黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳イザヤ書第28章

◆サマリアの陥落

28章1節 災いだ、エフライムの酔いどれの誇る冠は。その麗しい輝きは/肥沃な谷にある丘を飾っているが/しぼんでゆく花にすぎない。酒の酔いによろめく者よ

28章2節 見よ、主は強く激しい力を持っておられる。主は、激しく降る雹、破壊をもたらす大風/激しく押し流す洪水のように/御手をもって地に投げ倒し

28章3節 エフライムの酔いどれの誇る冠を/御足で踏みにじられる。

28章4節 肥沃な谷にある丘を飾っているその麗しい輝きは/しぼんでゆく花だ。夏に先がける初なりのいちじくのように/それを見る者は、見るやいなや/手に取って呑み込んでしまう。

28章5節 その日には、万軍の主が民の残りの者にとって/麗しい冠、輝く花輪となられる。

28章6節 裁きの座に着く者には、裁きの霊となり/敵の攻撃を城門で押し返す者には/雄々しい力となられる。

◆酒に酔った祭司と預言者

28章7節 彼らもまた、ぶどう酒を飲んでよろめき/濃い酒のゆえに迷う。祭司も預言者も濃い酒を飲んでよろめき/ぶどう酒に飲まれてしまう。濃い酒のゆえに迷い/幻を見るとき、よろめき/裁きを下すとき、つまずく。

28章8節 どの食卓にも吐いた物が溢れ/至るところに汚物がある。

28章9節 誰に知るべきことを教え/お告げを説き明かそうというのか。乳離れした子にか、乳房を離れた幼子にか。

28章10節 「ツァウ・ラ・ツァウ、ツァウ・ラ・ツァウ/(命令に命令、命令に命令)/カウ・ラ・カウ、カウ・ラ・カウ/(規則に規則、規則に規則)/しばらくはここ、しばらくはあそこ」と/彼らは言う。

28章11節 確かに、主はどもる唇と異国の言葉で/この民に語られる。

28章12節 主が彼らに言っておかれたことはこうだ。「これこそが安息である。疲れた者に安息を与えよ。これこそ憩いの場だ」と。しかし、彼らは聞こうとはしなかった。

28章13節 それゆえ、主の言葉は、彼らにとってこうなる。「ツァウ・ラ・ツァウ、ツァウ・ラ・ツァウ/(命令に命令、命令に命令)/カウ・ラ・カウ、カウ・ラ・カウ/(規則に規則、規則に規則)/しばらくはここ、しばらくはあそこ。」彼らは歩むとき、つまずいて倒れ/打ち砕かれ、罠にかかって、捕らえられる。

◆シオンの隅の石

28章14節 嘲る者らよ、主の言葉を聞け/エルサレムでこの民を治める者らよ。

28章15節 お前たちは言った。「我々は死と契約を結び、陰府と協定している。洪水がみなぎり溢れても、我々には及ばない。我々は欺きを避け所とし、偽りを隠れがとする。」

28章16節 それゆえ、主なる神はこう言われる。「わたしは一つの石をシオンに据える。これは試みを経た石/堅く据えられた礎の、貴い隅の石だ。信ずる者は慌てることはない。

28章17節 わたしは正義を測り縄とし/恵みの業を分銅とする。雹は欺きという避け所を滅ぼし/水は隠れがを押し流す。

28章18節 お前たちが死と結んだ契約は取り消され/陰府と定めた協定は実行されない。洪水がみなぎり、溢れるとき/お前たちは、それに踏みにじられる。」

28章19節 洪水は溢れる度にお前たちを捕らえる。それは朝ごとに溢れ、昼も夜も溢れる。この御告げを説き明かせば/ただ恐怖でしかない。

28章20節 寝床は短くて身を伸ばすことができず/覆いは狭くて身を覆うことができない。

28章21節 主はペラツィム山のときのように立ち上がり/ギブオンの谷のときのように憤られる。それは御業を果たされるため。しかし、その御業は未知のもの。また、働きをされるため。しかし、その働きは敵意あるもの。

28章22節 今、嘲ることをやめなければ/お前たちの縄目は厳しくなる。わたしは定められた滅びについて聞いた。それは万軍の主なる神から出て国全体に及ぶ。

◆農夫の知恵

28章23節 聞け、わたしの声に耳を向けよ。聞け、わたしの言うことに耳を傾けよ。

28章24節 種を蒔くために/耕す者は一日中耕すだけだろうか。土を起こして、畝を造るだけだろうか。

28章25節 畑の面を平らにしたなら/いのんどとクミンの種は、広く蒔き散らし/小麦は畝に、大麦は印をしたところに/裸麦は畑の端にと、種を蒔くではないか。

28章26節 神はふさわしい仕方を彼に示し、教えられる。

28章27節 いのんどは打穀機で打たず/クミンの上に打穀車を引き回すことはしない。いのんどは棒で打ち/クミンは杖で打つ。

28章28節 穀物はいつまでも打穀して砕くことはない。打穀車の車輪と馬がその上を回っても/砕き尽くすことはない。

28章29節 これもまた万軍の主から出たことである。主の計らいは驚くべきもので/大いなることを成し遂げられる。


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