黒崎幸吉著 旧約聖書略註 Web版 詩篇





詩篇 第18篇

関根訳王の感謝

文語訳( )伶長(うたのかみ)にうたはしめたるヱホバの(しもべ)ダビデの(うた)、このうたの(ことば)はもろもろの(あた)およびサウルの()より(すく)はれしときヱホバに(むか)ひてうたへるなり (いは)
口語訳聖歌隊の指揮者によってうたわせた主のしもべダビデの歌、すなわち主がもろもろのあだの手とサウルの手から救い出された日にダビデはこの歌の言葉を主にむかって述べて言った
関根訳18篇1節聖歌隊の指揮者に、ヤヴェの(しもべ)、ダビデによる。ヤヴェが彼をそのすべての敵の手と、サウルの力から救われた日に、彼はこの歌の言葉をヤヴェに述べて
新共同18篇1節【指揮者によって。主の僕の詩。ダビデの詩。主がダビデをすべての敵の手、また、サウルの手から救い出されたとき、彼はこの歌の言葉を主に述べた。】

本篇はサムエル後書22章と略同一である。表題の後半もサムエル後書によれるものなり。ダビデがサウルの迫害を逃れ、次第に外敵を征服して全イスラエルの民の王となり輝かしき将来を有するに至れる時の作と見るべきであって、彼はこの凡ての救と勝利と光栄とをエホバに帰し奉っているのを見る。サムエル後7、8章の頃の作として最も適当である。なおサムエル後書22章と何れが原詩なりやにつき論争あり、恐らく他にダビデ詩集のごときものが先に存したものと見るべきであろう。またサムエル後書と詩篇との間に処々に差異があるのは、おそらく筆写の誤と、詩篇の方が後より改訂せられた部分があったからであろう。


〔1〕エホバに対する讃美(1−3)
18篇1節)エホバ*われの(ちから)()われ心を尽し、精神を尽し、力を尽して(せつ)(なんぢ)(いつく)しむ。汝われを愛し、我を敵より救い給いたればなり。

文語訳18篇1節 ヱホバわれの(ちから)よ われ(せち)になんぢを(いつく)しむ
口語訳18篇1節 わが力なる主よ、わたしはあなたを愛します。
関根訳18篇2節 言った。ヤヴェよ、わたしはわが力なるあなたを愛する。
新共同18篇2節 主よ、わたしの力よ、わたしはあなたを慕う。


補註
「われの力よ」本篇はダビデ王の世界征服につき歌えるもの故「力」をその中心とすることが適当である。


18篇2節エホバはわが身を隠すべき*(いはほ)、わが立籠もるべき堅き(しろ)、われを敵の手より(すく)(もの)、《わが力の神わが避所(さけどころ)なる*(いはほ)》【わがよりたのむ(かみ)、わが堅固(けんご)なるいはほ】我が身を護る(たて)我に仇する者を防ぎてこれを逐い払うわが(すく)ひの*(つの)また敵の攻撃を避くるわが(たか)(やぐら)なり。

文語訳18篇2節 ヱホバはわが(いはほ) わが(しろ) われをすくふ(もの) わがよりたのむ(かみ) わが堅固(けんご)なるいはほ わが(たて) わがすくひの(つの) わがたかき(やぐら)なり
口語訳18篇2節 主はわが岩、わが城、わたしを救う者、わが神、わが寄り頼む岩、わが盾、わが救の角、わが高きやぐらです。
関根訳18篇3節 ヴェはわが岩、わが(とりで)、われを救う者、またわが神。わが隠れがなる(いわ)、わが盾、わが救いの角、またわが(やぐら)
新共同18篇3節 主はわたしの岩、砦、逃れ場 わたしの神、大岩、避けどころ わたしの盾、救いの角、砦の塔。


補註
第一の「巌」は険しき断崖のごとき岩、第二の「いはほ」は大なる堅き巌盤。「角」は牛の角のごとくその前に立つものをしてその攻撃にたえざらしむるもの。


18篇3節エホバはかかる神に在すが故にわれ(ほめ)(たゝ)ふべきエホバをよび彼に全き信頼をささぐる事により仇人(あたびと)の凡ての攻撃より(すく)はるることを()(サウルよりの迫害を逃れて彷徨し、多くの戦争に勝利を与えられしダビデの詩としてこれらの言を味わうべし)

文語訳18篇3節 われ讃稱(ほめたた)ふべきヱホバをよびて仇人(あたびと)よりすくはるゝことをえん
口語訳18篇3節 わたしはほめまつるべき主に呼ばわって、わたしの敵から救われるのです。
関根訳18篇4節 わたしはいたく傷つけられ、ヤヴェを呼ぶ。その時わたしは敵から救われる。
新共同18篇4節 ほむべき方、主をわたしは呼び求め 敵から救われる。


〔2〕苦悩の中よりエホバに叫ぶ(4−6)
18篇4節穽をもて鳥や獣を捕えんとするがごとくに*()のつな(われ)をめぐりて我を絞殺せんとし、滔々として支え得ざる(あく)のみなぎる(ながれ)われを(おそ)れしめたり。その勢の甚だ強かりしによる。

文語訳18篇4節 ()のつな(われ)をめぐり(あく)のみなぎる(ながれ)われをおそれしめたり
口語訳18篇4節 死の綱は、わたしを取り巻き、滅びの大水は、わたしを襲いました。
関根訳18篇5節 死の波わたしを囲み滅びの流れわたしを驚かす。
新共同18篇5節 死の縄がからみつき 奈落の激流がわたしをおののかせ


