黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳申命記第1章

◆はじめに

1章1節 モーセはイスラエルのすべての人にこれらの言葉を告げた。それは、ヨルダン川の東側にある荒れ野で、一方にパラン、他方にトフェル、ラバン、ハツェロト、ディ・ザハブがあるスフに近いアラバにおいてであった。

1章2節 ホレブからセイルの山地を通って、カデシュ・バルネアまでは十一日の道のりである。

1章3節 第四十年の第十一の月の一日に、モーセは主が命じられたとおり、すべてのことをイスラエルの人々に告げた。

1章4節 モーセがヘシュボンに住むアモリ人の王シホンを撃ち、アシュタロトに住むバシャンの王オグをエドレイで撃った後のことであった。

1章5節 モーセは、ヨルダン川の東側にあるモアブ地方で、この律法の説き明かしに当たった。

◆主の命令と約束

1章6節 我々の神、主はホレブで仰せになった。「あなたたちは既に久しくこの山にとどまっている。

1章7節 向きを変えて出発し、アモリ人の山地に行き、更にその近隣地方、すなわちアラバ、山地、シェフェラ、ネゲブ、沿岸地方に行きなさい。更にカナン人の土地、レバノン山、大河ユーフラテスにまで行きなさい。

1章8節 見よ、わたしはあなたたちにこの土地を与える。」あなたたちは行って、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに、彼らとその子孫に与えると誓われた土地を取りなさい。

◆役職者の任命

1章9節 そのころ、わたしはあなたたちに言った。「わたしは、ひとりであなたたちの重荷を負うことはできない。

1章10節 あなたたちの神、主が人数を増やされたので、今やあなたたちは空の星のように数多くなった。

1章11節 あなたたちの先祖の神、主が約束されたとおり、更に、あなたたちを千倍にも増やして祝福されるように。

1章12節 しかし、どうしてひとりであなたたちの重荷、もめ事、争いを負えるだろうか。

1章13節 部族ごとに、賢明で思慮深く、経験に富む人々を選び出しなさい。わたしはその人たちをあなたたちの長としよう。」

1章14節 あなたたちがわたしに答えて、「提案されたことは結構なことです」と言ったので、

1章15節 わたしは、あなたたちの部族の長で、賢明な経験に富む人たちを選んで、彼らをあなたたちの長、すなわち千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長とし、また、あなたたちの部族の役人とした。

1章16節 わたしはそのとき、あなたたちの裁判人に命じた。「同胞の間に立って言い分をよく聞き、同胞間の問題であれ、寄留者との間の問題であれ、正しく裁きなさい。

1章17節 裁判に当たって、偏り見ることがあってはならない。身分の上下を問わず、等しく事情を聞くべきである。人の顔色をうかがってはならない。裁判は神に属することだからである。事件があなたたちの手に負えない場合は、わたしのところに持って来なさい。わたしが聞くであろう。」

1章18節 わたしはそのとき、これらすべてのことをあなたたちのなすべきこととして命じた。

◆偵察隊の報告と民の不信

1章19節 我々は神、主が命じられたとおり、ホレブをたち、あなたたちが見たあの広くて恐ろしい荒れ野を通り、アモリ人の山地に至る道を、カデシュ・バルネアまで来た。

1章20節 わたしが、「あなたたちは、我々の神、主が与えられたアモリ人の山地まで来た。

1章21節 見よ、あなたの神、主はこの土地をあなたに与えられた。あなたの先祖の神、主が仰せになったとおり、上って行って取りなさい。恐れてはならない。おののいてはならない」と言うと、

1章22節 あなたたちはそろってわたしのもとに来て、「まず人を派遣し、その土地を探らせ、我々がどの道を上り、どの町に行くべきか報告させましょう」と言った。

1章23節 それは名案だと思われたので、わたしは各部族から一人ずつ、合わせて十二人を選び出した。

1章24節 彼らは出発し、山地に上り、エシュコルの谷に着きそこを偵察し、

1章25節 その土地の果実を取って持ち帰り、「我々の神、主が与えてくださる土地は良い土地です」と報告した。

1章26節 しかし、あなたたちは上って行こうとはせず、あなたたちの神、主の命令に逆らって、

1章27節 天幕にとどまって不平を言い合った。「主は我々を憎んで、エジプトの国から導き出し、アモリ人の手に渡し、我々を滅ぼそうとしておられるのだ。

1章28節 どうして、そんな所に行かねばならないのだ。我々の仲間も、そこの住民は我々よりも強くて背が高く、町々は大きく、城壁は天に届くほどで、しかもアナク人の子孫さえも見たと言って、我々の心を挫いたではないか。」

1章29節 わたしはあなたたちに言った。「うろたえてはならない。彼らを恐れてはならない。

1章30節 あなたたちに先立って進まれる神、主御自身が、エジプトで、あなたたちの目の前でなさったと同じように、あなたたちのために戦われる。

1章31節 また荒れ野でも、あなたたちがこの所に来るまでたどった旅の間中も、あなたの神、主は父が子を背負うように、あなたを背負ってくださったのを見た。」

1章32節 こう言っても、あなたたちの神、主をあなたたちは信じなかったが、

1章33節 この方こそ、あなたたちの先頭に道を進み、あなたたちのために宿営の場所を探し、夜は火、昼は雲によって行く手を示された方である。

◆主の怒りと民の不服従

1章34節 主はあなたたちの不平の声を聞いて憤り、誓って言われた。

1章35節 「この悪い世代の人々のうちで、わたしが与えると先祖に誓った良い土地を見る者はない。

1章36節 ただし、エフネの子カレブは例外である。彼だけはそれを見るであろう。わたしは、彼が足を踏み入れた土地を彼に与え、その子孫のものとする。彼は主に従いとおしたからである。」

1章37節 主は、あなたたちのゆえにわたしに対しても激しく憤って言われた。「あなたもそこに入ることはできない。

1章38節 あなたに仕えているヌンの子ヨシュアだけはそこに入ることができる。彼を力づけなさい。イスラエルに嗣業の土地を継がせるのは彼である。

1章39節 あなたたちが略奪されてしまうと言っている乳飲み子や、まだ善悪をわきまえていない子供たちは、そこに入ることができる。彼らにわたしはその土地を与える。彼らがそれを取るであろう。

1章40節 あなたたちは向きを変え、葦の海の道を通って荒れ野に向けて出発しなさい。」

1章41節 あなたたちは、わたしに答えて、「我々は主に対して罪を犯しました。我々は攻め上って、我々の神、主が命じられたように戦います」と言い、めいめい武器を携え、安易に考えて山地へ上って行こうとしたが、

1章42節 主はわたしに言われた。「彼らに言いなさい。攻め上って戦ってはならない。わたしはあなたたちのうちにいない。敵に撃ち破られてはならない。」

1章43節 わたしはそう伝えたが、あなたたちは耳を貸さず、主の命令に背き、傲慢にも山地へ上って行った。

1章44節 山地に住むアモリ人たちはあなたたちを迎え撃ち、蜂が襲うようにホルマまで追撃し、セイルであなたたちを撃ち破った。

1章45節 あなたたちは戻って来て、主の前で泣いたが、主はあなたたちの声に耳を傾けず、聞こうとされなかった。

1章46節 あなたたちは、長い間、すなわちあなたたちが滞在した日数だけカデシュに滞在した。


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