黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エゼキエル書第16章

◆エルサレムの背信

16章1節 主の言葉がわたしに臨んだ。

16章2節 「人の子よ、エルサレムにその忌まわしいことを知らせなさい。

16章3節 あなたは言わねばならない。主なる神は、エルサレムに対してこう言われる。お前の出身、お前の生まれはカナン人の地。父はアモリ人、母はヘト人である。

16章4節 誕生について言えば、お前の生まれた日に、お前のへその緒を切ってくれる者も、水で洗い、油を塗ってくれる者も、塩でこすり、布にくるんでくれる者もいなかった。

16章5節 だれもお前に目をかけず、これらのことの一つでも行って、憐れみをかける者はいなかった。お前が生まれた日、お前は嫌われて野に捨てられた。

16章6節 しかし、わたしがお前の傍らを通って、お前が自分の血の中でもがいているのを見たとき、わたしは血まみれのお前に向かって、『生きよ』と言った。血まみれのお前に向かって、『生きよ』と言ったのだ。

16章7節 わたしは、野の若草のようにお前を栄えさせた。それでお前は、健やかに育ち、成熟して美しくなり、胸の形も整い、髪も伸びた。だが、お前は裸のままであった。

16章8節 その後、わたしがお前の傍らを通ってお前を見たときには、お前は愛される年ごろになっていた。そこでわたしは、衣の裾を広げてお前に掛け、裸を覆った。わたしはお前に誓いを立てて、契約を結び、お前は、わたしのものになった、と主なる神は言われる。

16章9節 わたしはお前を水で洗い、血を洗い落とし、油を塗った。

16章10節 そして、美しく織った服を着せ、上質の革靴を履かせ、亜麻布を頭にかぶらせ、絹の衣を掛けてやった。

16章11節 わたしはまた、装身具をお前につけ、腕には腕輪、首には首飾りをつけた。

16章12節 また、鼻に飾りの輪を、耳には耳輪を、頭には美しい冠をかぶらせた。

16章13節 こうして、お前は金銀で身を飾り、亜麻布と絹とで美しく織った服を身に着けた。そして小麦粉と蜂蜜と油を食物とした。こうしてお前は非常に美しくなり、女王のようになった。

16章14節 その美しさのゆえに、お前の名は国々の間に広まった。わたしがお前を装わせた装いには、少しも欠けるところがなかったからである、と主なる神は言われる。

16章15節 それなのに、お前はその美しさを頼みとし、自分の名声のゆえに姦淫を行った。お前は通りかかる者すべてにこびを売り、身をまかせた。

16章16節 また、自分の着物の中から選び出して、華やかな床をしつらえ、その上で姦淫を行った。このようなことは、かつてなかったし、これからもあってはならないことだ。

16章17節 お前はまた、わたしが与えた金銀の美しい品々を取って男の像を造り、それと姦淫を行った。

16章18節 お前は美しく織った服をとってそれらの像に着せ、わたしの油と香をその前に供えた。

16章19節 また、お前はわたしが与えた食物、お前を養ってきた小麦粉、油、蜜をその前に供えて、宥めの香りとした、と主なる神は言われる。

16章20節 お前はまた、わたしのために産んだお前の息子、娘たちをとり、偶像の食物として供えた。お前の姦淫はまだ足りないのか。

16章21節 お前はわたしの子供たちを殺し、火に焼いて偶像にささげた。

16章22節 お前は、あらゆる忌まわしいことや姦淫を行っているあいだ、幼いときに裸で血の中をもがいていたことを思い起こさなかった。

16章23節 ああ、なんと災いなことか、お前は、と主なる神は言われる。すべての悪事の後に、

16章24節 お前は祭儀台を設け、すべての広場に高い所を造り、

16章25節 すべての四つ辻には高い所を設けて、お前の美しさを汚した。また、傍らを通るすべての者に両脚を広げ、姦淫を重ねた。

16章26節 お前はまた、肉欲の強い隣国エジプト人たちと姦淫を行い、姦淫を重ねてわたしを怒らせた。

16章27節 わたしは手をお前の上に伸ばして、お前の分け前を奪い、敵であるペリシテの女たちに渡し、その意のままにさせる。彼女たちはお前のみだらな行いにあきれ果てている。

16章28節 それでも、お前は飽き足らず、アシュルの人々と姦淫を行った。彼らと姦淫を行ってもまだ飽きず、

16章29節 商業の地カルデアと淫行を重ねたが、それでもなお飽き足らなかった。

16章30節 お前の心はなんとひどい熱病にかかっていることか、と主なる神は言われる。厚かましい淫婦が行うこれらすべてのことをしているとは。

16章31節 お前はすべての四つ辻に祭儀台を設け、すべての広場に高い所を造った。お前は報酬を受け取ることを潔しとしなかったから、娼婦とは違っていた。

16章32節 お前は、自分の夫の代わりに外国の男と通じる淫行の妻だ。

16章33節 すべての娼婦に対して人は金を払う。ところが、お前はすべてお前を愛する者に、お前の方から贈り物をし、賄賂を贈り、姦淫をするために人々を四方からお前のもとに来させる。

16章34節 お前の姦淫は他の女たちとは逆である。だれも、お前を誘って姦淫したのではない。お前が報酬を支払われるのではなく、お前の方から報酬を支払っているところが逆である。