補註
「死のつな」はサムエル後書22章のごとく「死の浪」とする方適当なり。


18篇5節*陰府(よみ)*なははあたかも陥穽のなわのごとくに(われ)をかこみて我を捕えんとし、()のわな我をその中に引入れんとて(われ)にたちむかへり。

文語訳18篇5節 陰間(よみ)のなは(われ)をかこみ()のわな(われ)にたちむかへり
口語訳18篇5節 陰府の綱は、わたしを囲み、死のわなは、わたしに立ちむかいました。
関根訳18篇6節 陰府(よみ)の綱わたしを囲み死の(わな)わたしを襲う。
新共同18篇6節 陰府の縄がめぐり 死の網が仕掛けられている。


補註
「なは」は4節の「つな」と同語。「陰府」はシェオール。


18篇6節われはかくして死と陰府のつなに捕われんとし、その窮苦(なやみ)のうちにありてエホバをよび、(また)わが(かみ)にさけびてたすけを求めたり、エホバは天の処にあるその(みや)よりわが叫びの(こゑ)をききて我をあわれみたまふ、そのみ(まへ)にてわが《*(さけ)びし》【よびし】(こゑ)はその(みみ)()れり。エホバは常に我を忘れ給わず、我が祈りに耳を傾け給う。

文語訳18篇6節 われ窮苦(なやみ)のうちにありてヱホバをよび(また)わが(かみ)にさけびたり ヱホバはその(みや)よりわが(こゑ)をきゝたまふ その(みまへ)にてわがよびし(こゑ)はその(みみ)にいれり
口語訳18篇6節 わたしは悩みのうちに主に呼ばわり、わが神に叫び求めました。主はその宮からわたしの声を聞かれ、主にさけぶわたしの叫びがその耳に達しました。
関根訳18篇7節 苦しみの中にわたしはヤヴェを呼びわが神に向かってわたしは叫ぶ。彼はその宮よりわが声を聞きわが訴えはその耳にとどく。
新共同18篇7節 苦難の中から主を呼び求め わたしの神に向かって叫ぶと その声は神殿に響き 叫びは御前に至り、御耳に届く。


補註
「よびし」は「叫びし」を可とす。


〔3〕自然現象として顕るるエホバの審判(7−15)
18篇7節この(とき)エホバ彼に敵するこれらの仇を見、わが祈の声をききて(いか)りたまひたれば、その怒は大なる地震となりて()はふるひうごき*(やま)(もとゐ)はゆるぎうごきたり。

文語訳18篇7節 このときヱホバ(いか)りたまひたれば()はふるひうごき(やま)(もとゐ)はゆるぎうごきたり
口語訳18篇7節 そのとき地は揺れ動き、山々の基は震い動きました。主がお怒りになったからです。
関根訳18篇8節 地はゆれ動いた、天の(もと)いは震えた、それらはゆるいだ、彼が怒り給うたから。
新共同18篇8節 主の怒りは燃え上がり、地は揺れ動く。山々の基は震え、揺らぐ。


補註
「山の」はサムエル後書の「天の」の方適当なり。


18篇8節神の怒はまた火の息吹となり(けぶり)その(はな)よりたち、()その(くち)よりいでてわれらに敵するあらゆるものを()(つく)その熱激しくして(すみ)はこれがために(もえ)あがれり。

文語訳18篇8節 (けぶり)その(はな)よりたち()その(くち)よりいでてやきつくし(すみ)はこれがために()えあがれり
口語訳18篇8節 煙はその鼻から立ちのぼり、火はその口から出て焼きつくし、炭はそれによって燃えあがりました。
関根訳18篇9節 彼の鼻から煙は上り()いつくす火はその口から()で熱した炭火がその所から燃える。
新共同18篇9節 御怒りに煙は噴き上がり 御口の火は焼き尽くし、炎となって燃えさかる。


18篇9節エホバはまた審判のために暗雲の上に坐し(てん)をたれて(くだ)りたまふ、嵐を含む黒雲低迷してその()(あし)(した)(くら)きこと(はなは)だし。悽愴たる光景である。

文語訳18篇9節 ヱホバは(てん)をたれて(くだ)りたまふ その(みあし)(した)はくらきこと(はなは)だし
口語訳18篇9節 主は天をたれて下られ、暗やみがその足の下にありました。
関根訳18篇10節 彼は天を傾けて降り暗闇をその脚下に()まえ
新共同18篇10節 主は天を傾けて降り 密雲を足もとに従え


18篇10節かくてエホバはその御座の前にある*ケルブ(獣のごとき鳥のごとき活物、エゼキエル1:4以下ケルビムはその複数形)()りてとび、(かぜ)のつばさにて自由に天()けり、

文語訳18篇10節 かくてケルブに()りてとび(かぜ)のつばさにて()けり
口語訳18篇10節 主はケルブに乗って飛び、風の翼をもってかけり、
関根訳18篇11節 ケルブに乗って飛翔(ひしよう)し風の翼に乗って飛びかける。
新共同18篇11節 ケルブを駆って飛び 風の翼に乗って行かれる。


補註
「ケルブ」複数はケルビムでパラダイスの番卒、神の宮の中に置かるゝ像、神の侍者等種々の場合に用いらるる奇形の像(創世3:24、出エジプト25:18−22。エゼキエル10:1以下その他)。


18篇11節また嵐をふくむ(やみ)をおほひとなしてまさに暴風雨を起さんとし深きわだをなす(みづ)のくらきと、豪雨をふくむそらの密雲(くろくも)とをそのまはりの(まく)となしその中に坐したまへり。

