黒崎幸吉著 註解新約聖書 Web版

新共同訳エレミヤ書第10章

◆偶像とまことの神

10章1節 イスラエルの家よ、主があなたたちに語られた言葉を聞け。

10章2節 主はこう言われる。異国の民の道に倣うな。天に現れるしるしを恐れるな。それらを恐れるのは異国の民のすることだ。

10章3節 もろもろの民が恐れるものは空しいもの/森から切り出された木片/木工がのみを振るって造ったもの。

10章4節 金銀で飾られ/留め金をもって固定され、身動きもしない。

10章5節 きゅうり畑のかかしのようで、口も利けず/歩けないので、運ばれて行く。そのようなものを恐れるな。彼らは災いをくだすことも/幸いをもたらすこともできない。

10章6節 主よ、あなたに並ぶものはありません。あなたは大いなる方/御名には大いなる力があります。

10章7節 諸国民の王なる主よ/あなたを恐れないものはありません。それはあなたにふさわしいことです。諸国民、諸王国の賢者の間でも/あなたに並ぶものはありません。

10章8節 彼らは等しく無知で愚かです。木片にすぎない空しいものを戒めとしています。

10章9節 それはタルシシュからもたらされた銀箔/ウファズの金、青や紫を衣として/木工や金細工人が造ったもの/いずれも、巧みな職人の造ったものです。

10章10節 主は真理の神、命の神、永遠を支配する王。その怒りに大地は震え/その憤りに諸国の民は耐ええない。

10章11節 このように彼らに言え。天と地を造らなかった神々は/地の上、天の下から滅び去る、と。

10章12節 御力をもって大地を造り/知恵をもって世界を固く据え/英知をもって天を広げられた方。

10章13節 主が御声を発せられると、天の大水はどよめく。地の果てから雨雲を湧き上がらせ/稲妻を放って雨を降らせ/風を倉から送り出される。

10章14節 人は皆、愚かで知識に達しえない。金細工人は皆、偶像のゆえに辱められる。鋳て造った像は欺瞞にすぎず/霊を持っていない。

10章15節 彼らは空しく、また嘲られるもの/裁きの時が来れば滅びてしまう。

10章16節 ヤコブの分である神はこのような方ではない。万物の創造者であり/イスラエルはその方の嗣業の民である。その御名は万軍の主。

10章17節 包囲されて座っている女よ/地からお前の荷物を集めよ。

10章18節 主はこう言われる。見よ、今度こそ/わたしはこの地の住民を投げ出す。わたしは彼らを苦しめる/彼らが思い知るように。

10章19節 ああ、災いだ。わたしは傷を負い/わたしの打ち傷は痛む。しかし、わたしは思った。「これはわたしの病/わたしはこれに耐えよう。」

10章20節 わたしの天幕は略奪に遭い/天幕の綱はことごとく断ち切られ/息子らはわたしのもとから連れ去られて/ひとりもいなくなった。わたしの天幕を張ってくれる者も/その幕を広げてくれる者もいない。

10章21節 群れを養う者は愚かになり/主を尋ね求めることをしない。それゆえ、彼らはよく見守ることをせず/群れはことごとく散らされる。

10章22節 声がする。見よ、知らせが来る。北の国から大いなる地響きが聞こえる。それはユダの町々を荒廃させ/山犬の住みかとする。

10章23節 主よ、わたしは知っています。人はその道を定めえず/歩みながら、足取りを確かめることもできません。

10章24節 主よ、わたしを懲らしめてください/しかし、正しい裁きによって。怒りによらず/わたしが無に帰することのないように。

10章25節 あなたの憤りを注いでください/あなたを知らない諸国民の上に。あなたの御名を呼ぶことのない諸民族の上に。彼らはヤコブを食い物にし/彼を食い尽くし/その住みかを荒廃させました。


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