黒崎幸吉著 旧約聖書略註 Web版 詩篇





詩篇 第121篇

関根訳わが助け

文語訳( )(みやこ)まうでの(うた)
口語訳都もうでの歌

京もうでの歌として最も相応しきものゝ一つであって、シオンの山に近づきつゝある巡礼者たちが互に語り合う主題を歌にしたものとも見ることを得、またこれを交読的に歌えるものと見ても適当である。エホバの助けの完全性、永遠性を歌う。


121篇1節われシオンの丘の立つ処のもろもろの(やま)にむかひて()をあぐ、かくして自ら心に問うて曰くわが扶助(たすけ)はいづこよりきたるや。

文語訳121篇1節 われ(やま)にむかひて ()をあぐ わが扶助(たすけ)はいづこよりきたるや
口語訳121篇1節 わたしは山にむかって目をあげる。わが助けは、どこから来るであろうか。
関根訳121篇1節 都もうでの歌。わたしは山々に向かって眼をあげる。わが助けはいずこより来るか。
新共同121篇1節 【都に上る歌。】目を上げて、わたしは山々を仰ぐ。わたしの助けはどこから来るのか。


121篇2節わがたすけはこの山々をその住家とする、天地(あめつち)をつくりたまへるエホバよりきたる。故にその扶助は不変不動なり。

文語訳121篇2節 わがたすけは天地(あめつち)をつくりたまへるヱホバよりきたる
口語訳121篇2節 わが助けは、天と地を造られた主から来る。
関根訳121篇2節 わが助けは天地を造られたヤヴェのもとから来る。
新共同121篇2節 わたしの助けは来る 天地を造られた主のもとから。


*121篇3節エホバは常になんぢを助け給うが故になんぢの(あし)のうごかさるゝを(ゆる)したまはず、汝の足を堅く立たしめ、(なんぢ)をまもるものなるエホバ常に汝の上を見守りて微睡(まどろ)みたまふことなし。

文語訳121篇3節 ヱホバはなんぢの(あし)のうこかさるゝを(ゆる)したまはず (なんぢ)をまもるものは微睡(まどろ)みたまふことなし
口語訳121篇3節 主はあなたの足の動かされるのをゆるされない。あなたを守る者はまどろむことがない。
関根訳121篇3節 彼は君の脚のよろめきを許さず君を守る者はまどろまない。
新共同121篇3節 どうか、主があなたを助けて 足がよろめかないようにし まどろむことなく見守ってくださるように。


補註
「容したまはざらん事を・・・・・・微睡みたまはざらん事を」と読むべしとする説あり。


121篇4節()よ、従来の歴史を顧み将来を思う時イスラエルを(まも)りたまふものは、微睡(まどろ)むこともなく、(ねぶ)ることもなからん。彼は常に絶えずその守護をイスラエルの上に垂れたまわん。

文語訳121篇4節 ()よイスラエルを(まも)りたまふものは 微睡(まどろ)むこともなく(ねぶ)ることもなからん
口語訳121篇4節 見よ、イスラエルを守る者はまどろむこともなく、眠ることもない。
関根訳121篇4節 見よ、イスラエルを守る者はまどろむことも眠ることもない。
新共同121篇4節 見よ、イスラエルを見守る方は まどろむことなく、眠ることもない。


121篇5節エホバはかくの如くに(なんぢ)をまもる(もの)なり、エホバはなんぢ《をおほふ(かげ)にしてなんぢの*右方(みぎて)(いま)(たま)ふ。》【の右手をおほふ蔭なり】かくしてなんぢは完全にエホバによりて守らる。

文語訳121篇5節 ヱホバは(なんぢ)をまもる(もの)なり ヱホバはなんぢの右手(みぎのて)をおほふ(かげ)なり
口語訳121篇5節 主はあなたを守る者、主はあなたの右の手をおおう陰である。
関根訳 121篇5節 ヴェは君を守る者、君の右手を蔽う蔭。
新共同121篇5節 主はあなたを見守る方 あなたを覆う陰、あなたの右にいます方。


補註
「右手をおほふ蔭」と訳する場合は汝の大切なる部分を守る意味となる。私訳の如くに訳することを得。


121篇6節ひるは()なんぢをうたず、エホバは汝を日射病より守り給い、(よる)*(つき)なんぢをうたじ。汝はかくしてエホバに守られて狂人たる事を免るゝなり。

文語訳121篇6節 ひるは()なんぢをうたず (よる)(つき)なんぢを(うた)
口語訳121篇6節 昼は太陽があなたを撃つことなく、夜は月があなたを撃つことはない。
関根訳121篇6節 昼は日君を打たず夜は月君を打たぬ。
新共同121篇6節 昼、太陽はあなたを撃つことがなく 夜、月もあなたを撃つことがない。


補註
当時は狂人は月光にうたれた結果と考えられた。


121篇7節エホバは【汝を守りて】もろもろの禍害(わざはひ)《より(なんぢ)(まも)り、》【をまぬかれしめ】また(なんぢ)靈魂(たましひ)をまもりたまはん。かくして肉体も霊魂も共にエホバの守り給う所とならん。

文語訳121篇7節 ヱホバはなんぢを(まも)りてもろもろの禍害(わざはひ)をまぬかれしめ (また)なんぢの靈魂(たましひ)をまもりたまはん
口語訳121篇7節 主はあなたを守って、すべての災を免れさせ、またあなたの命を守られる。
関根訳121篇7節 ヴェはすべての災いから君を守り君の生命を守られる。
新共同121篇7節 主がすべての災いを遠ざけて あなたを見守り あなたの魂を見守ってくださるように。


121篇8節エホバは(いま)よりとこしへにいたるまで(なんぢ)のいづるといるとをまもりたまはん。汝の一挙手一投足、汝の凡ての事業凡ての交際に於て汝をまもりたまわん。

文語訳121篇8節 ヱホバは(いま)よりとこしへにいたるまで (なんぢ)のいづると入るとをまもりたまはん
口語訳121篇8節 主は今からとこしえに至るまで、あなたの出ると入るとを守られるであろう。
関根訳121篇8節 ヴェは今から永遠まで君の出入りを守られる。
新共同121篇8節 あなたの出で立つのも帰るのも 主が見守ってくださるように。今も、そしてとこしえに。