黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エゼキエル書第10章

◆主の栄光が神殿を去る

10章1節 わたしが見ていると、ケルビムの頭上の大空の上に、サファイアの石のようで、形は王座のように見えるものがあるではないか。それはケルビムの上に見えた。

10章2節 主は亜麻布をまとった者に向かって言われた。「ケルビムの下の回転するものの間に入れ。そして、ケルビムの間にある燃える炭火を両手に満たし、それを都の上にまき散らせ」と。彼は、わたしの目の前で入って行った。

10章3節 その人が入って行ったとき、ケルビムは神殿の南側に止まっており、雲が中庭を満たしていた。

10章4節 主の栄光はケルビムの上から立ち上がり、神殿の敷居に向かった。神殿は雲で満たされ、庭は主の栄光の輝きで満たされた。

10章5節 ケルビムの翼の羽ばたく音は外庭にまで聞こえ、全能の神が語られる御声のようであった。

10章6節 主が亜麻布をまとった人に命じて、「火を、回転するものの間、ケルビムの間から取れ」と言われたので、彼は来て、車輪の傍らに立った。

10章7節 すると、ケルビムのひとりが、手をケルビムの間から、ケルビムの間にある火に向かって伸ばして火を取り上げ、亜麻布をまとった者の両手に置いた。その人は火を受け取って、出て行った。

10章8節 ケルビムには、その翼の下に、人間の手の形が見えていた。

10章9節 わたしが見ていると、四つの車輪が、ケルビムの傍らにあるではないか。一つの車輪が、ひとりのケルビムの傍らに、また一つの車輪が、ひとりのケルビムの傍らにというように、それぞれの傍らにあって、それらの車輪の有様は緑柱石のように輝いていた。

10章10節 それぞれの形の有様は、四つとも同じで、一つの車輪がもう一つの車輪の中にあるかのようであった。

10章11節 それらが移動するときは、四つの方向に進み、移動するときに、向きを変えることはなかった。先頭のケルビムが向かうところに他のものも従って進み、向きを変えなかったからである。

10章12節 ケルビムの全身、すなわち、背中、両手、翼と、車輪にはその周囲一面に目がつけられていた。ケルビムの車輪は四つともそうであった。

10章13節 それらの車輪は「回転するもの」と呼ばれているのが、わたしの耳に聞こえた。

10章14節 ケルビムにはそれぞれ四つの顔があり、第一の顔はケルビムの顔、第二の顔は人間の顔、第三の顔は獅子の顔、そして第四の顔は鷲の顔であった。

10章15節 ケルビムは上った。これがケバル川のほとりでわたしが見たあの生き物である。

10章16節 ケルビムが移動するとき、車輪もその傍らを進み、ケルビムが翼を広げて地上から上るとき、車輪もその傍らを離れて回ることはなかった。

10章17節 ケルビムが止まると、車輪も止まり、ケルビムが上ると、車輪も共に上った。生き物の霊がその中にあったからである。

10章18節 主の栄光は神殿の敷居の上から出て、ケルビムの上にとどまった。

10章19節 ケルビムは翼を広げ、傍らの車輪と共に出て行くとき、わたしの目の前で地から上って行き、主の神殿の東の門の入り口で止まった。イスラエルの神の栄光は高くその上にあった。

10章20節 これがケバル川の河畔で、わたしがイスラエルの神のもとにいるのを見たあの生き物である。わたしは、それがケルビムであることを知った。

10章21節 そのそれぞれに四つの顔と四つの翼があり、翼の下には人間の手の形をしたものがあった。

10章22節 これらの顔の形は、まさしく、わたしがケバル川の河畔で見た顔であった。それらは同じような有様をしており、おのおのまっすぐに進んで行った。


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