黒崎幸吉著 旧約聖書略註 Web版 詩篇





詩篇 第92篇

関根訳神の正しさ

文語訳( )安息日(あんそくにち)にもちゐる(うた)なり 讃美(さんび)なり
口語訳安息日の歌、さんび
関根訳92篇1節歌、安息日のためのうた。
新共同92篇1節【賛歌。歌。安息日に。】

全篇エホバを讃美する心に充ちている故安息日に用うる歌として最も適当である。1−9節は創造者またイスラエルの支配者としてのエホバの御業を讃美し、10−15節は正義が勝ちて悪しき者の栄華は一瞬にして亡ぼさるゝことの神の御業を讃美する。而してこの詩人はこれを個人的の事件や感情としてではなく、イスラエルの民族の心持を代表して歌っているのであって、仇の没落をよろこぶことの如きもこの意味において正当化されている。


〔1〕ほむべきかなエホバの御業(1−9)
92篇1節至高者(いとたかきもの)なる神よ、エホバに感謝(かんしや)し、聖名(みな)*ほめたゝふるは如何なる場合に於ても()ことなるかな。

文語訳92篇1節 いとたかき(もの)よヱホバにかんしやし聖名(みな)をほめたゝふるは()きかな
口語訳92篇1節 いと高き者よ、主に感謝し、み名をほめたたえるのは、よいことです。
関根訳92篇2節 よいかな、ヤヴェをほめ、いと(たか)き者のみ名を歌い、
新共同92篇2節 いかに楽しいことでしょう 主に感謝をささげることは いと高き神よ、御名をほめ歌い


補註
「ほめたゝうる」は表題の「歌」と同源の語即ち「詩篇」と訳さるゝ語に同じ。


92篇2節あしたに(なんぢ)イスラエルに対する深き*いつくしみをあらはし、夜々(よなよな)なんぢの約束を守り給う処の*眞實(まこと)をあらはすに

文語訳92篇2節 あしたに(なんぢ)のいつくしみをあらはし 夜々(よなよな)なんぢの眞實(まこと)をあらはすに
口語訳92篇2節 あしたに、あなたのいつくしみをあらわし、夜な夜な、あなたのまことをあらわすために、
関根訳92篇3節 朝にそのいつくしみを、夜な夜なその真実(まこと)をつげしらせ、
新共同92篇3節 朝ごとに、あなたの慈しみを 夜ごとに、あなたのまことを述べ伝えることは


補註
「いつくしみ」と「眞理」とは神の最も重要なる性質、第89篇参照、ヨハネ1:17参照。


92篇3節十絃(とをを)のなりものと(さう)とをもちひ、(こと)*(たへ)なる()をもちひるは〔いと()きかな。〕あらゆる楽器をことごとくかなでてエホバに感謝しその聖名をほめたゝうべきなり。

文語訳92篇3節 十絃(とをを)のなりものと(さう)とをもちゐ (こと)(たへ)なる()をもちゐるはいと()きかな
口語訳92篇3節 十弦の楽器と立琴を用い、琴のたえなる調べを用いるのは、よいことです。
関根訳92篇4節 十弦の琴と竪琴(たてごと)と琵琶の妙なる音を用いるのは。
新共同92篇4節 十弦の琴に合わせ、竪琴に合わせ 琴の調べに合わせて。


補註
「妙なる音」はヒガイオンで9:16参照。楽器を以て奏ずる瞑想的なる音、つぶやく如き音の意にも解す。


92篇4節そはエホバよ、なんぢがイスラエルに対して為し給えるその作爲(みわざ)をもて(われ)をたのしませたまへり、(われ)なんぢの御手(みて)を以て為し給える恩恵のわざをよろこび《うたはん。》【ほこらん】

文語訳92篇4節 そはヱホバよなんぢその作爲(みわざ)をもて(われ)をたのしませたまへり (われ)なんぢの(みて)のわざをよろこびほこらん
口語訳92篇4節 主よ、あなたはみわざをもってわたしを楽しませられました。わたしはあなたのみ手のわざを喜び歌います。
関根訳92篇5節 まことにあなたはその働きをもってわたしを喜ばせ、わたしはあなたのみ手の業をたたえる。
新共同92篇5節 主よ、あなたは 御業を喜び祝わせてくださいます。わたしは御手の業を喜び歌います。


