黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳創世記第9章

◆祝福と契約

9章1節 神はノアと彼の息子たちを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちよ。

9章2節 地のすべての獣と空のすべての鳥は、地を這うすべてのものと海のすべての魚と共に、あなたたちの前に恐れおののき、あなたたちの手にゆだねられる。

9章3節 動いている命あるものは、すべてあなたたちの食糧とするがよい。わたしはこれらすべてのものを、青草と同じようにあなたたちに与える。

9章4節 ただし、肉は命である血を含んだまま食べてはならない。

9章5節 また、あなたたちの命である血が流された場合、わたしは賠償を要求する。いかなる獣からも要求する。人間どうしの血については、人間から人間の命を賠償として要求する。

9章6節 人の血を流す者は/人によって自分の血を流される。人は神にかたどって造られたからだ。

9章7節 あなたたちは産めよ、増えよ/地に群がり、地に増えよ。」

9章8節 神はノアと彼の息子たちに言われた。

9章9節 「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。

9章10節 あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる。

9章11節 わたしがあなたたちと契約を立てたならば、二度と洪水によって肉なるものがことごとく滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。」

9章12節 更に神は言われた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。

9章13節 すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。

9章14節 わたしが地の上に雲を湧き起こらせ、雲の中に虹が現れると、

9章15節 わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。

9章16節 雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める。」

9章17節 神はノアに言われた。「これが、わたしと地上のすべて肉なるものとの間に立てた契約のしるしである。」

◆ノアと息子たち

9章18節 箱舟から出たノアの息子は、セム、ハム、ヤフェトであった。ハムはカナンの父である。

9章19節 この三人がノアの息子で、全世界の人々は彼らから出て広がったのである。

9章20節 さて、ノアは農夫となり、ぶどう畑を作った。

9章21節 あるとき、ノアはぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。

9章22節 カナンの父ハムは、自分の父の裸を見て、外にいた二人の兄弟に告げた。

9章23節 セムとヤフェトは着物を取って自分たちの肩に掛け、後ろ向きに歩いて行き、父の裸を覆った。二人は顔を背けたままで、父の裸を見なかった。

9章24節 ノアは酔いからさめると、末の息子がしたことを知り、

9章25節 こう言った。「カナンは呪われよ/奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ。」

9章26節 また言った。「セムの神、主をたたえよ。カナンはセムの奴隷となれ。

9章27節 神がヤフェトの土地を広げ(ヤフェト)/セムの天幕に住まわせ/カナンはその奴隷となれ。」

9章28節 ノアは、洪水の後三百五十年生きた。

9章29節 ノアは九百五十歳になって、死んだ。


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