詩篇 第109篇
関根訳 |
口語訳 | 聖歌隊の指揮者によってうたわせたダビデの歌 |
残虐なる敵のために不当に苦しめられている一詩人の叫びであって、神がその敵に対してその為せる悪に相応しき報復を為し給わんことと、而してエホバが彼をあわれみ彼を救い給わんこととを祈る処の詩である。用語が比較的近代的である点およびこの詩人自身が王者たることを認め得ざる点およびダビデの詩に比して人格的偉大さを欠く点などより、ダビデの作にあらずと見る説を可とす。敵をも愛すべしと教うる新約の偉大なる思想に比較して、徹底的に敵を憎むこの詩人の心が不可解なるの故をもってこれをイスラエルの国民詩となし、または被圧迫階級を代表せる詩人の作となし、または敵に対する詛を反対に敵が詩人に対する詛の引用となす等の解釈を用いんとする学者があるけれどもその必要はない。不義を極端までも憎悪すること、不義はエホバに対する反逆なること、不義は当然にその報を受くべきこと、不義とこれを行う人とを区別せざることの思想は、当然の結論としてかゝる呪詛の声となる。1−5、6−15、16−20、21−31の四部に区分することを得。
〔1〕我が敵の悪事(1−5)
109篇1節数々の恩恵と救との故にわが
文語訳 | 109篇1節 わが |
口語訳 | 109篇1節 わたしのほめたたえる神よ、もださないでください。 |
関根訳 | 109篇1節 聖歌隊の指揮者に、ダビデの、歌。わが神よ、わがほめ |
新共同 | 109篇1節 【指揮者によって。ダビデの詩。賛歌。】わたしの賛美する神よ どうか、黙していないでください。 |
109篇2節(そは)かれらは《
文語訳 | 109篇2節 かれらは |
口語訳 | 109篇2節 彼らは悪しき口と欺きの口をあけて、わたしにむかい、偽りの舌をもってわたしに語り、 |
関根訳 | 109篇2節 悪人の口と偽りの口はわたしに向かって開かれ、彼らは偽りの舌をもってわたしに物言う。 |
新共同 | 109篇2節 神に逆らう者の口が 欺いて語る口が、わたしに向かって開き 偽りを言う舌がわたしに語りかけます。 |
109篇3節我に向いて故なき恨をいだき、うらみの
文語訳 | 109篇3節 うらみの |
口語訳 | 109篇3節 恨みの言葉をもってわたしを囲み、ゆえなくわたしを攻めるのです。 |
関根訳 | 109篇3節 憎しみにみちた言葉でわたしを囲み、理由なくわたしを攻める。 |
新共同 | 109篇3節 憎しみの言葉はわたしを取り囲み 理由もなく戦いを挑んで来ます。 |
109篇4節《わが
文語訳 | 109篇4節 われ |
口語訳 | 109篇4節 彼らはわが愛にむくいて、わたしを非難します。しかしわたしは彼らのために祈ります。 |
関根訳 | 109篇4節 彼らはわが愛に敵意をもって報いる、しかしわが祈りは彼らのため。 |
新共同 | 109篇4節 愛しても敵意を返し わたしが祈りをささげても |
109篇5節かれらは《
文語訳 | 109篇5節 かれらは |
口語訳 | 109篇5節 彼らは悪をもってわが善に報い、恨みをもってわが愛に報いるのです。 |
関根訳 | 109篇5節 彼らはわたしに対し善に報いるに悪をもってし、わが愛に報いるに憎しみをもってした。 |
新共同 | 109篇5節 その善意に対して悪意を返します。愛しても、憎みます。 |
〔2〕かれらは詛われよ(6−15)
109篇6節ねがはくは
文語訳 | 109篇6節 ねがはくは |
口語訳 | 109篇6節 彼の上に悪しき人を立て、訴える者に彼を訴えさせてください。 |
関根訳 | 109篇6節 「彼を罪する者を彼のために任じ彼を訴える者を彼の右に立たせよ。 |
新共同 | 109篇6節 彼に対して逆らう者を置き 彼の右には敵対者を立たせてください。 |
109篇7節《*
