに、指導者一人に一本ずつ、合計十二本の杖を彼に渡した。アロンの杖もその中にあった。

17章22節 モーセはそれを掟の幕屋の主の御前に置いた。

17章23節 明くる日、モーセが掟の幕屋に入って行き、見ると、レビの家のアロンの杖が芽を吹き、つぼみを付け、花を咲かせ、アーモンドの実を結んでいた。

17章24節 モーセが杖をすべて、主の御前からイスラエルの人々のところへ持ち出したので、彼らは、各自自分の杖を見分けて取った。

17章25節 主はモーセに言われた。「アロンの杖を掟の箱の前に戻し、反逆した者たちに対する警告のしるしとして保管しなさい。そうすれば、わたしに対する不平がやみ、彼らが死ぬことはない。」

17章26節 モーセは、主が命じられるままにし、そのとおりにした。

◆祭司とレビ人に関する規定

17章27節 イスラエルの人々はモーセに言った。「ああ、わたしたちは絶えてしまいます。破滅です。わたしたちは皆、破滅です。

17章28節 主の幕屋に近づく者が皆死ぬのであれば、わたしたちは絶え果てるではありませんか。」


[前 章][次 章]