文語訳18篇11節 (やみ)をおほひとなし(みづ)のくらきとそらの密雲(くろくも)とをそのまはりの(まく)となしたまへり
口語訳18篇11節 やみをおおいとして、自分のまわりに置き、水を含んだ暗い濃き雲をその幕屋とされました。
関根訳18篇12節 彼は(やみ)をその(おお)いとし暗い水をその幕屋とし給う。
新共同18篇12節 周りに闇を置いて隠れがとし 暗い雨雲、立ちこめる霧を幕屋とされる。


18篇12節エホバそこより怒の杯を傾け給うときそのみまへの光輝(かがやき)より《密雲(みつうん)》【くろくも】を()(へう)()えたる(すみ)とふりきたれり。降雹と噴火とが一時に起りしごとき光景となれり。

文語訳18篇12節 そのみまへの光輝(かがやき)よりくろくもをへて(ひよう)ともえたる(すみ)とふりきたれり
口語訳18篇12節 そのみ前の輝きから濃き雲を破って、ひょうと燃える炭とが降ってきました。
関根訳18篇13節 み前の輝きから雲と(ひよう)と火の炭が出る。
新共同18篇13節 御前にひらめく光に雲は従い 雹と火の雨が続く。


18篇13節而してその激しき怒はさらに加わり、エホバは(てん)雷鳴(いかづち)をとどろかせ〔たまへり〕、至上者(いとたかきもの)*その(こゑ)(いだ)したまへり。》【のこゑいでて(へう)ともえたる(すみ)とふりきたり】雷霆は実にエホバの怒の声である(「雹と・・・・・・ふりきたり」は筆写の際前節末尾を重複せるものと見てこれを省く)。

文語訳18篇13節 ヱホバは(てん)雷鳴(いかづち)をとゞろかせたまへり 至上者(いとたかきもの)のこゑいでて(ひよう)ともえたる(すみ)とふりきたり
口語訳18篇13節 主はまた天に雷をとどろかせ、いと高き者がみ声を出されると、ひょうと燃える炭とが降ってきました。
関根訳18篇14節 ヴェは天で雷鳴をとどろかせいと高き者はその声を発し給う。
新共同18篇14節 主は天から雷鳴をとどろかせ いと高き神は御声をあげられ 雹と火の雨が続く。


補註
「雹ともえたる炭とふりきたり」は前節の末尾が筆写の際混入せるものと見るべきである。


18篇14節エホバは雷鳴の()をとばせてわれに仇せる敵なるかれらを()()らし、(かず)(しげ)電光(いなづま)をはなちてかれらをうち(やぶ)りたまへり。かくしてエホバによりてわが敵は悉く審き尽されぬ。

文語訳18篇14節 ヱホバ()をとばせてかれらを(うち)ちらし(かず)しげき電光(いなづま)をはなちてかれらをうち(やぶ)りたまへり
口語訳18篇14節 主は矢を放って彼らを散らし、いなずまをひらめかして彼らを打ち敗られました。
関根訳18篇15節 彼は矢を放って彼らを散らし稲妻を投じて彼らを乱す。
新共同18篇15節 主の矢は飛び交い 稲妻は散乱する。


18篇15節エホバよ、(かか)るときに汝審きし給うときなんぢの叱咤(しつた)となんぢの(はな)のいぶきとにより地上には大なる変化が起り、河海の水悉く減じ(みづ)(そこ)みえ、()(もとゐ)あらはれいでたり。かくしてエホバはあらゆる天災地変によりてその怒を現し給う、実に天地が怒るごとくに、エホバはこの世の不義不信とに対して怒を発し給う。

文語訳18篇15節 ヱホバよ(かか)るときになんぢの叱咤(しつた)となんぢの(はな)のいぶきとによりて(みづ)(そこ)みえ()(もとゐ)あらはれいでたり
口語訳18篇15節 主よ、そのとき、あなたのとがめと、あなたの鼻のいぶきとによって、海の底はあらわれ、地の基があらわになったのです。
関根訳18篇16節 海の底は(あら)われ地の基いはその姿を現わす、ヤヴェよ、あなたの叱責によりあなたの怒りの(はげ)しい(いき)によって。
新共同18篇16節 主よ、あなたの叱咤に海の底は姿を現し あなたの怒りの息に世界はその基を示す。


〔4〕この審判の中よりエホバは救い出し給う(16−19)
18篇16節地震、噴火、洪水、電雷、等の中にありてエホバは我が義しきを知り給うが故にたかきより()をのべ、(われ)をとりて大水(おほみづ)よりひきあげ、我をして彼らと共に溺れしめ給わず。

文語訳18篇16節 ヱホバはたかきより()をのべ(われ)をとりて大水(おほみづ)よりひきあげ
口語訳18篇16節 主は高い所からみ手を伸べて、わたしを捕え、大水からわたしを引きあげ、
関根訳18篇17節 彼は高きより手を延ばしてわたしを捕え大水の中よりわたしを引き出し、
新共同18篇17節 主は高い天から御手を遣わしてわたしをとらえ 大水の中から引き上げてくださる。


18篇17節例えばサウルのごときわが(つよ)(あた)とわれを(にく)(もの)を打ち敗りて彼らより(われ)(たす)(いだ)したまへり、かれらは(われ)にまさりて()と《(つよ)ければエホバのたすけなしに我彼に勝ち能わざればなり。》【強かりき】