文語訳 | 109篇7節 かれが |
口語訳 | 109篇7節 彼がさばかれるとき、彼を罪ある者とし、その祈を罪に変えてください。 |
関根訳 | 109篇7節 彼は審かれて悪人とされ彼の祈りは罪となるように。 |
新共同 | 109篇7節 裁かれて、神に逆らう者とされますように。祈っても、罪に定められますように。 |
*109篇8節その生き長らうる
文語訳 | 109篇8節 その |
口語訳 | 109篇8節 その日を少なくし、その財産をほかの人にとらせ、 |
関根訳 | 109篇8節 彼の日々は数少なくなり、彼の仕事に他の人が代わるように。 |
新共同 | 109篇8節 彼の生涯は短くされ 地位は他人に取り上げられ |
109篇9節本人のみならずその悪の報は家族及子孫に及びその
文語訳 | 109篇9節 その |
口語訳 | 109篇9節 その子らをみなしごにし、その妻をやもめにしてください。 |
関根訳 | 109篇9節 その子らはみなし児となり、彼の妻はやもめとなれ。 |
新共同 | 109篇9節 子らはみなしごとなり 妻はやもめとなるがよい。 |
109篇10節その
文語訳 | 109篇10節 その |
口語訳 | 109篇10節 その子らを放浪者として施しをこわせ、その荒れたすまいから追い出させてください。 |
関根訳 | 109篇10節
彼の子らはさ迷い歩いて物乞いし その廃墟から追いだされるように。 |
新共同 | 109篇10節 子らは放浪して物乞いをするがよい。廃虚となったその家を離れ 助けを求め歩くがよい。 |
109篇11節《
文語訳 | 109篇11節 |
口語訳 | 109篇11節 彼が持っているすべての物を債主に奪わせ、その勤労の実をほかの人にかすめさせてください。 |
関根訳 | 109篇11節 彼の全財産を債権者に |
新共同 | 109篇11節 彼のものは一切、債権者に奪われ 働きの実りは他国人に略奪されるように。 |
109篇12節かれが如何に苦難の中にある場合といえどもかれに
文語訳 | 109篇12節 かれに |
口語訳 | 109篇12節 彼にいつくしみを施す者はひとりもなく、またそのみなしごをあわれむ者もなく、 |
関根訳 | 109篇12節 彼にあわれみをかける者はなくなり、彼のみなし児を恵む者もないように。 |
新共同 | 109篇12節 慈しみを示し続ける者もいなくなり みなしごとなった彼の子らを 憐れむ者もなくなるように。 |
109篇13節その
文語訳 | 109篇13節 その |
口語訳 | 109篇13節 その子孫を絶えさせ、その名を次の代に消し去ってください。 |
関根訳 | 109篇13節 滅びが彼の未来を襲い次の代では彼の名は抹殺されるように。 |
新共同 | 109篇13節 子孫は断たれ 次の代には彼らの名も消されるように。 |
109篇14節かれの罪のみならず、その
文語訳 | 109篇14節 その |
口語訳 | 109篇14節 その父たちの不義は主のみ前に覚えられ、その母の罪を消し去らないでください。 |
関根訳 | 109篇14節 彼の父の咎はヤハヴェに |
新共同 | 109篇14節 主が彼の父祖の悪をお忘れにならぬように。母の罪も消されることのないように。 |
*109篇15節かれらは
文語訳 | 109篇15節 かれらは |
口語訳 | 109篇15節 それらを常に主のみ前に置き、彼の記憶を地から断ってください。 |
関根訳 | 109篇15節 それらはヤハヴェの前にいつもとどまりヤハヴェが彼らの記憶を地から絶たれるように。 |
新共同 | 109篇15節 その悪と罪は常に主の御前にとどめられ その名は地上から断たれるように。 |
〔3〕かれらは詛われたり(16−20)
109篇16節かかる
文語訳 | 109篇16節
かかる |
