黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第19章

◆砕かれた壺

19章1節 主はこう言われる。「行って、陶器師の壺を買い、民の長老と、長老格の祭司を幾人か連れて、

19章2節 陶片の門を出たところにある、ベン・ヒノムの谷へ出て行き、そこでわたしがあなたに語る言葉を呼ばわって、

19章3節 言うがいい。ユダの王たち、エルサレムの住民よ、主の言葉を聞け。イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。見よ、わたしは災いをこのところにもたらす。それを聞く者は耳鳴りがする。

19章4節 それは彼らがわたしを捨て、このところを異教の地とし、そこで彼らも彼らの先祖もユダの王たちも知らなかった他の神々に香をたき、このところを無実の人の血で満たしたからである。

19章5節 彼らはバアルのために聖なる高台を築き、息子たちを火で焼き、焼き尽くす献げ物としてバアルにささげた。わたしはこのようなことを命じもせず、語りもせず、心に思い浮かべもしなかった。

19章6節 それゆえ、見よ、と主は言われる。このところがもはやトフェトとか、ベン・ヒノムの谷とか呼ばれることなく、殺戮の谷と呼ばれる日が来る。

19章7節 わたしはユダとエルサレムの策略をこのところで砕く。わたしは彼らを剣によって、敵の前に倒し、その命を奪おうとする者の手に渡し、彼らの死体を空の鳥、野の獣の餌食とする。

19章8節 わたしはこの都を恐怖の的とし、嘲られるものとする。通りかかる者は皆、恐怖を抱き、その打撃を見て嘲る。

19章9節 彼らの敵と命を奪おうとする者が彼らを悩ますとき、その悩みと苦しみの中で、わたしは彼らに自分の息子や娘の肉を食らい、また互いに肉を食らうに至らせる。

19章10節 あなたは、共に行く人々の見ているところで、その壺を砕き、

19章11節 彼らに言うがよい。万軍の主はこう言われる。陶工の作った物は、一度砕いたなら元に戻すことができない。それほどに、わたしはこの民とこの都を砕く。人々は葬る場所がないのでトフェトに葬る。

19章12節 わたしはこのようにこのところとその住民とに対して行う、と主は言われる。そしてこの都をトフェトのようにする。

19章13節 エルサレムの家々、ユダの王たちの家々は、トフェトのように汚れたものとなる。これらの家はすべて、屋上で人々が天の万象に香をたき、他の神々にぶどう酒の献げ物をささげた家だ。」

19章14節 エレミヤは、主が預言させるために遣わされたトフェトから帰って来て、主の神殿の庭に立ち、民のすべてに向かって言った。

19章15節 「イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。見よ、わたしはこの都と、それに属するすべての町々に、わたしが告げたすべての災いをもたらす。彼らはうなじを固くし、わたしの言葉に聞き従おうとしなかったからだ。」


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