文語訳18篇17節 わがつよき(あた)とわれを憎(にく)むものとより(われ)をたすけいだしたまへり かれらは(われ)にまさりて最強(いとつよ)かりき
口語訳18篇17節 わたしの強い敵と、わたしを憎む者とからわたしを助け出されました。彼らはわたしにまさって強かったからです。
関根訳18篇18節 強きわが敵、われよりも強いわが仇よりわたしを救う。
新共同18篇18節 敵は力があり わたしを憎む者は勝ち誇っているが なお、主はわたしを救い出される。


18篇18節かれらは意地悪くもわが災害(わざはひ)()我が力衰えおる時を見て(われに)せまりきたれり、()れどかかる時にこそエホバはわが支柱(ささへ)となりて我を崩壊より支えたまひき。

文語訳18篇18節 かれらはわが災害(わざはひ)()にせまりきたれり (され)どヱホバはわが支桂(ささへ)となりたまひき
口語訳18篇18節 彼らはわたしの災の日にわたしを襲いました。しかし主はわたしのささえとなられました。
関根訳18篇19節 (わぎわ)いの日に彼らはわたしを襲ったがヤヴェはわが救いとなられた。
新共同18篇19節 彼らが攻め寄せる災いの日 主はわたしの支えとなり


18篇19節エホバはわれを己が子のごとくに(よろこ)びたまふがゆゑにわれを敵の圧迫に放置し給わず、我を(たずさ)(ひろ)(ところ)にいだして《(われ)(すく)(いだ)し》《助け》たまへり。

文語訳18篇19節 ヱホバはわれを(よろこ)びたまふがゆゑにわれをたづさへ廣處(ひろきところ)にいだして(たす)けたまへり
口語訳18篇19節 主はわたしを広い所につれ出し、わたしを喜ばれるがゆえに、わたしを助けられました。
関根訳18篇20節 彼はわたしを引き出して広き所に置き彼の愛の故にわたしを救う。
新共同18篇20節 わたしを広い所に導き出し、助けとなり 喜び迎えてくださる。


〔5〕エホバは義しき我に報い給えり(20−24)
18篇20節以上のごとくエホバは啻に我を敵の手より救い給えるのみならず、彼はまたわが正義(ただしき)にしたがひて我をよろしきに《あしらひたまひ》【恩賜をたまひ】、わが()罪に汚されず、全くきよきにしたがひて報賞(むくい)をたれたまへり。

文語訳18篇20節 ヱホバはわが正義(ただしき)にしたがひて恩賜(たまもの)をたまひ わが()のきよきにしたがひて報賞(むくい)をたれたまへり
口語訳18篇20節 主はわたしの義にしたがってわたしに報い、わたしの手の清きにしたがってわたしに報いかえされました。
関根訳18篇21節 ヴェはわが義に従ってわたしに報いわが手の潔きに従ってわたしに答え給う。
新共同18篇21節 主はわたしの正しさに報いてくださる。わたしの手の清さに応じて返してくださる。


18篇21節かくエホバの報償をかち得し所以の一はわれエホバの(みち)をまもりてその道の上を歩み決してこれよりさまよい出しことなく、また罪を犯し(あく)をなしてわが(かみ)より(はな)れしことなければなり。

文語訳18篇21節 われヱホバの(みち)をまもり(あく)をなしてわが(かみ)よりはなれしことなければなり
口語訳18篇21節 わたしは主の道を守り、悪意をもって、わが神を離れたことがなかったのです、
関根訳18篇22節 げにわたしはヤヴェの道を守りわたしの神に(そむ)かない。
新共同18篇22節 わたしは主の道を守り わたしの神に背かない。


18篇22節またその二はそのすべての審判(さばき)はわが(まへ)にありて、われは常にその前に畏れかしこみその《規法(のり)》【律法】はわれ常にこれを守り如何なる時にもそれ()てしことなければなり。

文語訳18篇22節 そのすべての審判(さばき)はわがまへにありて われその律法(おきて)をすてしことなければなり
口語訳18篇22節 そのすべてのおきてはわたしの前にあって、わたしはその定めを捨てたことがなかったのです。
関根訳18篇23節 彼の誠命(いましめ)はみなわが前にありその(おきて)をわたしは(しりぞ)けることがない。
新共同18篇23節 わたしは主の裁きをすべて前に置き 主の掟を遠ざけない。


18篇23節ゆえにわれ(かみ)にむかひて()くるところなく神はわがこの信仰の態度を嘉納し給いて我を完全きものと認めたまい、我はまたつつしみて(おのれ)を不義よりまもれり。》【まもりて不義(ふぎ)をはなれたり】

文語訳18篇23節 われ(かみ)にむかひて()くるところなく(おのれ)をまもりて不義(ふぎ)をはなれたり
口語訳18篇23節 わたしは主の前に欠けたところがなく、自分を守って罪を犯しませんでした。
関根訳18篇24節 わたしは彼の前に(まつた)く、わたしの罪から身を守った。
新共同18篇24節 わたしは主に対して無垢であろうとし 罪から身を守る。


18篇24節《かく》【この故に】エホバは(わが)ただしきとその()(まへ)にわが()のきよきとにしたがひて(われ)にむくいをなし(たま)へり。それ故に如何なる敵のあらびも我を害う事なし。