16章35節 それゆえ、姦淫の女よ、主の言葉を聞け。

16章36節 主なる神はこう言われる。お前が、愛を求める者と姦淫するために、欲情を注ぎ、裸をさらしたために、また、すべての忌まわしい偶像と、それにささげたお前の息子たちの血のゆえに、

16章37節 わたしは、お前がもてなしたすべての愛人たち、お前の好きだった者も嫌いだった者もすべて集める。わたしは彼らを至るところからお前のもとに集め、お前の裸を彼らにさらす。彼らはお前の裸をくまなく見る。

16章38節 わたしは、お前を淫行と流血のゆえに裁く。また、怒りと熱情をもって、お前の流血に報いる。

16章39節 更にわたしは、お前を彼らの手に渡す。彼らはお前の祭儀台を倒し、高い所を破壊し、お前の着物をはぎ取り、美しい飾りを取り去ってお前を裸にする。

16章40節 彼らは群衆を駆り立ててお前に向かわせ、石を投げさせ、剣で切りつけさせる。

16章41節 彼らは火でお前の家を焼き、多くの女たちの見ている前でお前を裁く。こうして、わたしはお前に姦淫をやめさせる。お前は二度と報酬を支払わない。

16章42節 わたしがお前に対する怒りを静め、わたしの熱情がお前から離れるとき、わたしの心は休まり、もはや怒ることはない。

16章43節 お前が、若い日々のことを思い起こさず、これらすべてのことでわたしを怒らせたので、わたしもまた、お前の行いを頭上に報いる、と主なる神は言われる。お前はすべての忌まわしいことに加えて、この悪事を行ったではないか。

16章44節 お前についてことわざを語る者は、すべて、ことわざを用いてこう言う。『この母にしてこの娘あり』と。

16章45節 お前は、自分の夫と息子たちを捨てた母の娘であり、自分の夫と息子たちを捨てた姉妹たちの一人である。お前の母はヘト人、父はアモリ人である。

16章46節 お前の姉はサマリアであり、彼女とその娘たちはお前の北に住んでいる。また、お前の南に住んでいるお前の妹はソドムとその娘たちである。

16章47節 お前は彼女たちの道を歩んで、忌まわしいことを行ったばかりでなく、やがて、すべての道において、彼女たちよりもいっそう堕落した。

16章48節 わたしは生きている、と主なる神は言われる。お前の妹であるソドムも、その娘たちも、お前とお前の娘たちが行ったようなことはしなかった。

16章49節 お前の妹ソドムの罪はこれである。彼女とその娘たちは高慢で、食物に飽き安閑と暮らしていながら、貧しい者、乏しい者を助けようとしなかった。

16章50節 彼女たちは傲慢にも、わたしの目の前で忌まわしいことを行った。そのために、わたしが彼女たちを滅ぼしたのは、お前の見たとおりである。

16章51節 また、サマリアは、お前の過ちの半分も過ちを犯さなかった。お前は彼女たちよりも多くの忌まわしいことを行った。お前が行ったすべての忌まわしいことに比べれば、お前の姉妹は正しい者のようにさえ見えた。

16章52節 お前は、姉妹よりも忌まわしいことを行った罪によって、彼女たちの咎を軽くした恥辱を負わねばならない。お前は自分の姉妹を正しい者のようにしたことを恥じ、その恥辱を負わねばならない。

16章53節 わたしは、捕らわれた彼女たちを帰らせる。すなわち、捕らわれたソドムとその娘たち、捕らわれたサマリアとその娘たち、および彼女たちと共に捕らわれたお前たちを帰らせる。

16章54節 お前は自分の不名誉を負わねばならない。また、お前が彼女たちを慰める結果となったすべての行いのゆえに、不名誉を負わねばならない。

16章55節 お前の妹であるソドムと、その娘たちは元の姿に帰り、サマリアとその娘たちも元の姿に帰り、また、お前と娘たちも元の姿に帰るであろう。

16章56節 お前が高慢になったとき、妹ソドムのうわさは既にお前の口にも上っていたではないか。

16章57節 それは、お前の悪があらわになる前のことである。しかし今では、アラムの娘たちとその周囲の者たち、および、お前を周囲から侮っているペリシテの娘たちに嘲られている。

16章58節 お前は自分の悪と忌まわしい行いとの責めを負わねばならない、と主は言われる。

16章59節 主なる神はこう言われる。お前が行ったように、わたしもお前に対して行う。お前は誓いを軽んじ、契約を破った。

16章60節 だが、わたしは、お前の若い日にお前と結んだわたしの契約を思い起こし、お前に対して永遠の契約を立てる。

16章61節 お前は自分の道を思い起こし、姉たちと妹たちを受け入れるとき、恥を負うであろう。わたしは、彼女たちを娘としてお前に与える。しかしお前が契約を守ったからではない。

16章62節 わたしがお前と契約を立てるとき、お前はわたしが主であることを知るようになる。

16章63節 こうして、お前が行ったすべてのことについて、わたしがお前を赦すとき、お前は自分のしたことを思い起こして恥じ、自分の不名誉のゆえに、二度と口を開くことはできなくなる」と主なる神は言われる。


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