92篇5節エホバよ、(なんぢ)のみわざは(おほい)なるかな、(なんぢ)の〔もろもろの〕思念(おもひ)はいとふかし。我らその大さ深さを計り知ること能わず。

文語訳92篇5節 ヱホバよ(なんぢ)のみわざは(おほい)なるかな(なんぢ)のもろもろの思念(おもひ)はいとふかし
口語訳92篇5節 主よ、あなたのみわざはいかに大いなることでしょう。あなたのもろもろの思いは、いとも深く、
関根訳92篇6節 ヴェよ、あなたのみ業はいかに大きく、あなたのみ思いはいとも深いかな。
新共同92篇6節 主よ、御業はいかに大きく 御計らいはいかに深いことでしょう。


92篇6節動物の如く繊細なる感情を有たざる(にぶ)(もの)》【無知者(しれもの)】は神の御業とその思いとをしることなく、(おろか)なるものは(これ)をさとらず。しかしながら神の御霊によりて導かるゝものはこの大真理を知ることを得るなり。

文語訳92篇6節 無知者(しれもの)はしることなく(おろ)かなるものは(これ)をさとらず
口語訳92篇6節 鈍い者は知ることができず、愚かな者はこれを悟ることができません。
関根訳92篇7節 愚か者はそれを知らず、()れ者はそれを悟らない。
新共同92篇7節 愚かな者はそれを知ることなく 無知な者はそれを悟ろうとしません。


92篇7節神の思念は厳然として動かず()しき(もの)は草のごとくまたたく間にもえいでてはびこり不義(ふぎ)をおこなふ《(すべ)ての(もの)》【衆庶(もろもろ)】は一時は時を得顔にさかゆるとも、(つひ)には神の審判をうけてとこしへにほろびん。神の御業は大なるかな。

文語訳92篇7節 ()しきものは(くさ)のごとくもえいで 不義(ふぎ)をおこなふ衆庶(もろもろ)はさかゆるとも(つひ)にはとこしへにほろびん
口語訳92篇7節 たとい、悪しき者は草のようにもえいで、不義を行う者はことごとく栄えても、彼らはとこしえに滅びに定められているのです。
関根訳92篇8節 悪しき者は青草のようにのび、悪を行なう者はみな花を咲かせても、永久の滅びに定められている。
新共同92篇8節 神に逆らう者が野の草のように茂り 悪を行う者が皆、花を咲かせるように見えても 永遠に滅ぼされてしまいます。


92篇8節されどエホバよ、悪しき者のほろぶるにもかかわらず、(なんぢ)はとこしへに(たか)(ところ)にましま《すなり。》【せり】感謝すべきかな、ほむべきかな。

文語訳92篇8節 されどヱホバよ(なんぢ)はとこしへに高處(たかきところ)にましませり
口語訳92篇8節 しかし、主よ、あなたはとこしえに高き所にいらせられます。
関根訳92篇9節 しかしあなたは永遠(とこしえ)に高きにいます。
新共同92篇9節 主よ、あなたこそ、永遠に高くいます方。


92篇9節(そは)エホバよ、(あゝ)なんぢの(あた)、あゝイスラエルに敵する(なんぢ)(あた)はほろび〔ん、〕神の御旨に逆きて不義(ふぎ)をおこなふ(もの)はことごとく(ちら)さ《るべければなり。》【れん】

文語訳92篇9節 ヱホバよ(ああ)なんぢの(あた)あゝなんぢの(あた)はほろびん不義(ふぎ)をおこなふ(もの)はことごとく()らされん
口語訳92篇9節 主よ、あなたの敵、あなたの敵は滅び、不義を行う者はことごとく散らされるでしょう。
関根訳92篇10節 まことに、ヤヴェよ、見よ、あなたの敵は、まことに、見よ、あなたの敵は滅び、すべての悪を行なう者は散らされる。
新共同92篇10節 主よ、あなたに敵対する者は、必ず あなたに敵対する者は、必ず滅び 悪を行う者は皆、散らされて行きます。


〔2〕エホバは義者を栄えしめ給う(10−15)
92篇10節されど(なんぢ)われイスラエルを助けわれに力を与えてわが(つの)をたかくあげて動物中最も力強きものゝ一つなる()〔の〕(うし)の〔つのの〕(ごと)くならしめたまへり、(われ)はあたらしき(あぶら)をそゝがれこれによりて霊の力を新にせられたり。

