黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳ヨシュア記第10章

◆五人の王の征服

10章1節 エルサレムの王アドニ・ツェデクは、ヨシュアがアイを占領し、滅ぼし尽くし、アイの町とその王をも、先のエリコとその王と同じように取り扱ったことを聞き、またギブオンの住民がイスラエルと和を結び、彼らのうちに住むことを許されたと聞くと、

10章2節 非常に恐れた。ギブオンはアイよりも大きく、王をいただく都市ほどの大きな町であり、その上、そこの男たちは皆、勇士だったからである。

10章3節 エルサレムの王アドニ・ツェデクは、ヘブロンの王ホハム、ヤルムトの王ピルアム、ラキシュの王ヤフィア、エグロンの王デビルに人を遣わし、

10章4節 「わたしのもとに上り、ギブオンを撃つのを助けていただきたい。彼らはヨシュアの率いるイスラエルの人々と和を結んだ」と伝えた。

10章5節 アモリ人の五人の王、すなわちエルサレム、ヘブロン、ヤルムト、ラキシュ、エグロンの王たちとその全軍勢は連合して攻め上り、ギブオンに向かって陣を敷き、戦いを仕掛けた。

10章6節 ギブオンの人々はギルガルの陣営にいるヨシュアに人を遣わして、こう告げた。「あなたの僕から手を引かず、早く上って来て、わたしたちを救い、助けてください。山地に住むアモリ人のすべての王たちがわたしたちに向かって集結しています。」

10章7節 ヨシュアは兵士全員、すべての勇士を率いてギルガルから出陣した。

10章8節 主はヨシュアに言われた。「彼らを恐れてはならない。わたしは既に彼らをあなたの手に渡した。あなたの行く手に立ちはだかる者は一人もいない。」

10章9節 ヨシュアはギルガルから夜通し軍を進め、彼らを急襲した。

10章10節 主はイスラエルの前で彼らを混乱に陥れられたので、ヨシュアはギブオンで敵に大打撃を与え、更に彼らを追ってベト・ホロンの坂道を登り、アゼカ、マケダまで彼らを追撃した。

10章11節 彼らがイスラエルの前から敗走し、ベト・ホロンの下り坂にさしかかったとき、主は天から大石を降らせた。それはアゼカまで続いたので、雹に打たれて死んだ者はイスラエルの人々が剣で殺した者よりも多かった。

10章12節 主がアモリ人をイスラエルの人々に渡された日、ヨシュアはイスラエルの人々の見ている前で主をたたえて言った。「日よとどまれギブオンの上に/月よとどまれアヤロンの谷に。」

10章13節 日はとどまり/月は動きをやめた/民が敵を打ち破るまで。『ヤシャルの書』にこう記されているように、日はまる一日、中天にとどまり、急いで傾こうとしなかった。

10章14節 主がこの日のように人の訴えを聞き届けられたことは、後にも先にもなかった。主はイスラエルのために戦われたのである。

10章15節 ヨシュアはその後、全イスラエルを率いてギルガルの陣営に戻った。

10章16節 この五人の王は逃げてマケダの洞穴に身を隠した。

10章17節 ヨシュアは、五人の王がマケダの洞穴に隠れているのが見つかったとの知らせを受けると、

10章18節 こう命じた。「大きな石を転がして、洞穴の入り口をふさぎ、見張りの兵を置け。

10章19節 あとの者はそこにとどまらず、敵を追撃し、背後から攻撃して、町に入れるな。あなたたちの神、主は既に彼らをあなたたちの手に渡された。」

10章20節 ヨシュアの率いるイスラエルの人々は敵に決定的な大打撃を与え、ついに全滅させた。かろうじて砦の町へ逃げ込んだのはごくわずかの敗残兵にすぎなかった。

10章21節 民は皆、無事にヨシュアのいるマケダの陣営に帰還し、もはやイスラエルの人々を中傷する者はなかった。

10章22節 ヨシュアは命じた。「洞穴の入り口を開き、あの五人の王たちを洞穴からわたしの前に引き出せ。」

10章23節 彼らはそのとおりにし、エルサレム、ヘブロン、ヤルムト、ラキシュ、エグロンの五人の王を洞穴から引き出した。

10章24節 五人の王がヨシュアの前に引き出されると、ヨシュアはイスラエルのすべての人々を呼び寄せ、彼と共に戦った兵士の指揮官たちに、「ここに来て彼らの首を踏みつけよ」と命じた。彼らは来て、王たちの首を踏みつけた。

10章25節 ヨシュアは言った。「恐れてはならない。おののいてはならない。強く、雄々しくあれ。あなたたちが戦う敵に対して主はこのようになさる。」

10章26節 ヨシュアはその後、彼らを打ち殺し、五本の木にかけ、夕方までさらしておいた。

10章27節 しかし、太陽の沈むころ、ヨシュアは命じてその死体を木から下ろさせ、彼らが隠れていた洞穴に投げ入れ、入り口を大きな石でふさいだ。それは、今日まで残っている。

10章28節 ヨシュアはその日、マケダを占領し、剣をもってその町と王を撃ち、住民を滅ぼし尽くして一人も残さなかった。マケダの王に対してもエリコの王と同じようにした。

10章29節 ヨシュアは全イスラエルを率いてマケダからリブナへ向かい、これを攻撃した。

10章30節 主がこの町も王もイスラエルの手に渡されたので、剣をもって町を撃ち、その住民を一人も残さなかった。リブナの王に対してもエリコの王と同じようにした。

10章31節 ヨシュアはイスラエルの全軍を率いて、リブナから更にラキシュへ向かい、陣を敷いてこれと戦った。

10章32節 主がラキシュをイスラエルの手に渡されたので、二日目には占領し、剣をもって町の住民をすべて撃ち、リブナと全く同じようにした。

10章33節 そのとき、ゲゼルの王ホラムがラキシュ救援に上って来たが、ヨシュアは彼とその軍をも撃って一人も残さなかった。

10章34節 ヨシュアは全イスラエルを率いて、ラキシュから更にエグロンへ向かい、陣を敷いてこれと戦い、

10章35節 その日のうちに占領し、剣をもって町を撃ち、全住民をその日のうちに滅ぼし尽くし、ラキシュと全く同じようにした。

10章36節 ヨシュアは更に、全イスラエルを率いてエグロンからヘブロンへ上り、これと戦って、

10章37節 占領し、剣をもって王と町全体を撃ち、全住民を一人も残さず、エグロンと全く同じようにした。彼はその町とその全住民を滅ぼし尽くした。

10章38節 ヨシュアは、全イスラエルを率いてデビルに引き返し、これと戦って、

10章39節 占領し、王を捕らえ、すべての町を占領した。剣をもって全住民を撃ち、滅ぼし尽くして一人も残さなかった。デビルとその王に対しても、ヘブロンやリブナとその王と同じようにした。

10章40節 ヨシュアは、山地、ネゲブ、シェフェラ、傾斜地を含む全域を征服し、その王たちを一人も残さず、息ある者をことごとく滅ぼし尽くした。イスラエルの神、主の命じられたとおりであった。

10章41節 ヨシュアは、カデシュ・バルネアからガザまで、ゴシェン地方一帯を経て、ギブオンまでを征服したのである。

10章42節 ヨシュアがただ一回の出撃でこれらの地域を占領し、すべての王を捕らえることができたのは、イスラエルの神、主がイスラエルのために戦われたからである。

10章43節 ヨシュアは全イスラエルを率いてギルガルの陣営に凱旋した。


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