マルコ伝第16章
分類
7 イエスの復活と昇天 16:1 - 16:20
7-1-イ 女たちイエスの復活を知る 16:1 - 16:8
(マタ28:1-10) (ルカ24:1-11)
口語訳 | さて、安息日が終ったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが、行ってイエスに塗るために、香料を買い求めた。 |
塚本訳 | (翌日、日が暮れて)安息日が終ると、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとは、イエス(の体)に油を塗りに行くために、(油にまぜる)香料を買いととのえた。 |
前田訳 | 安息日が終わると、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが香油を買った。彼にぬりに行くためであった。 |
新共同 | 安息日が終わると、マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメは、イエスに油を塗りに行くために香料を買った。 |
NIV | When the Sabbath was over, Mary Magdalene, Mary the mother of James, and Salome bought spices so that they might go to anoint Jesus' body. |
註解: 土曜日の夕、日没後のこと、彼らも安息日は規則通りに守っていた。
マグダラのマリヤ、ヤコブの
註解: 死体に香油を塗ることはユダヤの習慣であった。この女たちはイエスの死を遙かに望み(マコ15:40)、また墓に納められる処を目撃せる人々である。
16章2節
口語訳 | そして週の初めの日に、早朝、日の出のころ墓に行った。 |
塚本訳 | そして(あくる朝、すなわち)週の初めの日[日曜日]の朝、ごく早く、日が出ると墓場に行く。 |
前田訳 | そして、週の初めの日の朝、ごく早く、日の出のころ彼女らは墓に行く。 |
新共同 | そして、週の初めの日の朝ごく早く、日が出るとすぐ墓に行った。 |
NIV | Very early on the first day of the week, just after sunrise, they were on their way to the tomb |
註解: 日曜の朝である。前夜に求めし香料を携えて彼らは墓に行った。一週の始めの日がキリスト者にとりて特別の日となり日曜安息の習慣が生ずるに至ったのは、この日にイエスが甦り給えるが故である。マタ28:1註参照。
16章3節
口語訳 | そして、彼らは「だれが、わたしたちのために、墓の入口から石をころがしてくれるのでしょうか」と話し合っていた。 |
塚本訳 | 「だれか墓の入口から石をころがしてくれる者があるだろうか」と互に話しながら、 |
前田訳 | そこで互いにいった、「だれが墓の入口から石をころがしてくれるでしょうか」と。 |
新共同 | 彼女たちは、「だれが墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていた。 |
NIV | and they asked each other, "Who will roll the stone away from the entrance of the tomb?" |
16章4節
口語訳 | ところが、目をあげて見ると、石はすでにころがしてあった。この石は非常に大きかった。 |
塚本訳 | (ふと)目をあげて見ると、石はもうころがしてあった。(彼らが心配したのは)石が非常に大きかったからである。 |
前田訳 | 目をあげると、石がころがしてあるのが見えた。石ははなはだ大きかった。 |
新共同 | ところが、目を上げて見ると、石は既にわきへ転がしてあった。石は非常に大きかったのである。 |
NIV | But when they looked up, they saw that the stone, which was very large, had been rolled away. |
註解: 墓の全体を掩う石蓋は相当に大きく重いものであった。女らの心配は誰かこれを転ばすべきかにあった。しかるに案外にもその墓の蓋がすでに転ばしてあるのを見た。彼らの驚きは非常に大きかったに相違ない。
辞解
[この石は甚だ大なりき] 「この石は甚だ大なりければなり」とあり、3節の心配の理由と見れば思想的には連絡がつくけれども、文法上の連絡が遠すぎ4節前半の理由としては不調和である。従って多くの解釈論を生じているけれども4節前半に「いたく驚きたり」なる意味を含ましむる時は、3節4節前半を合した理由と見ることを得(B1)。
16章5節
口語訳 | 墓の中にはいると、右手に真白な長い衣を着た若者がすわっているのを見て、非常に驚いた。 |
塚本訳 | 墓に入ると、白い衣をきた一人の青年が右手の方に坐っているのを見たので、ぎょっとした。 |