文語訳92篇10節 されど(なんぢ)わが(つの)をたかくあげて ()(うし)のつののごとくならしめたまへり (われ)はあたらしき(あぶら)をそゝがれたり
口語訳92篇10節 しかし、あなたはわたしの角を野牛の角のように高くあげ、新しい油をわたしに注がれました。
関根訳92篇11節 しかしあなたはわが角を野牛のように高くし、したたる油をわたしに注がれた。
新共同92篇11節 あなたはわたしの角を野牛のように上げさせ 豊かな油を注ぎかけてくださることでしょう


92篇11節(また)かつて仇の前に恐れしわが()はわが(あた)の審かるゝ姿《の上を(なが)め》【につきて願へることを見】わが(みみ)はわれにさからひておこりたつ(あく)をなす(もの)の憐むべき運命につきてよろこびて()()る。》【願へることをきゝたり】

文語訳92篇11節 (また)わが()はわが(あた)につきて(ねが)へることを()わが(みみ)はわれにさからひておこりたつ(あく)をなすものにつきて(ねが)へることをきゝたり
口語訳92篇11節 わたしの目はわが敵の没落を見、わたしの耳はわたしを攻める悪者どもの破滅を聞きました。
関根訳92篇12節 わが眼はわたしに敵する者を見、耳はわたしにさからう悪しき者についてきいた。
新共同92篇12節 わたしを陥れようとする者をこの目で見 悪人がわたしに逆らって立つのを この耳で聞いているときにも。


92篇12節(ただ)しき(もの)豊に繁る椶櫚(しゆろ)()のごとく(さか)かつ長く保ち、高く聳ゆるレバノンの香柏(かうはく)のごとくそだつべし。悪しき者の生命の草の如きに比すべくもあらず。

文語訳92篇12節 (ただし)きものは椶櫚(しゆろ)()のごとく(さか)え レバノンの香柏(かうはく)のごとくそだつべし
口語訳92篇12節 正しい者はなつめやしの木のように栄え、レバノンの香柏のように育ちます。
関根訳92篇13節 義しき者はなつめやしのようにのび、レバノンのいと杉のように栄える。
新共同92篇13節 神に従う人はなつめやしのように茂り レバノンの杉のようにそびえます。


92篇13節エホバの(みや)にうゑられしものはわれらの(かみ)大庭(おほには)にさかえん。かくの如くエホバに依り頼む民はその聖国の園に栄ゆることを得ん。

文語訳92篇13節 ヱホバの(みや)にうゑられしものはわれらの(かみ)大庭(おほには)にさかえん
口語訳92篇13節 彼らは主の家に植えられ、われらの神の大庭に栄えます。
関根訳92篇14節 彼らはヤヴェの家に植えられ、われらの神の前庭に育つ。
新共同92篇14節 主の家に植えられ わたしたちの神の庭に茂ります。


92篇14節かれら即ちこれらのしゅろ年老(としお)いてなほ()をむすび、(ゆた)かにうるほひ、(みどり)(いろ)みちみちて益々生い繁るが如くエホバに依り頼む民は年と共に益々壮んになり栄え行くに至る。

文語訳92篇14節 かれらは年老(としお)いてなほ()をむすび(ゆた)かにうるほひ(みどり)(いろ)みちみちて
口語訳92篇14節 彼らは年老いてなお実を結び、いつも生気に満ち、青々として、
関根訳92篇15節 年老いてもなお実を結びみどりしたたるばかり、
新共同92篇15節 白髪になってもなお実を結び 命に溢れ、いきいきとし


92篇15節かくしてエホバの(なほ)きものなることを(しめ)すべし、エホバはわが(いは)なり、われこれによりたのむエホバには不義(ふぎ)なし。必ずその民を救い悪しき者の上に審判を下し給う。

文語訳92篇15節 ヱホバの(なほ)きものなることを(しめ)すべし ヱホバはわが(いは)なりヱホバには不義(ふぎ)なし
口語訳92篇15節 主の正しいことを示すでしょう。主はわが岩です。主には少しの不義もありません。
関根訳92篇16節 ヴェの正しきことをつげしらせわが岩には不義なしと言う。
新共同92篇16節 述べ伝えるでしょう わたしの岩と頼む主は正しい方 御もとには不正がない、と。