黒崎幸吉著 旧約聖書略註 Web版 詩篇





詩篇 第117篇

関根訳ヴェをほめよ


簡単にして雄大なる詩である。全詩篇の中最も短い一篇であるけれども、最も大なる内容を有するものということができる。イスラエルの選民たる所以は、結局において全世界をエホバに導かんが為である事を歌へるものとして重要なる意義を有す。パウロもこの詩を引用して(ロマ15:7、8、11)イエス・キリストを異邦人に宣伝うる理由としている。


117篇1節《すべての異邦人(ことくにびと)よ、》【もろもろの國よ】なんぢらエホバを()めまつれ、エホバこそまことの神に在し給うなれ、もろもろの(たみ)よ、エホバは唯イスラエルのみの神にあらざる故なんぢらも共にエホバを(たた)へまつれ。

文語訳117篇1節 もろもろの(くこ)よなんぢらヱホバを()めまつれ もろもろの(たみ)よなんぢらヱホバを(たた)へまつれ
口語訳117篇1節 もろもろの国よ、主をほめたたえよ。もろもろの民よ、主をたたえまつれ。
関根訳117篇1節 すべての国民(くにたみ)よ、ヤヴェをほめよ、すべての(やから)よ、彼をたたえよ!
新共同117篇1節 すべての国よ、主を賛美せよ。すべての民よ、主をほめたたえよ。


117篇2節そはイスラエルの歴史に於てエホバがわれらに(たま)ふその憐憫(あはれみ)(おほい)《にして》【なり】量る事能わず、またエホバの眞實(まこと)はとこしへに()ゆる(こと)く、必ずその約束を実行し給うべ《ければなり。》【し】而してこの憐憫と真実とはエホバの本質にして、エホバは之を以て凡ての異邦の民に臨みたまうべければなり《ヤハ》【エホバ】をほめまつれ(ハレルヤ)

文語訳117篇2節 そはわれらに(たま)ふその憐憫(あはれみ)はおほいなり ヱホバの眞實(まこと)はとこしへに()ゆることなしヱホバをほめまつれ
口語訳117篇2節 われらに賜わるそのいつくしみは大きいからである。主のまことはとこしえに絶えることがない。主をほめたたえよ。
関根訳117篇2節 げにそのいつくしみはわれらの上に強くその真実(まこと)はとこしえにつづく。ハレルヤ!
新共同117篇2節 主の慈しみとまことはとこしえに わたしたちを超えて力強い。ハレルヤ。


補註
ロマ15:7-11を本篇と比較して熟読すべし。最後のハレルヤは七十人訳にては次篇の冒頭にあり、この方正し。