第1コリント第16章
分類
9 結尾の挨拶
16:1 - 16:24
9-1 聖徒に対する寄附の事
16:1 - 16:4
16章1節 聖徒たちの爲にする寄附の事に就きては、汝らも我がガラテヤの諸教會に命ぜしごとくせよ。[引照]
口語訳 | 聖徒たちへの献金については、わたしはガラテヤの諸教会に命じておいたが、あなたがたもそのとおりにしなさい。 |
塚本訳 | また、(エルサレム集会の)聖徒たちへのあの醵金のことについては、あなた達(の集会で)も、わたしが前にガラテヤ各地の集会に指図したとおりにせよ。 |
前田訳 | 聖徒たちへの募金については、ガラテアの諸集会に命じたようにあなた方もなさい。 |
新共同 | 聖なる者たちのための募金については、わたしがガラテヤの諸教会に指示したように、あなたがたも実行しなさい。 |
NIV | Now about the collection for God's people: Do what I told the Galatian churches to do. |
註解: (▲Uコリ8章-9章参照。パウロは此の頃マケドニヤ、アカヤの信徒から募金してエルサレムの貧しい聖徒に贈ることを計画していた。之はパウロに取って大事業であった。)貧しきものを顧みる事は基督者の主要の仕事であつた(ガラ2:10)。殊に当時エルサレムの聖徒等は主として貧しき人々であつて(ロマ15:26)、殊に彼らは富者のユダヤ教徒に迫害され、其の職を奪われる事が往々あつた。且つユダヤ人の間に既に其の捕囚の時代より、エルサレムの神殿及び人民に対して寄附を送る事が行われていたので、異邦の基督者も其の信仰の母教会とも云うべき、エルサレムの聖徒らに寄附を送る事を重要なる仕事と考えていた。尚使11:27-30。Uコリ8章-9章。ロマ15:25-27参照。
16章2節 一週の首の日ごとに、各人その得る所にしたがひて己が家に貯へ置け、これ我が到らんとき始めて寄附を集むる事なからん爲なり。[引照]
口語訳 | 一週の初めの日ごとに、あなたがたはそれぞれ、いくらでも収入に応じて手もとにたくわえておき、わたしが着いた時になって初めて集めることのないようにしなさい。 |
塚本訳 | 週の初めの日[日曜日]ごとに、各自何か儲けたものがあれば、家にためて置け。わたしが行った時、それから(はじめて)醵金が行なわれることのないように。 |
前田訳 | 週の初日ごとに、おのおのがそのなしうるものを蓄えて手もとに置いてください。わたしが行ったときに募金をすることがないためです。 |
新共同 | わたしがそちらに着いてから初めて募金が行われることのないように、週の初めの日にはいつも、各自収入に応じて、幾らかずつでも手もとに取って置きなさい。 |
NIV | On the first day of every week, each one of you should set aside a sum of money in keeping with his income, saving it up, so that when I come no collections will have to be made. |
註解: 当時既に日曜日が主の復活、聖霊の降下の日として、特別に取扱われていた。日曜礼拝の起源である(使20:7)。此の日に「得る所に従い」苦痛を感ぜざる程度に(Uコリ9:7)、「各人」富めるも貧しきも皆幾何かを己が家に貯え置くべき事を命じた。目的はパウロの到らん時急に多く集めない為であつた。パウロは深い宗教的経験を有つた理想家であると同時に極めて智慧ある実際家であつた。
16章3節 われ到らば、汝らが選ぶところの人々に添書をあたへ、汝らの惠む物をエルサレムに携へ往かしめん。[引照]
口語訳 | わたしが到着したら、あなたがたが選んだ人々に手紙をつけ、あなたがたの贈り物を持たせて、エルサレムに送り出すことにしよう。 |
塚本訳 | そちらに行った時には、あなた達の適当だと思う人たちに、手紙をつけてエルサレムにその贈物を持たせてやろう。 |
前田訳 | わたしが着いたとき、あなた方の選んだ人たちに手紙を託して、あなた方の贈りものをエルサレムへ持っていってもらいましょう。 |
