黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第30章

◆回復の約束

30章1節 主からエレミヤに臨んだ言葉。

30章2節 「イスラエルの神、主はこう言われる。わたしがあなたに語った言葉をひとつ残らず巻物に書き記しなさい。

30章3節 見よ、わたしの民、イスラエルとユダの繁栄を回復する日が来る、と主は言われる。主は言われる。わたしは、彼らを先祖に与えた国土に連れ戻し、これを所有させる。」

◆ヤコブの災いと救い

30章4節 次の言葉は、イスラエルとユダについて、主が語られたものである。

30章5節 主はこう言われる。戦慄の声を我々は聞いた。恐怖のみ。平和はない。

30章6節 尋ねて、見よ/男が子を産むことは決してない。どうして、わたしは見るのか/男が皆、子を産む女のように/腰に手を当てているのを。だれの顔も土色に変わっている。

30章7節 災いだ、その日は大いなる日/このような日はほかにはない。ヤコブの苦しみの時だ/しかし、ヤコブはここから救い出される。

30章8節 その日にはこうなる、と万軍の主は言われる。お前の首から軛を砕き、縄目を解く。再び敵がヤコブを奴隷にすることはない。

30章9節 彼らは、神である主と、わたしが立てる王ダビデとに仕えるようになる。

30章10節 わたしの僕ヤコブよ、恐れるなと/主は言われる。イスラエルよ、おののくな。見よ、わたしはお前を遠い地から/お前の子孫を捕囚の地から救い出す。ヤコブは帰って来て、安らかに住む。彼らを脅かす者はいない。

30章11節 わたしがお前と共にいて救うと/主は言われる。お前が散らされていた国々を/わたしは滅ぼし尽くす。しかし、お前を滅ぼし尽くすことはない。わたしはお前を正しく懲らしめる。罰せずにおくことは決してない。

30章12節 主はこう言われる。お前の切り傷はいえず/打ち傷は痛む。

30章13節 お前の訴えは聞かれず/傷口につける薬はなく/いえることもない。

30章14節 愛人たちは皆、お前を忘れ/相手にもしない。お前の悪が甚だしく/罪がおびただしいので/わたしが敵の攻撃をもってお前を撃ち/過酷に懲らしめたからだ。

30章15節 なぜ傷口を見て叫ぶのか。お前の痛みはいやされない。お前の悪が甚だしく/罪がおびただしいので/わたしがお前にこうしたのだ。

30章16節 それゆえ、お前を食い尽くす者は/皆、食い尽くされる。お前の敵は皆、捕囚となる。お前を略奪する者は、略奪され/強奪する者は、皆、強奪される。

30章17節 さあ、わたしがお前の傷を治し/打ち傷をいやそう、と主は言われる。人々はお前を、「追い出された者」と呼び/「相手にされないシオン」と言っているが。

30章18節 主はこう言われる。見よ、わたしはヤコブの天幕の繁栄を回復し/その住む所を憐れむ。都は廃虚の丘の上に建てられ/城郭はあるべき姿に再建される。

30章19節 そこから感謝の歌と/楽を奏する者の音が聞こえる。わたしが彼らを増やす。数が減ることはない。わたしが彼らに栄光を与え、侮られることはない。

30章20節 ヤコブの子らは、昔のようになり/その集いは、わたしの前に固く立てられる。彼らを苦しめるものにわたしは報いる。

30章21節 ひとりの指導者が彼らの間から/治める者が彼らの中から出る。わたしが彼を近づけるので/彼はわたしのもとに来る。彼のほか、誰が命をかけて/わたしに近づくであろうか、と主は言われる。

30章22節 こうして、あなたたちはわたしの民となり/わたしはあなたたちの神となる。

30章23節 見よ、主の怒りの嵐が吹く。嵐は荒れ狂い/神に逆らう者の頭上に吹き荒れる。

30章24節 主の激しい怒りは/思い定められたことを成し遂げるまではやまない。終わりの日に、あなたたちはこのことを悟る。


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