口語訳 | 109篇16節 これは彼がいつくしみを施すことを思わず、かえって貧しい者、乏しい者を責め、心の痛める者を殺そうとしたからです。 |
関根訳 | 109篇16節 それは彼が愛をほどこすことを忘れあわれな貧しい者を迫害し、絶望した者を殺そうとしたからだ。 |
新共同 | 109篇16節 彼は慈しみの業を行うことに心を留めず 貧しく乏しい人々 心の挫けた人々を死に追いやった。 |
109篇17節かゝる
文語訳 | 109篇17節 かゝる |
口語訳 | 109篇17節 彼はのろうことを好んだ。のろいを彼に臨ませてください。彼は恵むことを喜ばなかった。恵みを彼から遠ざけてください。 |
関根訳 | 109篇17節 彼は |
新共同 | 109篇17節 彼は呪うことを好んだのだから 呪いは彼自身に返るように。祝福することを望まなかったのだから 祝福は彼を遠ざかるように。 |
109篇18節かゝかる
文語訳 | 109篇18節 かゝる |
口語訳 | 109篇18節 彼はのろいを衣のように着た。のろいを水のようにその身にしみこませ、油のようにその骨にしみこませてください。 |
関根訳 | 109篇18節 彼は呪いを着物のように着た。だからそれは水のように彼の中に入り込み油のように彼の骨の中にしみこむがよい。 |
新共同 | 109篇18節 呪いを衣として身にまとうがよい。呪いが水のように彼のはらわたに 油のように彼の骨に染み通るように。 |
109篇19節(この
文語訳 | 109篇19節 ねがはくは |
口語訳 | 109篇19節 またそれを自分の着る着物のようにならせ、常に締める帯のようにならせてください。 |
関根訳 | 109篇19節 呪いは彼が身をつつむ着物となり彼がいつも腰につけている帯になれ」。 |
新共同 | 109篇19節 呪いが彼のまとう衣となり 常に締める帯となるように。 |
109篇20節《
文語訳 | 109篇20節 これらの |
口語訳 | 109篇20節 これがわたしを非難する者と、わたしに逆らって悪いことを言う者の主からうける報いとしてください。 |
関根訳 | 109篇20節 これがわたしを訴える者たちとわたしに向かって悪いことを言う者のやり方です。 |
新共同 | 109篇20節 わたしに敵意を抱く者に対して わたしの魂をさいなもうと語る者に対して 主はこのように報いられる。 |
〔4〕エホバよ我をあわれみたまえ(21−31)
109篇21節されど(なんぢ)
文語訳 | 109篇21節 されど |
口語訳 | 109篇21節 しかし、わが主なる神よ、あなたはみ名のために、わたしを顧みてください。あなたのいつくしみの深きにより、わたしをお助けください。 |
関根訳 | 109篇21節 しかしわが主、ヤハヴェよ、み名の故にわたしをあしらって下さい、あなたの恵みは豊かでわたしを救い給う。 |
新共同 | 109篇21節 主よ、わたしの神よ 御名のために、わたしに計らい 恵み深く、慈しみによって わたしを助けてください。 |
109篇22節(げに)われは
文語訳 | 109篇22節 われは |
口語訳 | 109篇22節 わたしは貧しく、かつ乏しいのです。わたしの心はわがうちに傷ついています。 |
関根訳 | 109篇22節 まことにわたしは貧しくかつ乏しくわが心はわがうちに傷ついている。 |
新共同 | 109篇22節 わたしは貧しく乏しいのです。胸の奥で心は貫かれています。 |
109篇23節《われは夕日のために
文語訳 | 109篇23節 わがゆく |
口語訳 | 109篇23節 わたしは夕日の影のように去りゆき、いなごのように追い払われます。 |
関根訳 | 109篇23節 わたしは傾く影のように過ぎ去りいなごのように追いやられる。 |
