黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳創世記第11章

◆バベルの塔

11章1節 世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。

11章2節 東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。

11章3節 彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。

11章4節 彼らは、「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。

11章5節 主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、

11章6節 言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。

11章7節 我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」

11章8節 主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。

11章9節 こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。

◆セムの系図

11章10節 セムの系図は次のとおりである。セムが百歳になったとき、アルパクシャドが生まれた。それは洪水の二年後のことであった。

11章11節 セムは、アルパクシャドが生まれた後五百年生きて、息子や娘をもうけた。

11章12節 アルパクシャドが三十五歳になったとき、シェラが生まれた。

11章13節 アルパクシャドは、シェラが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。

11章14節 シェラが三十歳になったとき、エベルが生まれた。

11章15節 シェラは、エベルが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。

11章16節 エベルが三十四歳になったとき、ペレグが生まれた。

11章17節 エベルは、ペレグが生まれた後四百三十年生きて、息子や娘をもうけた。

11章18節 ペレグが三十歳になったとき、レウが生まれた。

11章19節 ペレグは、レウが生まれた後二百九年生きて、息子や娘をもうけた。

11章20節 レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた。

11章21節 レウは、セルグが生まれた後二百七年生きて、息子や娘をもうけた。

11章22節 セルグが三十歳になったとき、ナホルが生まれた。

11章23節 セルグは、ナホルが生まれた後二百年生きて、息子や娘をもうけた。

11章24節 ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた。

11章25節 ナホルは、テラが生まれた後百十九年生きて、息子や娘をもうけた。

11章26節 テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた。

◆テラの系図

11章27節 テラの系図は次のとおりである。テラにはアブラム、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。

11章28節 ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだ。

11章29節 アブラムとナホルはそれぞれ妻をめとった。アブラムの妻の名はサライ、ナホルの妻の名はミルカといった。ミルカはハランの娘である。ハランはミルカとイスカの父であった。

11章30節 サライは不妊の女で、子供ができなかった。

11章31節 テラは、息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロト、および息子アブラムの妻で自分の嫁であるサライを連れて、カルデアのウルを出発し、カナン地方に向かった。彼らはハランまで来ると、そこにとどまった。

11章32節 テラは二百五年の生涯を終えて、ハランで死んだ。


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