黒崎幸吉著 旧約聖書略註 Web版 詩篇





詩篇 第124篇

関根訳感謝

文語訳( )ダビデのよめる(みやこ)まうでの(うた)
口語訳ダビデがよんだ都もうでの歌

ダビデの名称は122篇と同様不適当なり、唯本篇の力強き調子はダビデを偲ばしむるものあり。本篇はイスラエルが非常なる危険にさらされし時、エホバの助によりてその危機を脱したる時の歌であって、その危険の思い出が未だ生き生きとして作者の胸にせまるものがある。ネヘミヤ4:7−23の場合を想像する学者があるが確定し得ない。唯かゝる想像の下に本篇を読むことは本篇の理解を助ける。


*124篇1節(いま)イスラエルはその救を思い浮べていふべし、エホバもし彼の危機に際してわれらの(かた)にいまさず、われらを助け給わざりしならば、

文語訳124篇1節 (いま)イスラエルはいふべし ヱホバもしわれらの(かた)にいまさず
口語訳124篇1節 今、イスラエルは言え、主がもしわれらの方におられなかったならば、
関根訳124篇1節 ダビデの都もうでの歌。ヤヴェがもしわれらの側にいまさなかったら―とイスラエルは言え―
新共同124篇1節 【都に上る歌。ダビデの詩。】イスラエルよ、言え。「主がわたしたちの味方でなかったなら


補註
1、2は前提文、3-5はその結論となる。


*124篇2節また敵なる(ひと)(びと)〕われらにさからひて(おこ)りたつとき、エホバもし我等(われら)のかたに(いま)さざりしならんには、

文語訳124篇2節 人々(ひとびと)われらにさからひて()こりたつとき ヱホバもし我儕(われら)のかたに(いま)さゞりしならんには
口語訳124篇2節 人々がわれらに逆らって立ちあがったとき、主がもしわれらの方におられなかったならば、
関根訳124篇2節 ヴェがもしわれらの側にいまさなかったら人々がわれらに向かって立ち上がったとき
新共同124篇2節 主がわたしたちの味方でなかったなら わたしたちに逆らう者が立ったとき


*124篇3節かれらの(いかり)のわれらにむかひておこりし(とき)、われらを助くる何者もなき故われらを()けるまゝにて()みしならん。

文語訳124篇3節 かれらの(いかり)のわれらにむかひておこりし(とき)われらを()けるまゝにて()みしならん
口語訳124篇3節 彼らの怒りがわれらにむかって燃えたったとき、彼らはわれらを生きているままで、のんだであろう。
関根訳124篇3節 彼らの怒りがわれらに向かって燃え、その時彼らはわれらを生きながら()みこんだであろう。
新共同124篇3節 そのとき、わたしたちは生きながら 敵意の炎に呑み込まれていたであろう。


*124篇4節また大水が家屋をのみ之を流す如く(みづ)はわれらをおほひて我らを溺れしめ、(ながれ)はわれらの靈魂(たましひ)をうちこえて我らを流し、

文語訳124篇4節 また(みず)はわれらをおほひ (ながれ)はわれらの靈魂(たましひ)をうちこえ
口語訳124篇4節 また大水はわれらを押し流し、激流はわれらの上を越え、
関根訳124篇4節 そのとき大水はわれらを押し流し流れはわれらの喉元まであふれたであろう。
新共同124篇4節 そのとき、大水がわたしたちを押し流し 激流がわたしたちを越えて行ったであろう。


*124篇5節(たか)ぶる敵にも比すべき(みづ)はわれらの靈魂(たましひ)をうちこえしならん。もしエホバの助なかりしならば我らはこの強力なる敵の為に一瞬にして亡ぼされしならん。

文語訳124篇5節 五高(たか)ぶる(みつ)はわれらの靈魂(たましひ)をうちこえしならん
口語訳124篇5節 さか巻く水はわれらの上を越えたであろう。
関根訳124篇5節 (そのとき激流はわれらの喉元まであふれたであろう。)
新共同 124篇5節 そのとき、わたしたちを越えて行ったであろう 驕り高ぶる大水が。」


124篇6節エホバはほむべきかな、この危機より我らを救い出し、我等(われら)をかれらの()にわたして()みくらはせたまはざりき。

文語訳124篇6節 ヱホバはほむべきかな我儕(われら)をかれらの()にわたして()みくらはせたまはざりき
口語訳124篇6節 主はほむべきかな。主はわれらをえじきとして彼らの歯にわたされなかった。
関根訳124篇6節 われらを彼らの歯の餌食(えじき)としたまわなかったヤヴェはほむべきかな。
新共同124篇6節 主をたたえよ。主はわたしたちを敵の餌食になさらなかった。


124篇7節(われ)らのたましひは捕鳥者(とりとり)のわなをのがるゝ(とり)のごとくに危機一髪の場合に辛うじてのがれたり、(わな)はやぶれてわれらはのがれたり。

文語訳124篇7節 我儕(われら)のたましひは捕鳥者(とりとり)のわなをのがるゝ(とり)のごとくにのがれたり (わな)はやぶれてわれらはのがれたり
口語訳124篇7節 われらは野鳥を捕えるわなをのがれる鳥のようにのがれた。わなは破れてわれらはのがれた。
関根訳124篇7節 われらの生命は鳥捕りのわなを逃れる鳥のように逃れた。わなは破れて、われらは逃れた。
新共同124篇7節 仕掛けられた網から逃れる鳥のように わたしたちの魂は逃れ出た。網は破られ、わたしたちは逃れ出た。


124篇8節われらの(たすけ)天地(あめつち)をつくりたまへるエホバの御名(みな)にあり。それ故に我らは安し、如何なる場合にも我らは敵の手より救わるるなり。

文語訳124篇8節 われらの(たすけ)天地(あめつち)をつくりたまへるヱホバの(みな)にあり
口語訳124篇8節 われらの助けは天地を造られた主のみ名にある。
関根訳124篇8節 われらの助けは天地を造ったヤヴェのみ名にある。
新共同124篇8節 わたしたちの助けは 天地を造られた主の御名にある。