新共同 | そちらに着いたら、あなたがたから承認された人たちに手紙を持たせて、その贈り物を届けにエルサレムに行かせましょう。 |
NIV | Then, when I arrive, I will give letters of introduction to the men you approve and send them with your gift to Jerusalem. |
16章4節 もし我も往くべきならば、彼らは我と共に往くべし。[引照]
口語訳 | もしわたしも行く方がよければ、一緒に行くことになろう。 |
塚本訳 | しかしもしわたしも行く値打ちがある(ほど多額)ならば、彼らはわたしと一しょに行けばよい。 |
前田訳 | わたしも行った方がよければ、その人たちはわたしといっしょに行くことになりましょう。 |
新共同 | わたしも行く方がよければ、その人たちはわたしと一緒に行くことになるでしょう。 |
NIV | If it seems advisable for me to go also, they will accompany me. |
註解: パウロは寄付をエルサレムに送る順序までも詳しく指摘を与えている。「我も往くべきならば」との注意を与えているのはUコリ8:20、21の如き場合に関する注意であろう、パウロは基督者の間にも此の種の注意を怠らなかつた。是れ人に譏られる機会を与えない為であつた。「彼ら我と共に行くべし」と云いて「我彼らと共に行くべし」と云わないのは、其の使徒たる身分を重んぢたのである。又パウロが自ら行くべきや否やを彼らの意思に任せたのはUコリ12:16-18の如きパウロを非難せんとする者に対する用意である。
9-2-イ バウロの旅程
16:5 - 16:9
16章5節 我マケドニヤを通らんとすれば、マケドニヤを過ぎて後に汝らの許にゆかん。[引照]
口語訳 | わたしは、マケドニヤを通過してから、あなたがたのところに行くことになろう。マケドニヤは通過するだけだが、 |
塚本訳 | わたしはマケドニヤ(州)を巡回したあとで、あなた達の所に行く。マケドニヤは(ただ)巡回するのである。 |
前田訳 | わたしはマケドニアを通ってからあなた方のところへ行くでしょう。マケドニアは通るのですが、 |
新共同 | わたしは、マケドニア経由でそちらへ行きます。マケドニア州を通りますから、 |
NIV | After I go through Macedonia, I will come to you--for I will be going through Macedonia. |
16章6節 かくて汝らの中に留りゐて、或は冬を過すこともあらん、是わが何處に往くも汝らに送られん爲なり。[引照]
口語訳 | あなたがたの所では、たぶん滞在するようになり、あるいは冬を過ごすかも知れない。そうなれば、わたしがどこへ行くにしても、あなたがたに送ってもらえるだろう。 |
塚本訳 | しかしあなた達の所では、たぶん泊まるか、あるいは冬を越すことにもなろう。それは(つぎに)どこへ行くにしても、(あなた達の所でゆっくりして、)あなた達に送り出してもらいたいためである。 |
前田訳 | 多分あなた方のところに滞在し、あるいは冬を過ごすでしょう、それは、わたしがどこへ行くにしてもあなた方が送り出してくれるためです。 |
新共同 | たぶんあなたがたのところに滞在し、場合によっては、冬を越すことになるかもしれません。そうなれば、次にどこに出かけるにしろ、あなたがたから送り出してもらえるでしょう。 |
NIV | Perhaps I will stay with you awhile, or even spend the winter, so that you can help me on my journey, wherever I go. |
註解: パウロは始め先づコリントに行き、それからマケドニヤに行き、更にコリントに帰る予定であつたのを変更したのである
(Uコリ1:16。Uコリ2:13。Uコリ8:1。Uコリ9:2、Uコリ9:4。使20:1、2は之を証明する)
。パウロはコリントに長く留まらん事を欲する事を示して彼等を特に思うの心を表わし、更に彼らによりて他の場所(エルサレムか或は其他か)に送られん事を求めて彼らをして之を為す事の喜びを有たしめんとした。