前田訳 | 墓に入ると、白い衣を着た若者が右にすわっているのを見て、おどろきいった。 |
新共同 | 墓の中に入ると、白い長い衣を着た若者が右手に座っているのが見えたので、婦人たちはひどく驚いた。 |
NIV | As they entered the tomb, they saw a young man dressed in a white robe sitting on the right side, and they were alarmed. |
註解: マタ28:2、3によればこれは天使であって石の上に坐しており、ルカ24:4によれば二人の人となっている。これのみならず、復活の記事につきては四福音書の間に多くの不統一がある。このことにつきてはマタ28:10要義およびマタ28:20附記を参照すべし。
16章6節
口語訳 | するとこの若者は言った、「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない。ごらんなさい、ここがお納めした場所である。 |
塚本訳 | 青年は彼らに言う、「驚くに及ばない。あなた達は十字架につけられたナザレ人イエスをさがしているが、もう復活されて、ここにはおられない。そら、ここがお納めした場所だ。 |
前田訳 | 彼はいう、「おどろくことはない。あなた方は十字架につけられたナザレ人イエスを探しているが、彼は復活なさった。ここにはいらっしゃらない。見よ、お納めした場所はここだ。 |
新共同 | 若者は言った。「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレのイエスを捜しているが、あの方は復活なさって、ここにはおられない。御覧なさい。お納めした場所である。 |
NIV | "Don't be alarmed," he said. "You are looking for Jesus the Nazarene, who was crucified. He has risen! He is not here. See the place where they laid him. |
註解: イエスの墓の空虚なりし事実はイエスの復活の有力なる証拠である。なおTコリ15:4−8には復活のイエスの顕現について語っているけれども空虚なる墓のことはこれを叙べず、ヨハ20:1−10には女たちがペテロとヨハネに告げ彼ら墓に至りてこれを検査せる詳細の記事であり。
16章7節
口語訳 | 今から弟子たちとペテロとの所へ行って、こう伝えなさい。イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて、あなたがたに言われたとおり、そこでお会いできるであろう、と」。 |
塚本訳 | さあ行って、弟子たち、とりわけペテロに、『イエスはあなた達より先にガリラヤに行かれる。(前に)あなた達に言われたとおり、そこでお目にかかれる』と言いなさい。」 |
前田訳 | さあ、出かけて行って、弟子たち、ことにペテロにいいなさい、『彼はあなた方に先立ってガリラヤへ行かれる。あなた方に彼がいわれているように、そこでお目にかかれよう』と」。 |
新共同 | さあ、行って、弟子たちとペトロに告げなさい。『あの方は、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて言われたとおり、そこでお目にかかれる』と。」 |
NIV | But go, tell his disciples and Peter, `He is going ahead of you into Galilee. There you will see him, just as he told you.'" |
註解: ルカ伝は復活のイエスがエルサレムにおいて現れ給いし事実を録し、ヨハネ伝もまずエルサレム次にガリラヤにおける顕現を録す(ヨハ21章)。マタイ伝は簡単にガリラヤにおける顕現を録す。何れも多少の差異あり、この種の事実は精確に伝わり難きもの故多くの伝説が分れるに至ることも止むを得ない。
16章8節
口語訳 | 女たちはおののき恐れながら、墓から出て逃げ去った。そして、人には何も言わなかった。恐ろしかったからである。〔 |
塚本訳 | 女たちは墓から逃げ出した。びっくりして震えあがったのである。そしてだれにも何も言わなかった、恐ろしかったので。…… |
前田訳 | 彼女らはふるえてわれを失っていたので墓から出て逃げ去った。だれにも何もいわなかった、おそろしかったのである。 |
新共同 | 婦人たちは墓を出て逃げ去った。震え上がり、正気を失っていた。そして、だれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである。 |
NIV | Trembling and bewildered, the women went out and fled from the tomb. They said nothing to anyone, because they were afraid. |
