黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳イザヤ書第32章

◆正しい王の支配

32章1節 見よ、正義によって/一人の王が統治し/高官たちは、公平をもって支配する。

32章2節 彼らはそれぞれ/風を遮り、雨を避ける所のように/また、水のない地を流れる水路のように/乾ききった地の大きな岩陰のようになる。

32章3節 見る者の目は曇らされず/聞く者の耳は良く聞き分ける。

32章4節 軽率な心も知ることを学び/どもる舌も速やかに語る。

32章5節 もはや、愚かな者が高貴な人とは呼ばれず/ならず者が貴い人と言われることもない。

32章6節 愚かな者は愚かなことを語り/その心は災いをたくらむ。神を無視し、主について迷わすことを語り/飢えている者をむなしく去らせ/渇いている者の水を奪う。

32章7節 ならず者の手管は災いをもたらす。彼は謀をめぐらし/貧しい者が正当な申し立てをしても/乏しい者を偽りの言葉で破滅に落とす。

32章8節 高貴な人は高貴なことをはかり/高貴なことを擁護する。

◆憂いなき女たち

32章9節 憂いなき女たちよ、起きて、わが声を聞け。安んじている娘たちよ/わが言葉に耳を傾けよ。

32章10節 安んじている女たちよ/一年余りの時を経て/お前たちは慌てふためく。ぶどうの収穫が無に帰し/取り入れの時が来ないからだ。

32章11節 憂いなき女たちはおののく/安んじている女たちは慌てふためく。衣を脱ぎ、裸になって/腰に粗布をまとえ。

32章12節 ぶどう畑のために、胸を打って嘆け/美しい畑、実り豊かであったぶどうの木のために

32章13節 茨といらくさに覆われたわが民の畑のために/喜びの家、陽気な町のために。

32章14節 宮殿は捨てられ、町のにぎわいはうせ/見張りの塔のある砦の丘は/とこしえに裸の山となり/野ろばが喜び/家畜の群れが草をはむ所となる。

◆神の霊の働き

32章15節 ついに、我々の上に/霊が高い天から注がれる。荒れ野は園となり/園は森と見なされる。

32章16節 そのとき、荒れ野に公平が宿り/園に正義が住まう。

32章17節 正義が造り出すものは平和であり/正義が生み出すものは/とこしえに安らかな信頼である。

32章18節 わが民は平和の住みか、安らかな宿/憂いなき休息の場所に住まう。

32章19節 しかし、森には雹が降る。町は大いに辱められる。

32章20節 すべての水のほとりに種を蒔き/牛やろばを自由に放つあなたたちは/なんと幸いなことか。


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