黒崎幸吉著 旧約聖書略註 Web版 詩篇
詩篇 第4篇
文語訳 | 琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌 |
口語訳 | 聖歌隊の指揮者によって琴にあわせてうたわせたダビデの歌 |
関根訳4篇1節 | 聖歌隊の指揮者に、琴とともに、ダビデの歌。 |
新共同4篇1節 | 【指揮者によって。伴奏付き。賛歌。ダビデの詩。】 |
「伶長」は宮廷音楽部員。第三篇を朝の祈とすれば本篇は夕の祈に相当す。第3篇と同じくダビデがアブサロムの反逆に遭いて窮地に陥れるときに歌えるものとして考うる時、この詩の心を最もよく理解する事を得。エホバに信頼することにより、凡ての敵に打勝てる心の姿を美しく示して居る。我ら図らざる困難の為に窮地に陥れる時、殊に本篇によって多くの慰藉と力とを得る事が出来る。
〔1〕ダビデの祈り(1)
4篇1節*わが 《義の神よ、》【義をまもりたまふ神よ】汝自ら義に在し給うが故に我が義を見そなわし給う。ねがはくはわが苦難の中より汝に呼はるときに我がうめきの声を無視せずにこれに答へたまへ、汝はかつてわがなやみたる時なんぢ我をその絶望の地より救い出して我を*くつろがせ我が心身を安らかならしめたまへり、ねがはくは我をあはれみて我が罪をゆるし、我がなやみを除きわが祈をきゝて我を敵の手と苦難の中より救い出したまへ。
文語訳 | 4篇1節 わが義をまもりたまふ神よ ねがはくはわが呼はるときに答へたまへ わがなやみたる時なんぢ我をくつろがせたまへり ねがはくは我をあはれみ わが祈をきゝたまへ
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口語訳 | 4篇1節 わたしの義を助け守られる神よ、わたしが呼ばわる時、お答えください。あなたはわたしが悩んでいた時、わたしをくつろがせてくださいました。わたしをあわれみ、わたしの祈をお聞きください。
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関根訳 | 4篇2節 わたしが叫ぶ時、わたしに答え給え、わが義の神よ。あなたは悩みの時に、わたしに安らぎを与えられた、わたしを憐れみ、わたしの祈りを聞き給え。
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新共同 | 4篇2節 呼び求めるわたしに答えてください わたしの正しさを認めてくださる神よ。苦難から解き放ってください 憐れんで、祈りを聞いてください。
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補註
「我が義の神」現行訳「我が義をまもりたまふ神」は意訳であって真意に近いけれどかえって原文の強さを失う。「くつろがせ」は狭く窮屈な処より広々した処に出でし形、戦争において包囲が解かれた時のごとく。
〔2〕敵に対する叱咤(2−5)
4篇2節*人の子(ら)よ、《汝何時まで我に叛きてわが王としての、また人間としての榮を汚して恥かしめ、何の役にも立たざるむなしき事を好み、正しき道を踏まずして虚偽をしたふや。》【なんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか、なんぢらむなしき事をこのみ虚偽をしたひていくそのときを經んとするか】セラ。よく反省して見よ、汝らの為しつつあることの虚しくしてかつ虚偽たることを。
文語訳 | 4篇2節 人の子よ なんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか なんぢらむなしき事をこのみ虚僞をしたひていくそのときを經んとするか セラ
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口語訳 | 4篇2節 人の子らよ、いつまでわたしの誉をはずかしめるのか。いつまでむなしい言葉を愛し、偽りを慕い求めるのか。[セラ
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関根訳 | 4篇3節 人の子らよ、いつまで君たちはわが栄えを恥にかえ、空しいことを愛し、偽りを求めてやまぬのか。セラ
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新共同 | 4篇3節 人の子らよ いつまでわたしの名誉を辱めにさらすのか むなしさを愛し、偽りを求めるのか。〔セラ
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補註
「人の子」ベネー、イーシは地位ある重立ちたる人々を指す。
4篇3節然れどなんぢら知れ、汝ら如何に我に逆らいて立つともエホバは*神をうやまふ人神の御旨に従いて恩恵を施す人を特に選び愛し、これを《己のために*わかちたまひしことを、》【わかちて己につかしめたまひしことを】、われエホバによばはらばエホバは我が声を聽き来りて我を助けて汝らの空しき業を亡ぼしたまはん。
文語訳 | 4篇3節 然どなんぢら知れ ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば聽きたまはん
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口語訳 | 4篇3節 しかしあなたがたは知るがよい、主は神
を敬う人をご自分のために聖別されたことを。主はわたしが呼ばわる時におききくださる。
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関根訳 | 4篇4節 君たちは知れ、ヤハヴェは彼を敬う者を聖め分かたれたことを。ヤハヴェはわたしが彼に呼ばわる時に聞き給う。
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新共同 | 4篇4節 主の慈しみに生きる人を主は見分けて 呼び求める声を聞いてくださると知れ。
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補註
「神をうやまふ人」「カシード」は神のごとき心をもって人をあわれむ人、神々しき人を意味す。「わかち」は選び分ちてこれを特に愛で給うこと。
4篇4節それ故になんぢらエホバの為し給うことを思い*愼みをのゝきて己の行為を顧み、エホバの受膏者に叛くがごとき罪ををかすなかれ、夜陰人静まり万物粛として声なきとき臥床にて静に己が良心に反省しおのが心にかたりて默せ。然らば必ず汝の罪の如何に大なる、如何にエホバの御旨に反するかをさとるであろう。セラ。
