黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳イザヤ書第8章

◆速やかな略奪

8章1節 主はわたしに言われた。「大きな羊皮紙を取り、その上に分かりやすい書き方で、マヘル・シャラル・ハシュ・バズ(分捕りは早く、略奪は速やかに来る)と書きなさい」と。

8章2節 そのためにわたしは、祭司ウリヤとエベレクヤの子ゼカルヤを、信頼しうる証人として立てた。

8章3節 わたしは女預言者に近づいた。彼女が身ごもって男の子を産むと、主はわたしに言われた。「この子にマヘル・シャラル・ハシュ・バズという名を付けなさい。

8章4節 この子がお父さん、お母さんと言えるようになる前に、ダマスコからはその富が、サマリアからはその戦利品が、アッシリアの王の前に運び去られる。」

◆神のみを畏れよ

8章5節 主は重ねてわたしに語られた。

8章6節 「この民はゆるやかに流れるシロアの水を拒み/レツィンとレマルヤの子のゆえにくずおれる。

8章7節 それゆえ、見よ、主は大河の激流を/彼らの上に襲いかからせようとしておられる。すなわち、アッシリアの王とそのすべての栄光を。激流はどの川床も満たし/至るところで堤防を越え

8章8節 ユダにみなぎり、首に達し、溢れ、押し流す。その広げた翼は/インマヌエルよ、あなたの国土を覆い尽くす。」

8章9節 諸国の民よ、連合せよ、だがおののけ。遠い国々よ、共に耳を傾けよ。武装せよ、だが、おののけ。武装せよ、だが、おののけ。

8章10節 戦略を練るがよい、だが、挫折する。決定するがよい、だが、実現することはない。神が我らと共におられる(インマヌエル)のだから。

8章11節 主は御手をもってわたしをとらえ、この民の行く道を行かないように戒めて言われた。

8章12節 あなたたちはこの民が同盟と呼ぶものを/何一つ同盟と呼んではならない。彼らが恐れるものを、恐れてはならない。その前におののいてはならない。

8章13節 万軍の主をのみ、聖なる方とせよ。あなたたちが畏るべき方は主。御前におののくべき方は主。

8章14節 主は聖所にとっては、つまずきの石/イスラエルの両王国にとっては、妨げの岩/エルサレムの住民にとっては/仕掛け網となり、罠となられる。

8章15節 多くの者がこれに妨げられ、倒れて打ち砕かれ/罠にかかって捕らえられる。

◆主を待ち望む

8章16節 わたしは弟子たちと共に/証しの書を守り、教えを封じておこう。

8章17節 わたしは主を待ち望む。主は御顔をヤコブの家に隠しておられるが/なおわたしは、彼に望みをかける。

8章18節 見よ、わたしと、主がわたしにゆだねられた子らは、シオンの山に住まわれる万軍の主が与えられたイスラエルのしるしと奇跡である。

8章19節 人々は必ずあなたたちに言う。「ささやきつぶやく口寄せや、霊媒に伺いを立てよ。民は、命ある者のために、死者によって、自分の神に伺いを立てるべきではないか」と。

8章20節 そして、教えと証しの書についてはなおのこと、「このような言葉にまじないの力はない」と言うであろう。

8章21節 この地で、彼らは苦しみ、飢えてさまよう。民は飢えて憤り、顔を天に向けて王と神を呪う。

8章22節 地を見渡せば、見よ、苦難と闇、暗黒と苦悩、暗闇と追放。

8章23節 今、苦悩の中にある人々には逃れるすべがない。

◆ダビデの位

8章23節 先に/ゼブルンの地、ナフタリの地は辱めを受けたが/後には、海沿いの道、ヨルダン川のかなた/異邦人のガリラヤは、栄光を受ける。


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