16章7節 我は今なんぢらを途の次に見ることを欲せず、主ゆるし給はば、暫く汝らと偕に留らんことを望む。[引照]
口語訳 | わたしは今、あなたがたに旅のついでに会うことは好まない。もし主のお許しがあれば、しばらくあなたがたの所に滞在したいと望んでいる。 |
塚本訳 | こんどは(ただ)通りすがりに会う(だけの)ことにしたくないのだから。主がもしお許しになるならば、しばらくあなた達の所に滞在することを望んでいる。 |
前田訳 | 今通りすがりにお会いしたくありません。主がお許しならば、そちらにしぱらくとどまることを望んでいます。 |
新共同 | わたしは、今、旅のついでにあなたがたに会うようなことはしたくない。主が許してくだされば、しばらくあなたがたのところに滞在したいと思っています。 |
NIV | I do not want to see you now and make only a passing visit; I hope to spend some time with you, if the Lord permits. |
註解: 是れコリントの教会には重要なる問題があり此の教会を善導することは、パウロの大切な役目であつたからであろう。
16章8節 われ五旬節まではエペソに留らんとす。[引照]
口語訳 | しかし五旬節までは、エペソに滞在するつもりだ。というのは、有力な働きの門がわたしのために大きく開かれているし、 |
塚本訳 | しかし五旬節の祭まではエペソに泊まっていよう。 |
前田訳 | しかし五旬節までエペソにとどまりましょう。 |
新共同 | しかし、五旬祭まではエフェソに滞在します。 |
NIV | But I will stay on at Ephesus until Pentecost, |
註解: ▲此の計画は使19:23-41のデメテリオ事件の為に急に変更せざるを得なかった。使20:16。その前にパウロは特別の理由で急いでコリントに往復した形跡あり。コリント後書はその後に書かれた書簡である。Uコリの緒言参照。
16章9節 そは活動のために大なる門わが前にひらけ、また逆ふ者も多ければなり。[引照]
口語訳 | また敵対する者も多いからである。 |
塚本訳 | (ここには)大きな働きがいのある門がわたしに開けているし、多くの反対者もあることだから。 |
前田訳 | 活動への大きな門がわたしに開け、反対者も多いからです。 |
新共同 | わたしの働きのために大きな門が開かれているだけでなく、反対者もたくさんいるからです。 |
NIV | because a great door for effective work has opened to me, and there are many who oppose me. |
註解: パウロを受納れる人々がエペソ及び其の附近に増加わり、又同時に敵も多くなつて来たのでパウロは福音の証を為すに最もよい時期が与えられたと信じたのである。「善と悪とは往々同時に盛んになるものである(B1)。
辞解
[▲▲活動のため] 「有力なる」と訳すべきである。
9-3-ロ 人事関係
16:10 - 16:20
16章10節 テモテもし到らば、愼みて汝等のうちに懼なく居らしめよ、彼は我と同じく主の業を務むる者なり。[引照]
口語訳 | もしテモテが着いたら、あなたがたの所で不安なしに過ごせるようにしてあげてほしい。彼はわたしと同様に、主のご用にあたっているのだから。 |
塚本訳 | テモテが着いたならば、恐れずにあなた達の所にいられるようにと気をつけてほしい。(まだ年も若く学問もないが、)わたしと同じように主の仕事をしているのだ。 |
前田訳 | テモテが行ったら、彼がおそれずにそちらにいられるよう気をつけてください。彼はわたしと同じく主のわざをつとめているからです。 |
新共同 | テモテがそちらに着いたら、あなたがたのところで心配なく過ごせるようお世話ください。わたしと同様、彼は主の仕事をしているのです。 |
NIV | If Timothy comes, see to it that he has nothing to fear while he is with you, for he is carrying on the work of the Lord, just as I am. |
