黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳イザヤ書第29章

◆エルサレムの攻城と救い

29章1節 ああ、アリエルよ、アリエルよ/ダビデが陣を張った都よ。年毎に、祭りの数を増し、巡り来らせよ。

29章2節 そのとき、わたしはアリエルを苦しめる。アリエルには嘆きと、ため息が臨み/祭壇の炉(アリエル)のようになる。

29章3節 わたしはお前を囲んで陣を張り/砦を築き、城壁を建てる。

29章4節 お前は倒されて地の下から語り/お前の言葉は塵の下から鈍く響く。亡霊のようなお前の声は地の下から聞こえ/お前の言葉は塵の下からかすかに響く。

29章5節 群がる外敵は砂塵のようになり/群がる暴虐の者らは/吹き去られるもみ殻のようになる。そのことは突然、瞬く間に起こる。

29章6節 万軍の主によってお前は顧みられる。雷鳴、地震、大音響と共に/つむじ風、嵐、焼き尽くす炎のうちに。

29章7節 アリエルを群がって攻撃する国はすべて/夢か夜の幻のようになる。彼女を攻撃し、取り囲み/苦しめる者はすべて。

29章8節 「飢えた者が夢を見た。見よ、彼は食べていた。だが目覚めてみると、彼は空腹のままであった。渇いた者が夢を見た。見よ、彼は飲んでいた。だが、目覚めてみると、疲れ果てて渇いたままだ。」シオンの山に群がって戦いを挑んだ国は/すべてこのようになる。

◆酔いしれる指導者

29章9節 ためらえ、立ちすくめ。目をふさげ、そして見えなくなれ。酔っているが、ぶどう酒のゆえではない。よろめいているが、濃い酒のゆえではない。

29章10節 主はお前たちに深い眠りの霊を注ぎ/お前たちの目である預言者の目を閉ざし/頭である先見者を覆われた。

29章11節 それゆえすべての幻は、お前たちにとって封じられた書物の中の言葉のようだ。字の読める人に渡して、「どうぞ、読んでください」と頼んでも、その人は「封じられているから読めない」と答える。

29章12節 字の読めない人に渡して、「どうぞ、読んでください」と頼んでも、「わたしは字が読めない」と答える。

29章13節 主は言われた。「この民は、口でわたしに近づき/唇でわたしを敬うが/心はわたしから遠く離れている。彼らがわたしを畏れ敬うとしても/それは人間の戒めを覚え込んだからだ。

29章14節 それゆえ、見よ、わたしは再び/驚くべき業を重ねて、この民を驚かす。賢者の知恵は滅び/聡明な者の分別は隠される。」

29章15節 災いだ、主を避けてその謀を深く隠す者は。彼らの業は闇の中にある。彼らは言う。「誰が我らを見るものか/誰が我らに気づくものか」と。

29章16節 お前たちはなんとゆがんでいることか。陶工が粘土と同じに見なされうるのか。造られた者が、造った者に言いうるのか/「彼がわたしを造ったのではない」と。陶器が、陶工に言いうるのか/「彼には分別がない」と。

◆イスラエルの回復

29章17節 なおしばらくの時がたてば/レバノンは再び園となり/園は森林としても数えられる。

29章18節 その日には、耳の聞こえない者が/書物に書かれている言葉をすら聞き取り/盲人の目は暗黒と闇を解かれ、見えるようになる。

29章19節 苦しんでいた人々は再び主にあって喜び祝い/貧しい人々は/イスラエルの聖なる方のゆえに喜び躍る。

29章20節 暴虐な者はうせ、不遜な者は滅び/災いを待ち構える者は皆、断たれる。

29章21節 彼らは言葉をもって人を罪に定め/町の門で弁護する者を罠にかけ/正しい者を不当に押しのける。

29章22節 それゆえ、アブラハムを贖われた主は/ヤコブの家に向かって、こう言われる。「もはや、ヤコブは恥を受けることはない。もはや顔が青ざめることもない。」

29章23節 彼はその子らと共に/民の内にわが手の業を見てわが名を聖とする。彼らはヤコブの聖なる者を聖とし/イスラエルの神を畏るべきものとする。

29章24節 心の迷った者も知ることを得/つぶやく者も正しく語ることを学ぶ。


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