黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳創世記第33章

◆エサウとの再会

33章1節 ヤコブが目を上げると、エサウが四百人の者を引き連れて来るのが見えた。ヤコブは子供たちをそれぞれ、レアとラケルと二人の側女とに分け、

33章2節 側女とその子供たちを前に、レアとその子供たちをその後に、ラケルとヨセフを最後に置いた。

33章3節 ヤコブはそれから、先頭に進み出て、兄のもとに着くまでに七度地にひれ伏した。

33章4節 エサウは走って来てヤコブを迎え、抱き締め、首を抱えて口づけし、共に泣いた。

33章5節 やがて、エサウは顔を上げ、女たちや子供たちを見回して尋ねた。「一緒にいるこの人々は誰なのか。」「あなたの僕であるわたしに、神が恵んでくださった子供たちです。」ヤコブが答えると、

33章6節 側女たちが子供たちと共に進み出てひれ伏し、

33章7節 次に、レアが子供たちと共に進み出てひれ伏し、最後に、ヨセフとラケルが進み出てひれ伏した。

33章8節 エサウは尋ねた。「今、わたしが出会ったあの多くの家畜は何のつもりか。」ヤコブが、「御主人様の好意を得るためです」と答えると、

33章9節 エサウは言った。「弟よ、わたしのところには何でも十分ある。お前のものはお前が持っていなさい。」

33章10節 ヤコブは言った。「いいえ。もし御好意をいただけるのであれば、どうぞ贈り物をお受け取りください。兄上のお顔は、わたしには神の御顔のように見えます。このわたしを温かく迎えてくださったのですから。

33章11節 どうか、持参しました贈り物をお納めください。神がわたしに恵みをお与えになったので、わたしは何でも持っていますから。」ヤコブがしきりに勧めたので、エサウは受け取った。

33章12節 それからエサウは言った。「さあ、一緒に出かけよう。わたしが先導するから。」

33章13節 「御主人様。ご存じのように、子供たちはか弱く、わたしも羊や牛の子に乳を飲ませる世話をしなければなりません。群れは、一日でも無理に追い立てるとみな死んでしまいます。

33章14節 どうか御主人様、僕におかまいなく先にお進みください。わたしは、ここにいる家畜や子供たちの歩みに合わせてゆっくり進み、セイルの御主人様のもとへ参りましょう。」ヤコブがこう答えたので、

33章15節 エサウは言った。「では、わたしが連れている者を何人か、お前のところに残しておくことにしよう。」「いいえ。それには及びません。御好意だけで十分です」と答えたので、

33章16節 エサウは、その日セイルへの道を帰って行った。

33章17節 ヤコブはスコトへ行き、自分の家を建て、家畜の小屋を作った。そこで、その場所の名はスコト(小屋)と呼ばれている。

33章18節 ヤコブはこうして、パダン・アラムから無事にカナン地方にあるシケムの町に着き、町のそばに宿営した。

33章19節 ヤコブは、天幕を張った土地の一部を、シケムの父ハモルの息子たちから百ケシタで買い取り、

33章20節 そこに祭壇を建てて、それをエル・エロヘ・イスラエルと呼んだ。


[前 章][次 章]