文語訳18篇24節 この(ゆゑ)にヱホバはわがたゞしきと その目前(めのまへ)にわが()のきよきとにしたがひて(われ)にむくいをなし(たま)へり
口語訳18篇24節 このゆえに主はわたしの義にしたがい、その目の前にわたしの手の清きにしたがってわたしに報いられました。
関根訳18篇25節 ヴェはわたしにわが義を返しみ前におけるわが手の潔きに報いた。
新共同18篇25節 主はわたしの正しさに応じて返してくださる。御目に対してわたしの手は清い。


〔6〕エホバは正しき報をなし給う(25−30)
18篇25節なんぢは公平に在し給うが故に憐憫(あはれみ)あるものにはそのあわれみに相応しく憐憫(あはれみ)あるものとなり、神に対して完全(また)態度を取る(もの)には自らもまた完全(また)きものとなり、

文語訳18篇25節 なんぢ憐憫(あはれみ)あるものには(あはれみ)あるものとなり完全(またき)ものには(また)きものとなり
口語訳18篇25節 あなたはいつくしみある者には、いつくしみある者となり、欠けたところのない者には、欠けたところのない者となり、
関根訳18篇26節 あなたは憐れみある者には憐れみある者となり全き者には全き者となり
新共同18篇26節 あなたの慈しみに生きる人に あなたは慈しみを示し 無垢な人には無垢に


18篇26節(みづか)らを(きよ)くするもの》【きよきもの】には(きよ)きものとなりてこれに対し給い、(ひが)(もの)には神もまたこれと同じくひがむ(もの)となりて彼らをこらしめたまふ(ロマ1:28)

文語訳18篇26節 きよきものには(きよ)きものとなり(ひが)むものにはひがむ(もの)となりたまふ
口語訳18篇26節 清い者には、清い者となり、ひがんだ者には、ひがんだ者となられます。
関根訳18篇27節 潔き者には潔き者となり曲れる者には愚かな者となられる。
新共同18篇27節 清い人には清くふるまい 心の曲がった者には背を向けられる。


18篇27節そは(なんぢ)はあわれみに富み給うが故に敵のために(くる)しめる(たみ)(すく)ひたまへど反対に自己の力に誇りて(たか)ぶる高慢なる()(ひく)くしたまふ()ければなり。

文語訳18篇27節 そは(なんぢ)くるしめる(たみ)をすくひたまへど(たか)ぶる()をひくゝしたまふ()ければなり
口語訳18篇27節 あなたは苦しんでいる民を救われますが、高ぶる目をひくくされるのです。
関根訳18篇28節 あなたは(ひく)き民を救い高ぶりの眼を低くされる。
新共同18篇28節 あなたは貧しい民を救い上げ 高ぶる目を引き下ろされる。


18篇28節かくしてなんぢわが燈火(ともしび)をともしてダビデの生命を長からしめその家系を栄えしめ(たま)ふべければなり〕、わが(かみ)エホバ我をたすけわが運命の衰えんとする時わが(くらき)(てら)し《(たま)ふべければなり。》【たまはん】

文語訳18篇28節 なんぢわが燈火(ともしび)をともし(たま)ふべければなり わが(かみ)ヱホバわが(くらき)をてらしたまはん
口語訳18篇28節 あなたはわたしのともしびをともし、わが神、主はわたしのやみを照されます。
関根訳18篇29節 ヴェよ、あなたはわが燈火(ともしび)、わが神はわが暗闇を照らし給う。
新共同18篇29節 主よ、あなたはわたしの灯を輝かし 神よ、あなたはわたしの闇を照らしてくださる。


18篇29節また汝は我を多くの戦闘において助け給い、(われ)なんぢによりてあだなす軍勢(ぐんぜい)()ひうち、》【軍の中をはせとほり】わが(かみ)によりて高く聳ゆる(かき)ををどりこゆ(べければなり)。

文語訳18篇29節 (われ)なんぢによりて(いくさ)(なか)をはせとほり わが(かみ)によりて(かき)ををどりこゆ
口語訳18篇29節 まことに、わたしはあなたによって敵軍を打ち破り、わが神によって城壁をとび越えることができます。
関根訳18篇30節 あなたによってわたしは垣をこぼちわが神によって城壁に上る。
新共同18篇30節 あなたによって、わたしは敵軍を追い散らし わたしの神によって、城壁を越える。


18篇30節以上のごとくなるが故に(かみ)はしもその(みち)またくその歩み給う処は正しくエホバの(ことば)はきよて些かの穢なく、エホバはすべて依ョ(よりたの)(もの)を守るところ(たて)なり。

文語訳18篇30節 (かみ)はしもその(みち)またくヱホバの(ことば)はきよし ヱホバはすべて依ョ(よりたの)むものの(たて)なり
口語訳18篇30節 この神こそ、その道は完全であり、主の言葉は真実です。主はすべて寄り頼む者の盾です。
関根訳18篇31節 げに神はその道全く、ヤヴェの(ことば)(まじ)りなく、ヤヴェはすべて彼に依り頼む者の盾、
新共同18篇31節 神の道は完全 主の仰せは火で練り清められている。すべて御もとに身を寄せる人に 主は盾となってくださる。


〔7〕エホバ我を勝たしめ給う(31−42)
18篇31節そはエホバのほかに(かみ)はたれぞや、われらの(かみ)のほかに我らの依頼むべき(いはほ)はたれぞや。天上天下エホバ神の外に依り頼むべき神あることなし。

文語訳18篇31節 そはヱホバのほかに(かみ)はたれぞや われらの(かみ)のほかに(いはほ)はたれぞや
口語訳18篇31節 主のほかに、だれが神でしょうか。われらの神のほかに、だれが岩でしょうか。
関根訳18篇32節 ヴェを除いていかなる神があろう、われらの神のほかにいかなる岩があろう。
新共同18篇32節 主のほかに神はない。神のほかに我らの岩はない。


