黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳サムエル記上第27章

◆アキシュのもとに滞在するダビデ

27章1節 ダビデは心に思った。「このままではいつかサウルの手にかかるにちがいない。ペリシテの地に逃れるほかはない。そうすればサウルは、イスラエル全域でわたしを捜すことを断念するだろう。こうしてわたしは彼の手から逃れることができる。」

27章2節 ダビデは立って、彼に従う兵六百人と共に、ガトの王、マオクの子アキシュのもとに移って行った。

27章3節 ダビデとその兵はおのおのの家族と共にガトのアキシュのもとに身を寄せた。ダビデは二人の妻、イズレエルのアヒノアムとカルメルのナバルの妻であったアビガイルを連れていた。

27章4節 ダビデがガトに逃げたと聞いたサウルは、二度とダビデを追跡しなかった。

27章5節 ダビデはアキシュに言った。「御厚意を得られるなら、地方の町の一つに場所をください。そこに住みます。僕が王国の首都で、あなたのもとに住むことはありません。」

27章6節 その日、アキシュは彼にツィクラグを与えた。こうして、今日に至るまでツィクラグはユダの王に属することになった。

27章7節 ダビデがペリシテの地に住んだ期間は、一年と四か月であった。

27章8節 ダビデとその兵は上って行っては、ゲシュル人、ゲゼル人、アマレク人を襲った。昔からこれらは、シュルからエジプトの地に至る地方の住民であった。

27章9節 ダビデはこの地方を討つと、男も女も生かしておかず、羊、牛、ろば、らくだ、衣類を奪っては、アキシュのもとに戻った。

27章10節 アキシュが、「今日はどこを襲ったか」と尋ねると、ダビデは、ユダのネゲブを、エラフメエル人のネゲブを、カイン人のネゲブを、と答えた。

27章11節 ダビデは、男も女も生かしてガトに引いて来ることはなかった。「彼らが我々について、『ダビデがこうした』と通報しないように」と考えたからである。ダビデがペリシテの地に住む間、これがダビデの策であった。

27章12節 アキシュはダビデを信じて、「彼は自分の民イスラエルにすっかり嫌われたから、いつまでもわたしの僕でいるだろう」と思っていた。


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