黒崎幸吉著 旧約聖書略註 Web版 詩篇





詩篇 第135篇

関根訳讃美


礼拝用として預言書や歴史書や他の詩篇よりの引用を繋ぎ合せて作られた詩であってエホバの恩恵を各方面より観察しこれを排列し、エホバを讃めまつるべきことを教えた詩である。作詩の時代および作詩者等につき確実なる推定は困難であるけれども後代のものであることは明かである。


〔1〕エホバはイスラエルを選び給えり(1−4)
135篇1節なんぢら《ヤハ》【エホバ】を讃稱(ほめたゝ)へよ(ハレルヤ)、エホバの御名(みな)をほめたたへよ、エホバの(しもべ)讃稱(ほめたゝ)へよ。

文語訳135篇1節 なんぢらヱホバを讃稱(ほめたた)へよ ヱホバの(みな)をほめたゝへよ ヱホバの僕等(しもべら)ほめたゝへよ
口語訳135篇1節 主をほめたたえよ、主のみ名をほめたたえよ。主のしもべたちよ、ほめたたえよ。
関根訳135篇1節 ヴェをほめ(たた)えよ。ヤヴェのみ名をほめ讃えよ、ヤヴェの僕たちよ、ほめ讃えよ。
新共同135篇1節 ハレルヤ。賛美せよ、主の御名を 賛美せよ、主の僕らよ


*135篇2節すなわちエホバの(いへ)、われらの(かみ)(いへ)大庭(おほには)にたつものなるイスラエルの民よ、〔讃稱(ほめたゝ)へよ。〕

文語訳135篇2節 ヱホバの(いへ)われらの(かみ)のいへの大庭(おほには)にたつものよ 讃稱(ほめたた)へよ
口語訳135篇2節 主の家に立つ者、われらの神の家の大庭に立つ者よ、ほめたたえよ。
関根訳135篇2節 ヴェの家に立つ者、われらの神の家の前庭に立つ者よ、
新共同135篇2節 主の家に わたしたちの神の家の庭に居並ぶ人々よ。


補註
2は1節の従属句にして「大庭に立つ處のエホバの僕らよ・・・・・・」となる。


135篇3節エホバは(めぐみ)ふか《ければ、》【し】なんぢら《ヤハ》【エホバ】をほめたゝへよ、その聖名(みな)はうるはし(ければ、(これ)を)ほめうたへ。

文語訳135篇3節 ヱホバは(めぐみ)ふかし なんぢらヱホバをほめたゝへよ その聖名(みな)はうるはし()めうたへ
口語訳135篇3節 主は恵みふかい、主をほめたたえよ。主は情ぶかい、そのみ名をほめ歌え。
関根訳135篇3節 をほめ讃えよ。まことにヤヴェは恵み深い。そのみ名をほめ歌え、まことにそれは(うる)わしい。
新共同135篇3節 主を賛美せよ、恵み深い主を。喜ばしい御名をほめ歌え。


135篇4節そはヤハおのがためにヤコブをえらみ、イスラエルをえらみて之を深く愛撫してその珍寳(うづたから)となし《たまひたればなり。》【たまへり】イスラエルの民よ汝らエホバに選ばれたれば声高らかにエホバをほめたゝえよ。

文語訳135篇4節 そはヤハおのがためにヤコブをえらみ イスラエルをえらみて その珍寶(うづたから)となしたまへり
口語訳135篇4節 主はおのがためにヤコブを選び、イスラエルを選んで、おのれの所有とされた。
関根訳135篇4節 まことにヤコブをヤは選び、イスラエルをその所有とされた。
新共同135篇4節 主はヤコブを御自分のために選び イスラエルを御自分の宝とされた。


〔2〕エホバは天然を支配し給う(5−7)
135篇5節われエホバの(おほい)なると、われらの(しゆ)たる真の神他の偶像に過ぎざるもろもろの(かみ)(がみ))にまされるとをしれり。

文語訳135篇5節 われヱホバの(おほい)なるとわれらの(しゆ)のもろもろの(かみ)にまされるとをしれり
口語訳135篇5節 わたしは主の大いなることと、われらの主のすべての神にまさることとを知っている。
関根訳135篇5節 まことにわたしは知る、ヤヴェは大いにいまし、われらの主はすべての神々にまさることを。
新共同135篇5節 わたしは確かに知った 主は大いなる方 わたしたちの主は、どの神にもまさって大いなる方。


135篇6節エホバその聖旨(みこゝろ)にかなふことを何者にも掣肘せられず、何等の妨もなく自由に(あめ)にも(つち)にも(うみ)にも(ふち)にも(みな)ことごとく(おこな)(たま)ふなり(115:3)

文語訳135篇6節 ヱホバその聖旨(みこころ)にかなふことを (あめ)にも(つち)にも(うみ)にも(ふち)にも みなことごとく(おこな)(たま)ふなり
口語訳135篇6節 主はそのみこころにかなう事を、天にも地にも、海にもすべての淵にも行われる。
関根訳135篇6節 ヴェはみ心のままにみななし給う、天でも地でも、海でも、すべての深き(ふち)でも。
新共同135篇6節 天において、地において 海とすべての深淵において 主は何事をも御旨のままに行われる。


