黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第18章

◆陶工の手中にある粘土

18章1節 主からエレミヤに臨んだ言葉。

18章2節 「立って、陶工の家に下って行け。そこでわたしの言葉をあなたに聞かせよう。」

18章3節 わたしは陶工の家に下って行った。彼はろくろを使って仕事をしていた。

18章4節 陶工は粘土で一つの器を作っても、気に入らなければ自分の手で壊し、それを作り直すのであった。

18章5節 そのとき主の言葉がわたしに臨んだ。

18章6節 「イスラエルの家よ、この陶工がしたように、わたしもお前たちに対してなしえないと言うのか、と主は言われる。見よ、粘土が陶工の手の中にあるように、イスラエルの家よ、お前たちはわたしの手の中にある。

18章7節 あるとき、わたしは一つの民や王国を断罪して、抜き、壊し、滅ぼすが、

18章8節 もし、断罪したその民が、悪を悔いるならば、わたしはその民に災いをくだそうとしたことを思いとどまる。

18章9節 またあるときは、一つの民や王国を建て、また植えると約束するが、

18章10節 わたしの目に悪とされることを行い、わたしの声に聞き従わないなら、彼らに幸いを与えようとしたことを思い直す。」

18章11節 今、ユダの人々とエルサレムの住民に言うがよい。「主はこう言われる。見よ、わたしはお前たちに災いを備え、災いを計画している。お前たちは皆、悪の道から立ち帰り、お前たちの道と行いを正せ。」

18章12節 彼らは言った。「それは無駄です。我々は我々の思いどおりにし、おのおのかたくなな悪い心のままにふるまいたいのだから。」

18章13節 それゆえ、主はこう言われる。「国々に尋ねて見よ。誰がこのようなことを聞いたであろうか。おとめイスラエルはおぞましいことをした。

18章14節 シャダイの岩壁から/レバノンの雪が消え去るだろうか。遠くから流れる冷たい水が涸れることがあろうか。

18章15節 しかし、わたしの民はわたしを忘れ/むなしいものに香をたいた。彼らは自分たちの道、昔からの道につまずき/整えられていない、不確かな道を歩んだ。

18章16節 わたしは彼らの地を恐怖の的とし/いつまでも嘲られるものとする。通りかかる者は皆、おののき、頭を振る。

18章17節 東風のように、わたしは彼らを敵の前に散らす。災いの日に/わたしは彼らに背を向け、顔を向けない。」

◆エレミヤに対する計略

18章18節 彼らは言う。「我々はエレミヤに対して計略をめぐらそう。祭司から律法が、賢者から助言が、預言者から御言葉が失われることはない。舌をもって彼を打とう。彼の告げる言葉には全く耳を傾けまい。」

18章19節 主よ、わたしに耳を傾け/わたしと争う者の声を聞いてください。

18章20節 悪をもって善に報いてもよいでしょうか。彼らはわたしの命を奪おうとして/落とし穴を掘りました。御前にわたしが立ち、彼らをかばい/あなたの怒りをなだめようとしたことを/御心に留めてください。

18章21節 彼らの子らを飢饉に遭わせ/彼らを剣に渡してください。妻は子を失い、やもめとなり/夫は殺戮され/若者は戦いで剣に打たれますように。

18章22節 突然、彼らに一団の略奪者を/襲いかからせてください/彼らの家から叫ぶ声が聞こえるように。彼らはわたしを捕らえようと落とし穴を掘り/足もとに罠を仕掛けました。

18章23節 主よ、あなたはご存じです/わたしを殺そうとする彼らの策略を。どうか彼らの悪を赦さず/罪を御前から消し去らないでください。彼らが御前に倒されるよう/御怒りのときに彼らをあしらってください。


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