註解: テモテはパウロの若き弟子であつた(Uテモ1:6、7。使16:1-3)。パウロは曩にエペソよりテモテとエラストを、先づマケドニヤに遣わしコりントに至らしめんとした。コリントには此の世の知識に富める信者もあり、又パウロの反対党もあつたので若きテモテの事を慮つて、パウロは此の注意を与えたのである。
16章11節 されば誰も之を卑しむることなく、安らかに送りて我が許に來らしめよ、我かれが兄弟たちと共に來るを待てるなり。[引照]
口語訳 | だれも彼を軽んじてはいけない。そして、わたしの所に来るように、どうか彼を安らかに送り出してほしい。わたしは彼が兄弟たちと一緒に来るのを待っている。 |
塚本訳 | だから、だれも彼を軽蔑してはならない。彼を(ねぎらって)平安に送り出し、わたしの所にもどって来るようにしてやってもらいたい。兄弟たちと一しょに待っているのだから。 |
前田訳 | それで、だれも彼を軽んじないでください。彼がわたしのところに来るよう、平和のうちに送り出してください。わたしは兄弟とともに彼を待っています。 |
新共同 | だれも彼をないがしろにしてはならない。わたしのところに来るときには、安心して来られるように送り出してください。わたしは、彼が兄弟たちと一緒に来るのを、待っているのです。 |
NIV | No one, then, should refuse to accept him. Send him on his way in peace so that he may return to me. I am expecting him along with the brothers. |
註解: テモテは幼少のために卑められる懼があつた(Tテモ4:12)。パウロが如何にテモテを思うか其の愛情が此の中に溢れている。
16章12節 兄弟アポロに就きては、我かれに兄弟たちと共に汝らに到らんことを懇ろに勸めたりしが、今は往くことを更に欲せず、されど好き機を得ば往くべし。[引照]
口語訳 | 兄弟アポロについては、兄弟たちと一緒にあなたがたの所に行くように、たびたび勧めてみた。しかし彼には、今行く意志は、全くない。適当な機会があれば、行くだろう。 |
塚本訳 | 兄弟アポロのことについていえば、(使いに来ている)兄弟たちと一しょにあなた達の所に行くようにと、しきりに勧めてみた。だが今は行く意志が全くない。しかし好い機会があれば行くであろう。 |
前田訳 | 兄弟アポロについては、兄弟とともにそちらへ行くよう強く勧めましたが、今行く気が全くないとのことでした。よい折りがあれば行くでしょう。 |
新共同 | 兄弟アポロについては、兄弟たちと一緒にあなたがたのところに行くようにと、しきりに勧めたのですが、彼は今行く意志は全くありません。良い機会が来れば、行くことでしょう。 |
NIV | Now about our brother Apollos: I strongly urged him to go to you with the brothers. He was quite unwilling to go now, but he will go when he has the opportunity. |
註解: パウロがアポロに切にコリントに往く事を勧めたのは、パウロとアポロの間には何等の党派的確執が無い事を示し、アポロが堅く之を辞したのはコリントに行く事によりて、其の党派的傾向を助長せん事を恐れたからである。何れも立派なる基督者的態度である。
辞解
[兄弟たちと共に] 17節。
16章13節 目を覺し、堅く信仰に立ち、雄々しく、かつ剛かれ。[引照]
口語訳 | 目をさましていなさい。信仰に立ちなさい。男らしく、強くあってほしい。 |
塚本訳 | 目を覚ましておれ、信仰にしっかり立っておれ、“男らしくあれ、強くなれ。” |
前田訳 | 目ざめていて、堅く信仰に立ち、男らしく、強くあってください。 |
新共同 | 目を覚ましていなさい。信仰に基づいてしっかり立ちなさい。雄々しく強く生きなさい。 |