135篇7節エホバは()のはてより(きり)をのぼらせ、(あめ)のために電光(いなづま)をつくり、その(くら)より(かぜ)をいだしたまふ。自然の諸現象は皆ことごとくエホバの御手を以てなし給う所なり。

文語訳135篇7節 ヱホバは()のはてより(きり)をのぼらせ (あめ)のために電光(いなづま)をつくり その(くら)より(かぜ)をいだしたまふ
口語訳135篇7節 主は地のはてから雲をのぼらせ、雨のためにいなずまを造り、その倉から風を出される。
関根訳135篇7節 彼は雲を地の果てから起こし、雨のために稲妻を作り、風をその倉から出させる。
新共同135篇7節 地の果てに雨雲を湧き上がらせ 稲妻を放って雨を降らせ 風を倉から送り出される。


〔3〕エホバは歴史を支配し給う(8−12)
135篇8節エホバはイスラエルをエジプトより導き出し給うとき、(ひと)より畜類(けだもの)にいたるまでエジプトの首生(うひご)をうち之をころしたまへり。

文語訳135篇8節 ヱホバは(ひと)より畜類(けだもの)にいたるまでエジプトの首出(うひご)をうちたまへり
口語訳135篇8節 主は人から獣にいたるまで、エジプトのういごを撃たれた。
関根訳135篇8節 エジプトの初子(ういご)を人から獣まで打ち、
新共同135篇8節 主はエジプトの初子をことごとく 人の子も家畜の子も撃ち


135篇9節エジプトよ、エホバはなんぢの(なか)種々なる(しるし)(くす)しき事跡(みわざ)とをおくりて、イスラエルを迫害せるエジプト王パロとその(しもべ)とに(のぞ)ませたまへり。

文語訳135篇9節 エジプトよヱホバはなんぢの(なか)にしるしと(くす)しき事跡(みわざ)とをおくりて パロとその(しもべ)とに(のぞ)ませ(たま)へり
口語訳135篇9節 エジプトよ、主はおまえの中に、しるしと不思議とを送って、パロとそのすべてのしもべとに臨まれた。
関根訳135篇9節 パロとそのすべての僕たちに兆しと不思議を送った。
新共同135篇9節 エジプト中に、しるしと奇跡を送られた ファラオとその家臣すべてに対して。


135篇10節エホバはイスラエルに敵対するおほくの《異邦(ことくに)》【國々】をうち、(また)いきほひある王等(わうたち)をころし(たま)へり。

文語訳135篇10節 ヱホバはおほくの(くにぐに)々をうち (また)いきほひある王等(わうたち)をころし(たま)へり
口語訳135篇10節 主は多くの国民を撃ち、力ある王たちを殺された。
関根訳135篇10節 多くの国民を打ち、強き王たちを殺した、
新共同135篇10節 主は多くの国を撃ち、強大な王らを倒された


135篇11節すなわちアモリ(びと)(わう)シホン(民数21:21以下)、バシヤンの(わう)オグ(民数21:33)ならびにカナンの(もろもろの)國々(くにぐに)なり(ヨシュア12:7-24)

文語訳135篇11節 アモリ(びと)のわうシホン、バシヤンの(わう)オグならびにカナンの(くにぐに)々なり
口語訳135篇11節 すなわちアモリびとの王シホン、バシャンの王オグ、ならびにカナンのすべての国々である。
関根訳135篇11節 エモリ人の王シホン、バシャンの王オグ、カナンのすべての王たちを。
新共同135篇11節 アモリ人の王シホン、バシャンの王オグを カナンの王国をことごとく。


135篇12節エホバはかれらの()征服して之をゆづりとし、その(たみ)イスラエルの嗣業(ゆづり)としてあたへたまへり。

文語訳135篇12節 かれらの()をゆづりとし その(たみ)イスラエルの嗣業(ゆづり)としてあたへ(たま)へり
口語訳135篇12節 主は彼らの地を嗣業とし、その民イスラエルに嗣業として与えられた。
関根訳135篇12節 彼らの土地を嗣業として与え、その民イスラエルに嗣業として与えた。
新共同135篇12節 彼らの領地を嗣業として 嗣業として御自分の民イスラエルに与えられた。


〔4〕エホバと偶像(13−18)
135篇13節エホバよ、なんぢの御名(みな)はとこしへに()ゆることなし、エホバよ、なんぢの記念(きねん)はよろづ()(およ)ばん。エホバは永遠より永遠に在し給う。

文語訳135篇13節 ヱホバよなんぢの(みな)はとこしへに()ゆることなし ヱホバよなんぢの記念(きねん)はようつ()におよばん
口語訳135篇13節 主よ、あなたのみ名はとこしえに絶えることがない。主よ、あなたの名声はよろずよに及ぶ。
関根訳135篇13節 ヴェよ、あなたのみ名はとこしえに続きヤヴェよ、あなたの呼名(よびな)はよろず代に続く。
新共同135篇13節 主よ、御名はとこしえに。主よ、御名の記念は代々に。