18篇32節(その)(エル)(ちから)(われ)()びしめ、我をして敵に打勝つことを得しめわが(みち)に横たわる妨害を除きて、これ(また)きものとなしたまふ。

文語訳18篇32節 (かみ)はちからをわれに()ばしめわが(みち)(また)きものとなしたまふ
口語訳18篇32節 神はわたしに力を帯びさせ、わたしの道を安全にされました。
関根訳18篇33節 神は救いをわが帯として与え彼はわが道を全くし給う。
新共同18篇33節 神はわたしに力を帯びさせ わたしの道を完全にし


18篇33節(かみ)はわが(あし)牝鹿(めじか)の〔あしの〕ごとくし、速に活動することによりて敵を制することを得しめ、かくして(われ)敵を制御し得べきわが*(たか)(ところ)にある城塁ににたたせ(たま)ふ。

文語訳18篇33節 (かみ)はわが(あし)(めじか)のあしのごとくし(われ)をわが高處(たかきところ)にたゝせたまふ
口語訳18篇33節 神はわたしの足をめじかの足のようにされ、わたしを高い所に安全に立たせ、
関根訳18篇34節 彼はわが脚を鹿の如くしわれをして高き所に立たせ給う。
新共同18篇34節 わたしの足を鹿のように速くし 高い所に立たせ


補註
「高き處」エルサレムの高き処で王位を指すとする解もあり。


18篇34節(かみ)は〕またわが()戦闘(たたかひ)にならはせてこれに対して訓練し、わが(かひな)力を与えて銅弓(かなゆみ)をひくことを()しめ強き敵に打勝たしめ(たま)ふ。

文語訳18篇34節 (かみ)はわが()をたゝかひにならはせてわが(かひな)銅弓(かなゆみ)をひくことを()しめたまふ
口語訳18篇34節 わたしの手を戦いに慣らされたので、わたしの腕は青銅の弓をもひくことができます。
関根訳18篇35節 わが手に戦うことを教えわが腕は青銅の弓を張る。
新共同18篇35節 手に戦いの技を教え 腕に青銅の弓を引く力を帯びさせてくださる。


18篇35節(また)なんぢの(すくひ)(たて)をわれにあたへ激しき敵の火矢の攻撃より我を救いたまへり、われ倒れんとする時なんぢの右手(みぎのて)われをささへ、わがごとき者をも顧み給えるなんぢの謙卑(へりくだり)われを(おほい)ならしめ王の位にまで高めたまへり。

文語訳18篇35節 (また)なんぢの(すくひ)(たて)をわれにあたへたまへり なんぢの右手(みぎのて)われをさゝへ なんぢの謙卑(へりくだり)われを(おほい)ならしめたまへり
口語訳18篇35節 あなたはその救の盾をわたしに与え、あなたの右の手はわたしをささえ、あなたの助けはわたしを大いなる者とされました。
関根訳18篇36節 あなたはわたしにあなたの救いの盾を与えあなたの右の手はわたしを支えあなたの(へりくだ)りはわたしを大いなる者とする。
新共同18篇36節 あなたは救いの盾をわたしに授け 右の御手で支えてくださる。あなたは、自ら降り わたしを強い者としてくださる。


18篇36節なんぢわが途より凡ての障害を取除きてわが(あゆ)むところを廣濶(ひろらか)ならしめたまひたれば、()が《(くるぶし)はよろめかざりき。》【足ふるはざりき】我は堂々として確かなる歩みを続くることを得たり。

文語訳18篇36節 なんぢわが(あゆ)むところを寛濶(ひろらか)ならしめたまひたれば わが(あし)ふるはざりき
口語訳18篇36節 あなたがわたしの歩む所を広くされたので、わたしの足はすべらなかったのです。
関根訳18篇37節 あなたはわが歩みを自由にしわが(くるぶし)はぐらつかない。
新共同18篇37節 わたしの足は大きく踏み出し くるぶしはよろめくことがない。


*18篇37節わが手わが足にかかる力を与えられたればわれ(あた)をおひてこれに追及(おひし)彼らを打破りて《その》【かれらの】ほろぶるまでは(かへ)ることを《せざりき。》【せじ】かくしてわが仇を滅し尽せり。

文語訳18篇37節 われ(あた)をおひてこれに追及(おひし)きかれらのほろぶるまでは(かへ)ることをせじ
口語訳18篇37節 わたしは敵を追って、これに追いつき、これを滅ぼしつくすまでは帰らなかったのです。
関根訳18篇38節 わたしはわが敵を追ってこれに追いしき彼らを滅ぼすまでは帰らない。
新共同18篇38節 敵を追い、敵に追いつき 滅ぼすまで引き返さず


補註
37、38節の動詞は未来形に訳すよりも回想的に過去形と見るを可とす。


*18篇38節われかれらを(うち)てたつことを()《ざらしめき。》【ざらしめん】かれらはわが(あし)(もと)に《たふれたり。》【たふるべし】凡ての敵はかくしてわが征服する処となりぬ。

文語訳18篇38節 われかれらを()ちてたつことを()ざらしめん かれらはわが(あし)(もと)にたふるべし
口語訳18篇38節 わたしが彼らを突き通したので、彼らは立ちあがることができず、わたしの足もとに倒れました。
関根訳18篇39節 わたしは彼らを打ち倒し彼らは立つ所を失い、わが足の(もと)に倒れた。
新共同18篇39節 彼らを打ち、再び立つことを許さない。彼らはわたしの足もとに倒れ伏す。