NIV | Be on your guard; stand firm in the faith; be men of courage; be strong. |
16章14節 一切のこと愛をもて行へ。[引照]
口語訳 | いっさいのことを、愛をもって行いなさい。 |
塚本訳 | あなた達のすることすべてを、愛をもって行なえ。 |
前田訳 | あなた方のすべてが愛によって行なわれますように。 |
新共同 | 何事も愛をもって行いなさい。 |
NIV | Do everything in love. |
註解: パウロは将に此の書簡を終らんとして心に浮べるままの注意を与えている。13節は戦争の場合の態度を示したものであつて、悪魔の力強くキリストに敵する者多きコリントに於て、人々は暗黒の罪に陥らぬ様に「目を覚まし」、敵に乗せられない様に我が高き櫓、我が塁壁なるキリストの中に立篭り、堅く彼を信ずる「信仰に立ち」、悪を除く事に於て勇敢にして力強くなければならない事を教え、而して14節に於て、凡ての事を行うに愛を主としなければならぬ事を示している、要するに此の二節は全書簡の要約と見る事が出来る。
16章15節 兄弟よ、ステパナの家はアカヤの初穗にして、彼らが身を委ねて聖徒に事へたることは、汝らの知る所なり。[引照]
口語訳 | 兄弟たちよ。あなたがたに勧める。あなたがたが知っているように、ステパナの家はアカヤの初穂であって、彼らは身をもって聖徒に奉仕してくれた。 |
塚本訳 | 兄弟たちよ、あなた達に勧める。御承知のように、ステパナ一家は(アカヤで最初に信仰に入った言わば)アカヤの初穂で、聖徒たちへの奉仕に身を捧げた。 |
前田訳 | 兄弟方、お勧めします。ご存じのように、ステパナの家はアカイアの初穂で、自らをささげて聖徒に仕えました。 |
新共同 | 兄弟たち、お願いします。あなたがたも知っているように、ステファナの一家は、アカイア州の初穂で、聖なる者たちに対して労を惜しまず世話をしてくれました。 |
NIV | You know that the household of Stephanas were the first converts in Achaia, and they have devoted themselves to the service of the saints. I urge you, brothers, |
16章16節 われ汝らに勸む、斯くのごとき人々また凡て之とともに働きて勞する者に服せよ。[引照]
口語訳 | どうか、このような人々と、またすべて彼らと共に働き共に労する人々とに、従ってほしい。 |
塚本訳 | あなた達もこんな人たちには、またこんな人たちと一しょに働いて苦労をしている人にはどんな人にも、服従しなくてはいけない。 |
前田訳 | それで、あなた方もこのような人々と、彼らとともに働きまた労苦するすべての人々とに従ってください。 |
新共同 | どうか、あなたがたもこの人たちや、彼らと一緒に働き、労苦してきたすべての人々に従ってください。 |
NIV | to submit to such as these and to everyone who joins in the work, and labors at it. |
註解: パウロはステパナの家にバプテスマを施した(Tコリ1:16)。彼はアカヤ(コリントの属する州名)に於ける最初の信者である点及び、献身的に聖徒のために働いた点で、パウロは特に彼を重んずべき事を教えた、又彼らのみならず彼らと共に働き共に労する人にもこれを及ぼすべき事を薦めた。
16章17節 我ステパナとポルトナトとアカイコとの來るを喜ぶ。かれらは[我が]汝らの居らぬを補ひたればなり。[引照]
口語訳 | わたしは、ステパナとポルトナトとアカイコとがきてくれたのを喜んでいる。彼らはあなたがたの足りない所を満たし、 |
塚本訳 | それからステパナとポルトナトとアカイコとが来ていることを嬉しく思う。あなた達の不在をこの人達が補ったのだから。 |
前田訳 | ステパナとポルトナトスとアカイコスが来たことをよろこんでいます。この人たちがあなた方の不在を満たしてくれるからです。 |
新共同 | ステファナ、フォルトナト、アカイコが来てくれたので、大変うれしく思っています。この人たちは、あなたがたのいないときに、代わりを務めてくれました。 |