文語訳 | 4篇4節 なんぢら愼みをののきて罪ををかすなかれ 臥床にておのが心にかたりて默せ セラ
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口語訳 | 4篇4節 あなたがたは怒っても、罪を犯してはならない。床の上で静かに自分の心に語りなさい。[セラ
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関根訳 | 4篇5節 君たちは恐れおののき、罪を犯すな。その心に語り、臥所にあって黙せ。セラ
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新共同 | 4篇5節 おののいて罪を離れよ。横たわるときも自らの心と語り そして沈黙に入れ。〔セラ
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補註
「慎みをのゝきて」を「怒りて」と訳すべしとの説あり、かくすればエペソ4:26と同じ、七十人訳。
4篇5節かくして虚しき動物の犠牲ではなく、形式的さゝげものではなくなんぢら義の行為のそなへものを献げて、エホバに*依ョめ。かくして始めて汝ら正しき途に立還ることを得、神の審判を免るるであろう。
文語訳 | 4篇5節 なんぢら義のそなへものを獻げてヱホバに依ョめ
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口語訳 | 4篇5節 義のいけにえをささげて主に寄り頼みなさい。
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関根訳 | 4篇6節 義の犠牲をささげ、ヤハヴェに依り頼め。
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新共同 | 4篇6節 ふさわしい献げ物をささげて、主に依り頼め。
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補註
「依頼め」信頼しきって安心している貌。
〔3〕エホバの恩恵(6−8)
4篇6節多くの人はエホバの恩恵を信ぜずしていふ『たれか嘉き事を我らに見するもの《そ、》【あらんや】エホバに依頼むもさらに善きことも無きにあらずや』と。エホバよ、これらの輩に汝の恩恵を示さんがためにねがはくは聖顔の光をわれらの上にのぼらせあたかも旭日を仰ぐ時のごとくこれを仰ぎ瞻る歓喜を我らの心に充したまへ。
文語訳 | 4篇6節 おほくの人はいふ たれか嘉事をわれらに見するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖顏の光をわれらの上にのぼらせたまへ
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口語訳 | 4篇6節 多くの人は言う、「どうか、わたしたちに良い事が見られるように。主よ、どうか、み顔の光をわたしたちの上に照されるように」と。
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関根訳 | 4篇7節 多くの人は言う、もはやわれらに良きことを見させる者はないと。われらの上に、あなたのみ顔の光を上らせて下さい、ヤハヴェよ。
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新共同 | 4篇7節 恵みを示す者があろうかと、多くの人は問います。主よ、わたしたちに御顔の光を向けてください。
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4篇7節なんぢの救と豊なる恩恵とによりてわが心にあたへたまひし歓喜は大にしてたとうるに物なくかれらの最大の幸福ともいうべき穀物と酒との豊かなる時にさえもはるかにまさりき。
文語訳 | 4篇7節 なんぢのわが心にあたへたまひし歡喜はかれらの穀物と酒との豐かなる時にまさりき
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口語訳 | 4篇7節 あなたがわたしの心にお与えになった喜びは、穀物と、ぶどう酒の豊かな時の喜びにまさるものでした。
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関根訳 | 4篇8節 あなたはわが心に喜びを与えられた、彼らの穀物と酒の豊かな時にもまさる喜びを。
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新共同 | 4篇8節 人々は麦とぶどうを豊かに取り入れて喜びます。それにもまさる喜びを わたしの心にお与えください。
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4篇8節されば敵は如何にその反逆の鋒を我に向くるともわれ安然にして臥しまたねぶらん。
エホバはその愛する者に眼を與へたまふ。
エホバよ、われを多くの敵の中にありてもなお獨にて《安然》【坦然】にをらしむるものは汝なり。エホバに依頼む者は幸なるかな。
文語訳 | 4篇8節 われ安然にして臥しまたねぶらん ヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり
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口語訳 | 4篇8節 わたしは安らかに伏し、また眠ります。主よ、わたしを安らかにおらせてくださるのは、ただあなただけです。
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関根訳 | 4篇9節 安らかに、横になるとすぐ、わたしは眠る。げにヤハヴェよ、あなたのみ、わたしを平安の中に息わせて下さる。
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新共同 | 4篇9節 平和のうちに身を横たえ、わたしは眠ります。主よ、あなただけが、確かに わたしをここに住まわせてくださるのです。
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