18篇39節*また》【そは】(なんぢ)戰爭(たたかひ)のために(ちから)をわれに()びしめ、われにさからひておこりたつ(もの)をわが(もと)にかがませたまひ《たり。》【たればなり】この世に我に敵する仇とてはなかりき。

文語訳18篇39節 そはなんぢ戰爭(たたかひ)のために(ちから)をわれに()ばしめ われにさからひておこりたつ(もの)をわが(もと)にかゞませたまひたればなり
口語訳18篇39節 あなたは戦いのためにわたしに力を帯びさせ、わたしに立ち向かう者らをわたしのもとに、かがませられました。
関根訳18篇40節 あなたは救いを帯としてわたしを戦いに臨ませ、わたしに歯向かう者をわが下にかがませた。
新共同18篇40節 あなたは戦う力をわたしの身に帯びさせ 刃向かう者を屈服させ


補註
「そは」は英語改訳より混入せるもののごとく、これを省くを可とす。


18篇40節()(てき)をば(なんぢ)その()(われ)()けしめ彼らを敗北せしめ給い(われ)(にく)(もの)をば我之(われこれ)(ほろぼ)(つく)*せり。》【我をにくむ者をわが滅しえんが*ために汝またわが仇の背をわれにむけしめ給へり】

文語訳18篇40節 (われ)をにくむ(もの)をわが(ほろ)ぼしえんがために(なんぢ)またわが(あた)(そびら)をわれにむけしめ(たま)へり
口語訳18篇40節 あなたは敵にその後をわたしに向けさせられたので、わたしは自分を憎む者を滅ぼしました。
関根訳18篇41節 あなたはわが敵をわが前に逃げ走らせわたしを憎む者をわたしはたち滅ぼす。
新共同18篇41節 敵の首筋を踏ませてくださる。わたしを憎む者をわたしは滅ぼす。


補註
「ために」も同上。


18篇41節かれら我がために打敗られし時(さけ)びたれども何人も彼らを(すく)ふものなく、エホバに(むか)ひてさえも彼ら(さけ)びたれども〕(こた)(たま)たまはざりき。エホバの助けを得ざる彼らはかくして全く敗るるより外なかりき。

文語訳18篇41節 かれら(さけ)びたれども(すく)ふものなく ヱホバに(むか)ひてさけびたれども(こた)へたまはざりき
口語訳18篇41節 彼らは助けを叫び求めたが、救う者はなく、主にむかって叫んだけれども、彼らに答えられなかったのです。
関根訳18篇42節 彼らは叫んでも助けがなくヤヴェに向かっても答えはない。
新共同18篇42節 彼らは叫ぶが、助ける者は現れず 主に向かって叫んでも答えはない。


18篇42節(われ)かれらを(かぜ)のまへの(ちり)のごとくに(つき)(くだ)てこれを散らしまた(ちまた)(ひぢ)のごとくに少しも惜むことなくこれを(うち)()てたり。全き勝利はエホバの与うるところとなれり。

文語訳18篇42節 (われ)かれらを(かぜ)のまへの(ちり)のごとくに搗碎(つきくだ)き ちまたの(ひぢ)のごとくに打棄(うちす)てたり
口語訳18篇42節 わたしは彼らを風の前のちりのように細かに砕き、ちまたの泥のように打ち捨てました。
関根訳18篇43節 わたしは彼らを打ち砕き風の前の(ちり)のようにし(ちまた)(あくた)のように踏みにじる。
新共同18篇43節 わたしは彼らを風の前の塵と見なし 野の土くれのようにむなしいものとする。


〔8〕栄冠と讃美(43−50)
*18篇43節なんぢ(われ)イスラエルの*(たみ)なかより起れる*あらそひより(たす)けいだしてそれらを鎮めしめ、(われ)をたてて《ことくに(びと)らの(かしら)》【もろもろの國の長】となしたま《ひ》【へり】、わがしらざる*(たみ)例えばギリシャのごとき(も)われにつかへ《*たり。》【ん】

文語訳18篇43節 なんぢわれを(たみ)のあらそひより(たす)けいだし(われ)をたてゝもろもろの(くに)(をさ)となしたまへり わがしらざる(たみ)われにつかへん
口語訳18篇43節 あなたは民の争いからわたしを救い、わたしをもろもろの国民のかしらとされました。わたしの知らなかった民がわたしに仕えました。
関根訳18篇44節 あなたはわたしをわが民の争いより救いもろもろの国の上に置きわたしの知らない(やから)もわたしにつかえる。
新共同18篇44節 あなたはわたしを民の争いから解き放ち 国々の頭としてくださる。わたしの知らぬ民もわたしに仕え


補註
第一の民はイスラエルの民、第二の「民」は異邦人。「あらそひ」はサウル、アブサロム等による内乱を指すならん。43−45節の未来形動詞も37、38節の場合と同様回想的過去として訳すべきである。未来形としたのは英語改訳の影響ならん。


*18篇44節かれらは我が軍勢の勝利を(みみ)もて()くや(いな)や、》【わが事をききて立刻】その勢に懼れて(われ)に《服従(ふくじゅう)し、異国(ことくに)()()我が勢を見て(われ)(おもね)りぬ。》【したがひ異邦人はきたりて佞りつかへん】