NIV | I was glad when Stephanas, Fortunatus and Achaicus arrived, because they have supplied what was lacking from you. |
註解: ポルトナトとアカイコの誰なりやは不明である、前者は恐らくローマのクレメントの書簡を持参せる人ならん、此の三人来りてコリント人の代りとしてパウロを喜ばせた。▲口語訳「あなたがたのたりないところ」と訳しているが此処では寧ろ「汝らの居らない欠陥」と解すべきである。
辞解
[我が汝らの居らぬを云々] 明かに誤訳で「我が」若しくは「汝らの」の何れかを除かなければならぬ、原語は此の二種の何れにも解し得る語である。
16章18節 (そは)彼らは我が心と汝らの心とを安んじた(ればな)り、斯くのどとき者を認めよ。[引照]
口語訳 | わたしの心とあなたがたの心とを、安らかにしてくれた。こうした人々は、重んじなければならない。 |
塚本訳 | 彼らはわたしの心を、またあなた達の心をも休めてくれたのだ。こんな人たちの真価を認めなければならない。 |
前田訳 | 彼らはわが心とあなた方の心とを休めてくれました。このような人々を重んじてください。 |
新共同 | わたしとあなたがたとを元気づけてくれたのです。このような人たちを重んじてください。 |
NIV | For they refreshed my spirit and yours also. Such men deserve recognition. |
註解: 彼等の訪問はパウロの心を慰め、又同時に彼らを送りしコリントの人々の心をも慰めた。かかる人を充分に認めなければならない。パウロはかくして一人の労をも、之を空しくせざらん事に注意している。
16章19節 アジヤの諸教會なんぢらに安否を問ふ。アクラとプリスカ及びその家の教會、主に在りて懇ろに汝らに安否を問ふ。[引照]
口語訳 | アジヤの諸教会から、あなたがたによろしく。アクラとプリスカとその家の教会から、主にあって心からよろしく。 |
塚本訳 | アジヤ州の各地の集会からあなた達によろしく。アクラとプリスカとからその家の集会ともども、主にあってくれぐれもあなた達によろしく。 |
前田訳 | アジアの諸集会がよろしく申しています。アクラとプリスカが彼らの家の集まりとともに主にあってくれぐれもよろしく申しています。 |
新共同 | アジア州の諸教会があなたがたによろしくと言っています。アキラとプリスカが、その家に集まる教会の人々と共に、主においてあなたがたにくれぐれもよろしくとのことです。 |
NIV | The churches in the province of Asia send you greetings. Aquila and Priscilla greet you warmly in the Lord, and so does the church that meets at their house. |
16章20節 すべての兄弟なんぢらに安否を問ふ。なんぢら潔き接吻をもて互に安否を問へ。[引照]
口語訳 | すべての兄弟たちから、よろしく。あなたがたも互に、きよい接吻をもってあいさつをかわしなさい。 |
塚本訳 | 兄弟一同からあなた達によろしく。聖なる接吻で互に挨拶せよ。 |
前田訳 | 兄弟たち皆がよろしく申しています。聖い口づけで互いにあいさつしてください。 |
新共同 | すべての兄弟があなたがたによろしくと言っています。あなたがたも、聖なる口づけによって互いに挨拶を交わしなさい。 |
NIV | All the brothers here send you greetings. Greet one another with a holy kiss. |
註解: 教会相互間の挨拶は如何に美わしい事であつたろうか、今日の如く教会相互間に詛の声を出しているのに比したならば別世界の感がある。
辞解
[アジア] 小アジア地方の事。エペソ、コロサイ、ラオデキヤ其他パウロの伝道せる都市も多くあつた。
[アクラとプリスカ] 曩にパウロと共にコリントに在り、コリント教会及びエペソ教会の創立者であつた。