註解: マルコ伝はここで終っているのかまたはこの後にもマルコ伝の本来の結尾が有ったのであるかは不明であるが9−20節は、後日の挿入であることは一般に認められている。その故は、(1)重要なる写本にこれを欠くのみならず、(2)写本によりて9−20節と異なる短き結尾を有するものもあり、(3)またこの9−20節の中にマルコ伝の他の部分に用いられずまた三福音書にも用いられず、むしろヨハネ伝やパウロの書簡にのみ用いられるごとき用語を多く見出し、(4)7節に預言せられしガリラヤにおける顕現につき記されず、(5)かつその記述の内容は他の福音書よりの引用を要約せるものであり、(6)マルコの他の部分のごとく簡潔雄勁 ではなく、(7)1−8節と矛盾する多くの点があること等の理由によるのである。それ故に9−20節が本来のマルコ伝の一部にあらざることは今日一般に認められている説である。唯第8節が本来のマルコ伝の真の結尾なりしやまたは他に結尾がありしやにつきては学者間にも異説ありて相対立す。マルコ伝の書き始めが唐突であるごとく、その結尾も唐突であることがあるいはマルコ伝に相応しきものであるかも知れない。
註解: 9−20節につきては8節註を見よ。
口語訳 | 週の初めの日の朝早く、イエスはよみがえって、まずマグダラのマリヤに御自身をあらわされた。イエスは以前に、この女から七つの悪霊を追い出されたことがある。 |
塚本訳 | 【さて週の第一日の朝早く復活して、まずマグダラのマリヤに自分を現わされた。以前に七つの悪鬼を追い出していただいた女である。 |
前田訳 | 週の第一日の朝早く彼は復活してまずマグダラのマリヤに現われられた。前に七つの悪霊を追い出していただいた女である。 |
新共同 | 〔イエスは週の初めの日の朝早く、復活して、まずマグダラのマリアに御自身を現された。このマリアは、以前イエスに七つの悪霊を追い出していただいた婦人である。 |
NIV | When Jesus rose early on the first day of the week, he appeared first to Mary Magdalene, out of whom he had driven seven demons. |
註解: 2節を見よ、同じ拂曉 が重複して居る。
イエス
註解: マタ28:9。ヨハ20:1、ヨハ20:14−19。ルカ8:2等の記事の要約である。
16章10節 マリヤ
口語訳 | マリヤは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいる所に行って、それを知らせた。 |
塚本訳 | この女は、(御在世中)おそばにいた人たちが泣き悲しんでいるところに行って知らせたが、 |
前田訳 | 彼女はお伴していた人々か泣き悲しんでいるところへ行って知らせた。 |
新共同 | マリアは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいるところへ行って、このことを知らせた。 |
NIV | She went and told those who had been with him and who were mourning and weeping. |
註解: 8節と矛盾しヨハ20:18によれるもの、また外典ペテロの福音の中にこの記事あり、弟子たちの泣き悲しみ居る記事は他に無いけれども、弟子たちの悲しみは事実である。
16章11節
口語訳 | 彼らは、イエスが生きておられる事と、彼女に御自身をあらわされた事とを聞いたが、信じなかった。 |
塚本訳 | この人たちは、(今)生きておられること、彼女がそれを見たことを聞いても、信じなかった。 |
前田訳 | しかし、彼が今生きておられて、彼女がお見受けしたことを聞いても、彼らは信じなかった。 |
新共同 | しかし彼らは、イエスが生きておられること、そしてマリアがそのイエスを見たことを聞いても、信じなかった。 |
NIV | When they heard that Jesus was alive and that she had seen him, they did not believe it. |
註解: ルカ24:11の敷衍なり。なおヨハ20:25参照。
16章12節
口語訳 | この後、そのうちのふたりが、いなかの方へ歩いていると、イエスはちがった姿で御自身をあらわされた。 |
塚本訳 | そのあとで、そのうちの二人が田舎の方へ歩いて行く途中、別の姿で自分を現わされた。 |
前田訳 | そののち、彼らのうちのふたりが田舎へ歩いているとき、別の姿でお現われになった。 |
新共同 | その後、彼らのうちの二人が田舎の方へ歩いて行く途中、イエスが別の姿で御自身を現された。 |
NIV | Afterward Jesus appeared in a different form to two of them while they were walking in the country. |
16章13節
