黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第23章

◆ユダの回復

23章1節 「災いだ、わたしの牧場の羊の群れを滅ぼし散らす牧者たちは」と主は言われる。

23章2節 それゆえ、イスラエルの神、主はわたしの民を牧する牧者たちについて、こう言われる。「あなたたちは、わたしの羊の群れを散らし、追い払うばかりで、顧みることをしなかった。わたしはあなたたちの悪い行いを罰する」と主は言われる。

23章3節 「このわたしが、群れの残った羊を、追いやったあらゆる国々から集め、もとの牧場に帰らせる。群れは子を産み、数を増やす。

23章4節 彼らを牧する牧者をわたしは立てる。群れはもはや恐れることも、おびえることもなく、また迷い出ることもない」と主は言われる。

23章5節 見よ、このような日が来る、と主は言われる。わたしはダビデのために正しい若枝を起こす。王は治め、栄え/この国に正義と恵みの業を行う。

23章6節 彼の代にユダは救われ/イスラエルは安らかに住む。彼の名は、「主は我らの救い」と呼ばれる。

23章7節 それゆえ、見よ、このような日が来る、と主は言われる。人々はもはや、「イスラエルの人々をエジプトの国から導き上った主は生きておられる」と言って誓わず、

23章8節 「イスラエルの家の子孫を、北の国や、彼が追いやられた国々から導き上り、帰らせて自分の国に住まわせた主は生きておられる」と言って誓うようになる。

◆預言者に対する言葉

23章9節 預言者たちについて。わたしの心臓はわたしのうちに破れ/骨はすべて力を失った。わたしは酔いどれのように/酒にのまれた男のようになった。それは、主のゆえ/その聖なる言葉のゆえである。

23章10節 姦淫する者がこの国に満ちている。国土は呪われて喪に服し/荒れ野の牧場も干上がる。彼らは悪の道を走り/不正にその力を使う。

23章11節 預言者も祭司も汚れ/神殿の中でさえわたしは彼らの悪を見たと/主は言われる。

23章12節 それゆえ、彼らの道は/すべる岩のようになり/彼らは暗闇の中を追われて倒れる。わたしが彼らに災いを/彼らを罰する年を臨ませるからだと/主は言われる。

23章13節 わたしは、サマリアの預言者たちに/あるまじき行いを見た。彼らはバアルによって預言し/わが民イスラエルを迷わせた。

23章14節 わたしは、エルサレムの預言者たちの間に/おぞましいことを見た。姦淫を行い、偽りに歩むことである。彼らは悪を行う者の手を強め/だれひとり悪から離れられない。彼らは皆、わたしにとってソドムのよう/彼らと共にいる者はゴモラのようだ。

23章15節 それゆえ、万軍の主は預言者たちについて/こう言われる。見よ、わたしは彼らに苦よもぎを食べさせ/毒の水を飲ませる。エルサレムの預言者たちから/汚れが国中に広がったからだ。

23章16節 万軍の主はこう言われる。お前たちに預言する預言者たちの/言葉を聞いてはならない。彼らはお前たちに空しい望みを抱かせ/主の口の言葉ではなく、自分の心の幻を語る。

23章17節 わたしを侮る者たちに向かって/彼らは常に言う。「平和があなたたちに臨むと/主が語られた」と。また、かたくなな心のままに歩む者に向かって/「災いがあなたたちに来ることはない」と言う。

23章18節 誰が主の会議に立ち/また、その言葉を見聞きしたか。誰が耳を傾けて、その言葉を聞いたか。

23章19節 見よ、主の嵐が激しく吹き/つむじ風が巻き起こって/神に逆らう者らの頭上に渦を巻く。

23章20節 主の怒りは/思い定められた事を成し遂げるまではやまない。終わりの日に、お前たちは/このことをはっきりと悟る。

23章21節 わたしが遣わさないのに/預言者たちは走る。わたしは彼らに語っていないのに/彼らは預言する。

23章22節 もし、彼らがわたしの会議に立ったのなら/わが民にわたしの言葉を聞かせ/彼らの悪い道、悪の行いから/帰らせることができたであろう。

23章23節 わたしはただ近くにいる神なのか、と主は言われる。わたしは遠くからの神ではないのか。

23章24節 誰かが隠れ場に身を隠したなら/わたしは彼を見つけられないと言うのかと/主は言われる。天をも地をも、わたしは満たしているではないかと/主は言われる。

23章25節 わたしは、わが名によって偽りを預言する預言者たちが、「わたしは夢を見た、夢を見た」と言うのを聞いた。

23章26節 いつまで、彼らはこうなのか。偽りを預言し、自分の心が欺くままに預言する預言者たちは、

23章27節 互いに夢を解き明かして、わが民がわたしの名を忘れるように仕向ける。彼らの父祖たちがバアルのゆえにわたしの名を忘れたように。

23章28節 夢を見た預言者は夢を解き明かすがよい。しかし、わたしの言葉を受けた者は、忠実にわたしの言葉を語るがよい。もみ殻と穀物が比べものになろうかと/主は言われる。

23章29節 このように、わたしの言葉は火に似ていないか。岩を打ち砕く槌のようではないか、と主は言われる。

23章30節 それゆえ、見よ、わたしは仲間どうしでわたしの言葉を盗み合う預言者たちに立ち向かう、と主は言われる。

23章31節 見よ、わたしは自分の舌先だけで、その言葉を「託宣」と称する預言者たちに立ち向かう、と主は言われる。

23章32節 見よ、わたしは偽りの夢を預言する者たちに立ち向かう、と主は言われる。彼らは、それを解き明かして、偽りと気まぐれをもってわが民を迷わせた。わたしは、彼らを遣わしたことも、彼らに命じたこともない。彼らはこの民に何の益ももたらさない、と主は言われる。

23章33節 もし、この民が――預言者であれ祭司であれ――あなたに、「主の託宣(マッサ)とは何か」と問うならば、彼らに、「お前たちこそ重荷(マッサ)だ。わたしはお前たちを投げ捨てる、と主は言われる」と答えるがよい。

23章34節 預言者にせよ、祭司にせよ、民にせよ、「主の託宣だ」と言う者があれば、わたしはその人とその家を罰する。

23章35節 お前たちは、ただ隣人や兄弟の間で互いに、「主は何とお答えになりましたか。主は何とお語りになりましたか」とだけ言うがよい。

23章36節 「主の託宣だ」という言い方を二度としてはならない。なぜなら、お前たちは勝手に自分の言葉を託宣とし、生ける神で/ある我らの神、万軍の主の言葉を曲げたからだ。

23章37節 預言者にはただ、「主は何とお答えになりましたか。主は何とお語りになりましたか」と言うがよい。

23章38節 もし、お前たちが、「主の託宣だ」と言うなら、主はこう言われる。「お前たちは、『主の託宣だ』と言ってはならないと命じておいたのに、『主の託宣だ』というこの言葉を語ったので、

23章39節 見よ、わたしはお前たちを全く退け、お前たちと父祖たちに与えたこの都と共に、お前たちをわたしの前から捨て去る。

23章40節 そしてお前たちに、決して忘れえない永久の恥と永久の辱めを与える。」


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