コリント人への後の書
[本書を
[本書の目的と内容] 以上のごとき由来をもつ本書は、パウロがコリントに至る前にこの悲しむべき状態を改め、何のわだかまりも無くパウロを迎えることを得るようにする為であった(12:19-21。13:10)。従って全書簡に溢れている内容は、正しき福音の弁護と自己に対する非難の反対とである。そしてパウロの性格とその喜怒の情とが最も著しく本書において表れていて、かつ彼とコリントの教会との関係そのものが、皆キリストに対する彼の信仰の反射であることが全文に満ちているのを見ることができる。故に本書の内容はロマ書、コリント前書、エペソ書等のごとく教理の点が主となって居るのではなく、パウロとコリント教会との個人的の関係がその内容の大部分を占めているのである。
[時と場所] 前述のごとく本書はマケドニヤにおいて書かれたのである。古き写本にはピリピよりと附記せるものもあり、あるいは事実ならんもこれを証明することは困難である。時はコリント前書の書かれし翌年即ち57年ごろならん。
[本書の特質] パウロの反対党の人々は彼の人格的特質を捕らえ、これを曲解して彼を非難するの材料とした。しかしパウロはすべての場合いおいて信仰に立ちて行っていたのであることを、本書において力説している。それゆえに本書の特質とも見るべきものは、特権の人格の中に福音を盛る時、その人格が如何に働き如何なる結果を来たすかを見る上に、多くの教訓を与える点であって、信仰が単に教理の問題にあらず、日常のすべての行動の原動力であることをこの書において学ぶことができる。
[本書の結果] 本書がコリントの教会に如何なる結果を与えしかはこれを知ることができない。ただパウロはその計画を遂行してコリントに至り、そこよりロマ書を