口語訳 | このふたりも、ほかの人々の所に行って話したが、彼らはその話を信じなかった。 |
塚本訳 | この人たちも、行って残りの人たちに知らせたが、この人たち(の言うこと)も信じなかった。 |
前田訳 | ふたりも行って残りの人々に知らせたが、この人たちは信じなかった。 |
新共同 | この二人も行って残りの人たちに知らせたが、彼らは二人の言うことも信じなかった。 |
NIV | These returned and reported it to the rest; but they did not believe them either. |
註解: ルカ24:13−31のエマオの途上におけるイエスの顕現の記事の要約である。
辞解
[田舎] エマオのこと。
16章14節
口語訳 | その後、イエスは十一弟子が食卓についているところに現れ、彼らの不信仰と、心のかたくななことをお責めになった。彼らは、よみがえられたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。 |
塚本訳 | その後、十一人(の弟子)が食事をしているとき自分を現わして、彼らの不信仰と心の頑固とをお責めになった。復活されたのを見た人々(の言うこと)を信じなかったからである。 |
前田訳 | そののち、十一人が食事しているときに現われて、彼らの不信と頑さをお責めになった。復活された彼をお見受けした人々を彼らが信じなかったからである。 |
新共同 | その後、十一人が食事をしているとき、イエスが現れ、その不信仰とかたくなな心をおとがめになった。復活されたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。 |
NIV | Later Jesus appeared to the Eleven as they were eating; he rebuked them for their lack of faith and their stubborn refusal to believe those who had seen him after he had risen. |
註解: ルカ24:25−26、ルカ24:36−49。ヨハ20:19−29。弟子たちがイエスよりその復活の預言を繰返し聞かされつつもなおこれを信じ得ざりしことはその心の頑固さを物語るものと言わなければならない。
16章15節
口語訳 | そして彼らに言われた、「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ。 |
塚本訳 | 彼らに言われた、「行って、全世界のすべての人間に福音を説け。 |
前田訳 | 彼らにいわれた、「行って全世界のすべての人に福音を伝えよ。 |
新共同 | それから、イエスは言われた。「全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい。 |
NIV | He said to them, "Go into all the world and preach the good news to all creation. |
註解: 弟子たちは不信仰を責められる場合悔改めて主イエスの復活を信じ、その福音を全世界に宣伝えなければならない。これはマタ28:19の主の御言である。
16章16節
口語訳 | 信じてバプテスマを受ける者は救われる。しかし、不信仰の者は罪に定められる。 |
塚本訳 | 信じて洗礼を受ける者は救われ、信じない者は罰せられる。 |
前田訳 | 信じて洗礼されるものは救われ、信ぜぬものは裁かれよう。 |
新共同 | 信じて洗礼を受ける者は救われるが、信じない者は滅びの宣告を受ける。 |
NIV | Whoever believes and is baptized will be saved, but whoever does not believe will be condemned. |
註解: 信ずることと相並べて形式的にバプテスマを受くることをも重要なる事項として記載せるは、この思想の内容のすでにイエスおよび使徒の時代を離れしものなることの感じを与える。
16章17節
口語訳 | 信じる者には、このようなしるしが伴う。すなわち、彼らはわたしの名で悪霊を追い出し、新しい言葉を語り、 |
塚本訳 | そして信じた者(の伝道)には、次のような(不思議な)徴が伴うであろう。──わたしの名を使って悪鬼を追い出し、新しい(霊の)言葉を話し、 |
前田訳 | 信じたものにはこのような徴が伴おう−−わが名によって悪霊を追い出し、新しいことばを話し、 |
新共同 | 信じる者には次のようなしるしが伴う。彼らはわたしの名によって悪霊を追い出し、新しい言葉を語る。 |
NIV | And these signs will accompany those who believe: In my name they will drive out demons; they will speak in new tongues; |