新共同 | 109篇23節 移ろい行く影のようにわたしは去ります。いなごのように払い落とされます。 |
109篇24節わが
文語訳 | 109篇24節 わが |
口語訳 | 109篇24節 わたしのひざは断食によってよろめき、わたしの肉はやせ衰え、 |
関根訳 | 109篇24節 わたしのひざは断食のためにガタガタになりわたしの肉は脂を失ってひからびた。 |
新共同 | 109篇24節 断食して膝は弱くなり からだは脂肪を失い、衰えて行きます。 |
109篇25節われは彼らを愛しみたるにも関らず
文語訳 | 109篇25節 われは |
口語訳 | 109篇25節 わたしは彼らにそしられる者となりました。彼らはわたしを見ると、頭を振ります。 |
関根訳 | 109篇25節 わたしは彼らの |
新共同 | 109篇25節 わたしは人間の恥。彼らはわたしを見て頭を振ります。 |
109篇26節わが
文語訳 | 109篇26節 わが |
口語訳 | 109篇26節 わが神、主よ、わたしをお助けください。あなたのいつくしみにしたがって、わたしをお救いください。 |
関根訳 |
109篇26節 わが神ヤハヴェよ、わたしをお助け下さい、あなたの恵みに応じわたしを救って下さい。 |
新共同 | 109篇26節 わたしの神、主よ、わたしを助けてください。慈しみによってお救いください。 |
109篇27節かくして我を敵の手より救い出し給える時エホバよ、これ〔ら〕は〔
文語訳 | 109篇27節 ヱホバよこれらは |
口語訳 | 109篇27節 主よ、これがあなたのみ手のわざであること、あなたがそれをなされたことを、彼らに知らせてください。 |
関根訳 | 109篇27節 彼らは知るがよい、あなたの手がこのことを、ヤハヴェよ、あなたがそれをなさったことを。 |
新共同 | 109篇27節 それが御手によることを、御計らいであることを 主よ、人々は知るでしょう。 |
109篇28節かれらは
文語訳 | 109篇28節 かれらは |
口語訳 | 109篇28節 彼らはのろうけれども、あなたは祝福されます。わたしを攻める者をはずかしめ、あなたのしもべを喜ばせてください。 |
関根訳 | 109篇28節 彼らは呪い、あなたは祝福される。わたしの敵は恥じ、あなたの僕は喜ぶように。 |
新共同 | 109篇28節 彼らは呪いますが あなたは祝福してくださいます。彼らは反逆し、恥に落とされますが あなたの僕は喜び祝います。 |
109篇29節わが〔もろもろの〕
文語訳 | 109篇29節 わがもろもろの |
口語訳 | 109篇29節 わたしを非難する者にはずかしめを着せ、おのが恥を上着のようにまとわせてください。 |
関根訳 | 109篇29節 わたしを憎む者は恥を身にまといその |
新共同 | 109篇29節 わたしに敵意を抱く者は辱めを衣とし 恥を上着としてまとうでしょう。 |
109篇30節われはかゝる事を行い給える事に対しわが
文語訳 | 109篇30節 われはわが |
口語訳 | 109篇30節 わたしはわが口をもって大いに主に感謝し、多くの人のなかで主をほめたたえます。 |
関根訳 | 109篇30節 わたしはわが口でヤハヴェを大いに讃え、多くの者の間で彼をほめ讃えよう。 |
新共同 | 109篇30節 わたしはこの口をもって 主に尽きぬ感謝をささげ 多くの人の中で主を賛美します。 |
109篇31節(そは)エホバはまづしきものの
文語訳 | 109篇31節 ヱホバはまづしきものの |
口語訳 | 109篇31節 主は貧しい者の右に立って、死罪にさだめようとする者から彼を救われるからです。 |
関根訳 | 109篇31節 げに彼は貧しい者の右に立ちその生命を審く者より救われる。 |
新共同 | 109篇31節 主は乏しい人の右に立ち 死に定める裁きから救ってくださいます。 |