黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳創世記第4章

◆カインとアベル

4章1節 さて、アダムは妻エバを知った。彼女は身ごもってカインを産み、「わたしは主によって男子を得た」と言った。

4章2節 彼女はまたその弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。

4章3節 時を経て、カインは土の実りを主のもとに献げ物として持って来た。

4章4節 アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。主はアベルとその献げ物に目を留められたが、

4章5節 カインとその献げ物には目を留められなかった。カインは激しく怒って顔を伏せた。

4章6節 主はカインに言われた。「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。

4章7節 もしお前が正しいのなら、顔を上げられるはずではないか。正しくないなら、罪は戸口で待ち伏せており、お前を求める。お前はそれを支配せねばならない。」

4章8節 カインが弟アベルに言葉をかけ、二人が野原に着いたとき、カインは弟アベルを襲って殺した。

4章9節 主はカインに言われた。「お前の弟アベルは、どこにいるのか。」カインは答えた。「知りません。わたしは弟の番人でしょうか。」

4章10節 主は言われた。「何ということをしたのか。お前の弟の血が土の中からわたしに向かって叫んでいる。

4章11節 今、お前は呪われる者となった。お前が流した弟の血を、口を開けて飲み込んだ土よりもなお、呪われる。

4章12節 土を耕しても、土はもはやお前のために作物を産み出すことはない。お前は地上をさまよい、さすらう者となる。」

4章13節 カインは主に言った。「わたしの罪は重すぎて負いきれません。

4章14節 今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、わたしが御顔から隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであれ、わたしを殺すでしょう。」

4章15節 主はカインに言われた。「いや、それゆえカインを殺す者は、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう。」主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けられた。

4章16節 カインは主の前を去り、エデンの東、ノド(さすらい)の地に住んだ。

4章17節 カインは妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。カインは町を建てていたが、その町を息子の名前にちなんでエノクと名付けた。

4章18節 エノクにはイラドが生まれた。イラドはメフヤエルの父となり、メフヤエルはメトシャエルの父となり、メトシャエルはレメクの父となった。

4章19節 レメクは二人の妻をめとった。一人はアダ、もう一人はツィラといった。

4章20節 アダはヤバルを産んだ。ヤバルは、家畜を飼い天幕に住む者の先祖となった。

4章21節 その弟はユバルといい、竪琴や笛を奏でる者すべての先祖となった。

4章22節 ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅や鉄でさまざまの道具を作る者となった。トバル・カインの妹はナアマといった。

4章23節 さて、レメクは妻に言った。「アダとツィラよ、わが声を聞け。レメクの妻たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。わたしは傷の報いに男を殺し/打ち傷の報いに若者を殺す。

4章24節 カインのための復讐が七倍なら/レメクのためには七十七倍。」

4章25節 再び、アダムは妻を知った。彼女は男の子を産み、セトと名付けた。カインがアベルを殺したので、神が彼に代わる子を授け(シャト)られたからである。

4章26節 セトにも男の子が生まれた。彼はその子をエノシュと名付けた。主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである。


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