註解: 悪鬼を逐い出すことは使徒たちに与えられた能力であった (マタ10:8。マコ3:15。マコ9:38。ルカ9:1。ルカ10:17。使8:7等) けれども「新しき言をかたる」ことがもし「異言をかたる」を意味するならば(引照参照)これは必ずしも常に使徒たちに与えられた能力ではなかった。異本に「異なる言」とあり。この方は異言となる。新しき言は各国語をもって話すことの意と考うることを得。
16章18節
口語訳 | へびをつかむであろう。また、毒を飲んでも、決して害を受けない。病人に手をおけば、いやされる」。 |
塚本訳 | 蛇をつかむことができ、たとえ毒を飲んでも決して害をうけず、病人に手をのせれば(かならず)癒えるであろう。」 |
前田訳 | 蛇をつかみ、毒を飲んでも害されず、病者に手を置けばいやされよう」と。 |
新共同 | 手で蛇をつかみ、また、毒を飲んでも決して害を受けず、病人に手を置けば治る。」 |
NIV | they will pick up snakes with their hands; and when they drink deadly poison, it will not hurt them at all; they will place their hands on sick people, and they will get well." |
註解: 前半の二項は福音書に見出されない事柄で蛇のことは使28:2以下の記事、毒を飲むとも害を受けないことは使徒時代以後の伝説としても記録され、また使徒ヨハネに関してもかかることありしとの伝説がある。これらの二つの要件は福音書的というよりもむしろ経外聖書の思想を移したものである。手をつけて病を醫すことはイエスもこれを行い給うたけれども、また使徒につきても言われている(使28:8)。何れにしても福音書的新鮮さを欠くことは明かである。
16章19節
口語訳 | 主イエスは彼らに語り終ってから、天にあげられ、神の右にすわられた。 |
塚本訳 | 主は(このように)彼らに語った後、“天にあげられて”“神の右にお座りになり、” |
前田訳 | 主〔イエス〕はこう彼らに語ったのち天に挙げられて神の右におすわりになった。 |
新共同 | 主イエスは、弟子たちに話した後、天に上げられ、神の右の座に着かれた。 |
NIV | After the Lord Jesus had spoken to them, he was taken up into heaven and he sat at the right hand of God. |
註解: イエスの昇天と神の右(神に次げる最高の地位)に坐し給うこととは、復活の当然の結末でありまたその目的である。ただしその有様を今日の我らの能力の範囲内において完全に理解することは不可能である。これを純粋に霊的に解しても不可でありまたこれを純粋に物質的に解すべきではない。
辞解
ルカ24:51。使1:2にも語り終えて後直ちに昇天し給える記事あり、その他イエスの昇天の預言とその思想は、福音書の諸所に散在す。
16章20節
口語訳 | 弟子たちは出て行って、至る所で福音を宣べ伝えた。主も彼らと共に働き、御言に伴うしるしをもって、その確かなことをお示しになった。〕 |
塚本訳 | 弟子たちは出ていって到る所で教えを説いた。すると主は彼らと共に働いて、(その伝道に)いろいろな(不思議な)徴をともなわせ、(彼らが説く)御言葉(の正しいこと)を保証された。】 別 の 附 録【しかし女たちは(今)命じられたことの一切を、手短かにペテロたちに告げた。そのあとで、イエス自身も彼らをもって、東から西まで、永遠の救いの、聖なる朽ちざるおとずれを、おくられた。 |
前田訳 | 弟子たちは出かけて至るところに福音を説いた。主はともに働き、伴う徴をもって彼らのことばの証拠とされた。 異本に 〔女たちは命じられたことのすべてをペテロたちに手短に伝えた。そののち、イエスご自身も、永遠の救いの聖なる朽ちない音信(おとずれ)を、彼らを通じて東から西まで送られた。〕 |
新共同 | 一方、弟子たちは出かけて行って、至るところで宣教した。主は彼らと共に働き、彼らの語る言葉が真実であることを、それに伴うしるしによってはっきりとお示しになった。〕〔婦人たちは、命じられたことをすべてペトロとその仲間たちに手短に伝えた。その後、イエス御自身も、東から西まで、彼らを通して、永遠の救いに関する聖なる朽ちることのない福音を広められた。アーメン。〕 |
NIV | Then the disciples went out and preached everywhere, and the Lord worked with them and confirmed his word by the signs that accompanied it. |
註解: これは福音書よりもむしろ使徒行伝の要約とも言うべきもので昇天後のイエスが弟子たちを通して福音書を宣伝え、奇蹟を行い御言を堅うし給えることを録す。聖霊につきて記していないのはイエス伝としての結尾たらしめんがためであろう。