135篇14節(そは)エホバはその(たみ)《をさばき》【のために審判をなし】時にあまりに激しくさばき給うときはその(しもべ)ら《につき()ひたまふ》【にかゝはれる聖意をかへたまふ】べければなり。

文語訳135篇14節 ヱホバはその(たみ)のために審判(さばき)をなし その僕等(しもべら)にかゝはれる聖意(みこころ)をかへたまふ()ければなり
口語訳135篇14節 主はその民をさばき、そのしもべらにあわれみをかけられるからである。
関根訳135篇14節 まことにヤヴェはその民を(さば)き、その僕たちを(あわ)れまれる。
新共同135篇14節 主は御自分の民の裁きを行い 僕らを力づけられる。


*135篇15節異邦々(ことくにぐに)》【もろもろの國】の偶像(ぐうざう)はしろかねと(こがね)にして(ひと)()(わざ)なり。まことの神にあらず。

文語訳135篇15節 もろもろのくにの偶像(ぐうざう)はしろかねと(こがね)にして(ひと)()のわざなり
口語訳135篇15節 もろもろの国民の偶像はしろがねと、こがねで、人の手のわざである。
関根訳135篇15節 諸国民の偶像は銀や金で人の手の(わざ)
新共同135篇15節 国々の偶像は金や銀にすぎず 人間の手が造ったもの。


補註
15-18は115:4-8と殆んど同様なり。


135篇16節その偶像(ぐうざう)(くち)あれどいはず、()あれど()ず、

文語訳135篇16節 そのぐうざうは(くち)あれどいはず()あれど()
口語訳135篇16節 それは口があっても語ることができない。目があっても見ることができない。
関根訳135篇16節 彼らに口があっても物言わず、眼があっても見ることがない。
新共同135篇16節 口があっても話せず 目があっても見えない。


135篇17節(みみ)あれどきかずまたその(くち)氣息(いき)あることなし。彼らは全くの無生物にして、万物をつくり給えるエホバに比すべきにあらず。

文語訳135篇17節 (みみ)あれどきかず またその(くち)氣息(いき)あることなし
口語訳135篇17節 耳があっても聞くことができない。またその口には息がない。
関根訳135篇17節 耳があっても聞くことがなく、また彼らの口には息がない。
新共同135篇17節 耳があっても聞こえず 鼻と口には息が通わない。


135篇18節これを(つく)るものと(これ)によりたのむものとは(みな)これにひとしく全く無力なる偶像と同じからん。

文語訳135篇18節 これを(つく)るものと(これ)によりたのむものとは(みな)これにひとしからん
口語訳135篇18節 これを造る者と、これに信頼する者とはみな、これと等しい者になる。
関根訳135篇18節 それらを作った者、すべてそれらに依り頼む者はそれらと等しくなるであろう。
新共同135篇18節 偶像を造り、それに依り頼む者は 皆、偶像と同じようになる。


〔5〕エホバをほめまつれ(19−21)
135篇19節*イスラエルの(いへ)よ、エホバをほめまつれ、*アロンの(いへ)よ、エホバをほめまつれ。

文語訳135篇19節 イスラエルの(いへ)よヱホバをほめまつれ アロンのいへよヱホバをほめまつれ
口語訳135篇19節 イスラエルの家よ、主をほめよ。アロンの家よ、主をほめよ。
関根訳135篇19節 イスラエルの家よ、ヤヴェをほめよ、アロンの家よ、ヤヴェをほめよ、
新共同135篇19節 イスラエルの家よ、主をたたえよ。アロンの家よ、主をたたえよ。


補註
19、20の「イスラエルの家」「アロンの家」「レビの家」「エホバを畏るゝ者」につきては115:9-11、118:2-4参照。


135篇20節*レビの(いへ)よ、エホバをほめまつれ、*エホバを(おそ)るゝものよ、エホバをほめまつれ。全イスラエルよ挙ってエホバをほめまつれ。

文語訳135篇20節 レビの(いへ)よヱホバをほめまつれ ヱホバを(おそ)るゝものよヱホバをほめまつれ
口語訳135篇20節 レビの家よ、主をほめよ。主を恐れる者よ、主をほめまつれ。
関根訳135篇20節 レビの家よ、ヤヴェをほめよ、ヤヴェを(おそ)れる者よ、ヤヴェをほめよ。
新共同135篇20節 レビの家よ、主をたたえよ。主を畏れる人よ、主をたたえよ。


135篇21節エルサレムに()みたまふエホバはシオンにてほめまつるべきかな、エルサレムとシオンとはまことにエホバを讃めまつるに相応しき所なり。《ヤハ》【エホバ】をほめたゝへよ(ハレルヤ)

文語訳135篇21節 エルサレムにすみたまふヱホバはシオンにて()めまつるべきかな ヱホバをほめたゝへよ
口語訳135篇21節 エルサレムに住まわれる主は、シオンからほめたたえらるべきである。主をほめたたえよ。
関根訳135篇21節 エルサレムに住み給うヤヴェはたたえられよ、シオンにて。ハレルヤ!
新共同135篇21節 シオンから、主をたたえよ エルサレムにいます主を。ハレルヤ。