[家の教会] ロマ16:5を見よ。
[すべての兄弟] エペソの教会の人々。
9-4-ハ 結尾の祝祷
16:21 - 16:24
16章21節 我パウロ自筆をもて汝らに安否を問ふ。[引照]
口語訳 | ここでパウロが、手ずからあいさつをしるす。 |
塚本訳 | (最後に、)パウロが自筆で挨拶する。 |
前田訳 | このあいさつはわたしパウロ自らの手によるものです。 |
新共同 | わたしパウロが、自分の手で挨拶を記します。 |
NIV | I, Paul, write this greeting in my own hand. |
註解: パウロは当時の習慣に従い書翰をロ授し、最後に自筆を以つて祝祷を加えた (ロマ16:22。Uテサ3:17)、是れパウロの署名に相当するものであつた。
16章22節 もし人、主を愛せずば詛はるべし、我らの主きたり給ふ。[引照]
口語訳 | もし主を愛さない者があれば、のろわれよ。マラナ・タ(われらの主よ、きたりませ)。 |
塚本訳 | 主を愛しない者があるなら、呪われよ!、マラナ、サ(主よ、来てください)! |
前田訳 | 主を愛さない人があるならば、呪われよ、です。マラナタ(主よ来たりたまえ)。 |
新共同 | 主を愛さない者は、神から見捨てられるがいい。マラナ・タ(主よ、来てください)。 |
NIV | If anyone does not love the Lord--a curse be on him. Come, O Lord ! |
註解: 将に祝祷に移らんとしてパウロの心の中には主を愛せざる基督者が、コリントの中にいる事が思い浮べられた。基督者は祝福せらるべきものであるけれども、主を愛せざるものは詛わるべきもの(アナテマ)である。凡ての罪、咎、誤は皆此の愛の欠乏より起つて来るのであつて、コリントの教会の堕落も其の原因を茲に発していた。故にパウロは祝祷の前に先づ詛を告げて、彼らの中のあるものの良心を覚醒せしめたのである。我らも亦自ら顧みなけれはならない。
辞解
[愛する] phileô を用いて agapaô を用いないのは、特に親密に主を愛すべきことを教えているのである。
[詛わるべし] anathema Tコリ12:3註参照。
[我らの主きたり給う] マラン・アタ Maran atha 種々の意味に解せられるアラマイツク語であるけれども、此の訳が正しいらしい。当時アーメン、ハレルヤ等と共にユダヤ人の間に用いられ、主の再臨の近きを示して警戒を与うる語であつたのであろう。
16章23節 願はくは主イエスの恩惠なんぢらと偕にあらんことを。[引照]
口語訳 | 主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。 |
塚本訳 | 主イエスの恩恵、あなた達と共にあらんことを。 |
前田訳 | 主イエスの恵みがあなた方とともにありますように。 |
新共同 | 主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。 |
NIV | The grace of the Lord Jesus be with you. |
16章24節 わが愛はキリスト・イエスに在りて汝等すべての者とともに在るなり。[引照]
口語訳 | わたしの愛が、キリスト・イエスにあって、あなたがた一同と共にあるように。 |
塚本訳 | わたしの愛はキリスト・イエスにおいてあなた達一同と共にある。 |
前田訳 | わが愛はキリスト・イエスにおいて皆さんとともにあります。 |
新共同 | わたしの愛が、キリスト・イエスにおいてあなたがた一同と共にあるように。 |
NIV | My love to all of you in Christ Jesus. Amen. |
註解: 此の最後の二節を真心より言う事が出来たパウロこそ、コリントの人々に此の書簡の如き叱責の語を発する事が出来る人である。愛なしに人を審判く事は出来ない、パウロの愛の如何に深かつたかは此の二節を以て之を見る事が出来る。パウロの愛は人情のみの愛ではなくキリスト・イエスにある愛であつた。そして此の愛は[汝らずべての者]とともにあり、パウロの反対者、種々の罪咎に陥つていた人々も皆此のパウロの愛の目的であつた。