黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第33章

◆エルサレムの復興

33章1節 主の言葉が再びエレミヤに臨んだ。このとき彼は、まだ獄舎に拘留されていた。

33章2節 主はこう言われる。創造者、主、すべてを形づくり、確かにされる方。その御名は主。

33章3節 「わたしを呼べ。わたしはあなたに答え、あなたの知らない隠された大いなることを告げ知らせる。

33章4節 攻城の土塁が築かれた後、剣を帯びた敵の侵入を防ぐために、破壊されたこの都の家屋とユダの王の宮殿について、イスラエルの神、主はこう言われる。

33章5節 彼らはカルデア人と戦うが、都は死体に溢れるであろう。わたしが怒りと憤りをもって彼らを打ち殺し、そのあらゆる悪行のゆえに、この都から顔を背けたからだ。

33章6節 しかし、見よ、わたしはこの都に、いやしと治癒と回復とをもたらし、彼らをいやしてまことの平和を豊かに示す。

33章7節 そして、ユダとイスラエルの繁栄を回復し、彼らを初めのときのように建て直す。

33章8節 わたしに対して犯したすべての罪から彼らを清め、犯した罪と反逆のすべてを赦す。

33章9節 わたしがこの都に与える大いなる恵みについて世界のすべての国々が聞くとき、この都はわたしに喜ばしい名声、賛美の歌、輝きをもたらすものとなる。彼らは、わたしがこの都に与える大いなる恵みと平和とを見て、恐れおののくであろう。

33章10節 主はこう言われる。この場所に、すなわちお前たちが、ここは廃虚で人も住まず、獣もいないと言っているこのユダの町々とエルサレムの広場に、再び声が聞こえるようになる。そこは荒れ果てて、今は人も、住民も、獣もいない。

33章11節 しかし、やがて喜び祝う声、花婿と花嫁の声、感謝の供え物を主の神殿に携えて来る者が、『万軍の主をほめたたえよ。主は恵み深く、その慈しみはとこしえに』と歌う声が聞こえるようになる。それはわたしが、この国の繁栄を初めのときのように回復するからである。

33章12節 万軍の主はこう言われる。人も住まず、獣もいない荒れ果てたこの場所で、またすべての町々で、再び羊飼いが牧場を持ち、羊の群れを憩わせるようになる。

33章13節 山あいの町々、シェフェラの町々、ネゲブの町々、ベニヤミン族の所領、エルサレムの周辺、ユダの町々で、再び、羊飼いが、群れをなして戻って来る羊を数えるようになる。

33章14節 見よ、わたしが、イスラエルの家とユダの家に恵みの約束を果たす日が来る、と主は言われる。

33章15節 その日、その時、わたしはダビデのために正義の若枝を生え出でさせる。彼は公平と正義をもってこの国を治める。

33章16節 その日には、ユダは救われ、エルサレムは安らかに人の住まう都となる。その名は、『主は我らの救い』と呼ばれるであろう。

33章17節 主はこう言われる。ダビデのためにイスラエルの家の王座につく者は、絶えることがない。

33章18節 レビ人である祭司のためにも、わたしの前に動物や穀物を供えて焼き、いけにえをささげる者はいつまでも絶えることがない。」

33章19節 主の言葉がエレミヤに臨んだ。

33章20節 「主はこう言われる。わたしが昼と結んだ契約、夜と結んだ契約を、お前たちが破棄して、昼と夜とがその時に従って巡るのを妨げることができないように、

33章21節 わたしが、わが僕ダビデと結んだ契約が破棄され、ダビデの王位を継ぐ嫡子がなくなり、また、わたしに仕えるレビ人である祭司との契約が破棄されることもない。

33章22節 わたしは数えきれない満天の星のように、量り知れない海の砂のように、わが僕ダビデの子孫と、わたしに仕えるレビ人の数を増やす。」

33章23節 主の言葉がエレミヤに臨んだ。

33章24節 「この民は、『主は御自分が選んだ二つの氏族を見放された』と言って、わが民をもはや一国と呼ぶに値しないかのように、軽んじているのをあなたは知らないのか。

33章25節 主はこう言われる。もし、わたしが昼と夜と結んだ契約が存在せず、また、わたしが天と地の定めを確立しなかったのなら、

33章26節 わたしはヤコブとわが僕ダビデの子孫を退け、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫を治める者を選ぶことをやめるであろう。しかしわたしは、彼らの繁栄を回復し、彼らを憐れむ。」


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