文語訳18篇44節 かれらわが(こと)をきゝて立刻(たちまち)われにしたがひ異邦人(ことくにびと)はきたりて(おもね)りつかへん
口語訳18篇44節 彼らはわたしの事を聞くと、ただちにわたしに従い、異邦の人々はきて、わたしにへつらいました。
関根訳18篇45節 彼らはわたしのことを聞いてわたしにつき従い異国人(ことくにびと)の子らもわたしにへつらう。
新共同18篇45節 わたしのことを耳にしてわたしに聞き従い 敵の民は憐れみを乞う。


*18篇45節異国(ことくに)()()その勢力を失いて()(おとろ)へ》【ことくに人はおとろへて】降を乞わんとてその(しろ)よりおののき()で《たり。》【ん】

文語訳18篇45節 ことくにびとは(おとろ)へてその(しろ)よりをのゝきいでん
口語訳18篇45節 異邦の人々は打ちしおれて、その城から震えながら出てきました。
関根訳18篇46節 異国人の子らは心衰えその(とりで)から()できたる。
新共同18篇46節 敵の民は力を失い、おののいて砦を出る。


18篇46節まことにエホバは()きていませり、然らずば如何でかかる御業を為し得べき、我を堅く立たしめ給えるわが(いは)はほむべきかな、我を敵より救い給えるわが(すくい)(かみ)はあがむべきかな。

文語訳18篇46節 ヱホバは()きていませり わが(いは)はほむべきかな わがすくひの(かみ)はあがむべきかな
口語訳18篇46節 主は生きておられます。わが岩はほむべきかな。わが救の神はあがむべきかな。
関根訳18篇47節 ヴェは()き給う、わが砦は()むべきかな、わが救いの神は(たと)うべきかな。
新共同18篇47節 主は命の神。わたしの岩をたたえよ。わたしの救いの神をあがめよ。


18篇47節かれに仇する悪しき者に対しわがために(あた)をむくい、《民らを》【ことくにを】征服して(われ)にまつろはせたまふはこの(エル)なり。

文語訳18篇47節 わがために(あた)をむくい異邦人(ことくにびと)をわれに(まつろ)はせたまふはこの(かみ)なり
口語訳18篇47節 神はわたしにあだを報いさせ、もろもろの民をわたしのもとに従わせ、
関根訳18篇48節 神はわが仇を返しもろもろの民をわが足もとに下らせ
新共同18篇48節 わたしのために報復してくださる神よ 諸国の民をわたしに従わせてください。


18篇48節(なんぢ)わが(てき)より(われ)(すく)(たま)(もの)》【神はわれを仇よりすくひたまふ】()(なんぢ)(われ)にさからひて(おこ)りたつ(もの)のうへに(われ)をあげ、我をしてかれらの凡てを我が足の下に服せしめ、あらぶる(ひと)より(われ)をたすけいだし(たま)ふ。

文語訳18篇48節 (かみ)はわれを(あた)よりすくひたまふ()になんぢは(われ)にさからひて(おこ)りたつ(もの)のうへに(われ)をあげ あらぶる(ひと)より(われ)をたすけいだし(たま)
口語訳18篇48節 わたしの敵からわたしを救い出されました。まことに、あなたはわたしに逆らって起りたつ者の上にわたしをあげ、不法の人からわたしを救い出されました。
関根訳18篇49節 わが敵よりわたしを救い出しわたしに逆らう者の上にわたしを置き(あら)ぶる者よりわたしを救い給う。
新共同18篇49節 敵からわたしを救い 刃向かう者よりも高く上げ 不法の者から助け出してください。


18篇49節この(ゆゑ)にエホバよ、われ啻にイスラエルのみならず、全世界に住む異邦人(ことくにびと)ら》【もろもろの國人(くにびと)】のなかにてなんぢに感謝(かんしや)し、なんぢの御名(みな)をほめうたはん。

文語訳18篇49節 この(ゆゑ)にヱホバよ われもろもろの國人(くにびと)のなかにてなんぢに感謝(かんしや)し なんぢの(みな)をほめうたはん
口語訳18篇49節 このゆえに主よ、わたしはもろもろの国民のなかであなたをたたえ、あなたのみ名をほめ歌います。
関根訳18篇50節 その故にヤヴェよ、もろもろの国の中にわたしはあなたを(たた)え、み名を讃め歌う。
新共同18篇50節 主よ、国々の中で わたしはあなたに感謝をささげ 御名をほめ歌う。


18篇50節〔エホバは〕*おほいなる(すくひ)をその(わう)にあたへ、その受膏者(じゆかうじや)ダビデとその(すゑ)とに世々(よゝ)かぎりなく憐憫(あはれみ)をたれたまふ。

文語訳18篇50節 ヱホバはおほいなる(すくひ)をその(わう)にあたへ その受膏者(じゆかうじや)ダビデとその(すゑ)とに世々(よよ)かぎりなく憐憫(あはれみ)をたれたまふ
口語訳18篇50節 主はその王に大いなる勝利を与え、その油そそがれた者に、ダビデとその子孫とに、とこしえにいつくしみを加えられるでしょう。
関根訳18篇51節 彼はその王に大いなる救いを与えそのメシア、ダビデとその(すえ)に永遠(とわ)に恵みを施し給う。
新共同18篇51節 主は勝利を与えて王を大いなる者とし 油注がれた人を、ダビデとその子孫を とこしえまで 慈しみのうちにおかれる。


補註
「大なる救をその王にあたへ」は直訳「その王の救を大ならしめ」。なお本節は後代よりの追加と見る説が多いが確定的ではない。